ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

謹賀新年2015

雪の京都から、あけましておめでとうございます。
建勲神社でひいたおみくじは生涯初の「凶」!。そんでもっていつものように近所の神社をはしごして、3社め今宮さんで「大吉」ゲット! 今年も大吉な年になりそうです。
Happy New Year from snowing Kyoto! Finally obtained "very good" for fortune paper. Yeah!

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# by Mikio_Motegi | 2015-01-05 18:27 | 京都・紀行

2015 年間読書 ベスト5


備忘録として、今年読んだ文芸書ベスト5 (順不同):

1.「指導者とは」 リチャード・ニクソン著 文春学芸ライブラリー 1660円
2.「ジャッカルの日」 フレデリック・フォーサイス著 角川文庫 819円
3.「俳優のノート」 山﨑努著 文春文庫 660円
4・「マネー・ボール」 マイケル・ルイス著 ハヤカワ文庫 940円
5.「痴人の愛」 谷崎潤一郎著 新潮文庫 670円

・・・・・・・・・・・・・・・
1.権力の栄光と挫折を知りつくしたアメリカ元大統領だから書けた、20世紀リーダー論の最高峰。チャーチルに関する記述が秀逸。「偉大な指導者は必ずしも善良な人ではない。ロシアのピョートル大帝、シーザー、アレキサンダー大王、ナポレオン。いずれも善政より征服者として歴史に残っている」

2.32年ぶりの再読。フォーサイス自身が確立した事実とフィクションが混在した「ドキュメンタリー・スリラー」分野の最高傑作。「プロは一時の熱狂では行動しない。だから冷静であり得るし、基本的なエラーもまず犯さない、逡巡する事もない、主義主張に振り回されない」。「月の光を見ていると、どんな教養ある人でも原始人に帰る、と言います」

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3.日本の名優が演じる「リア王」の準備段階を描いた日記文学。演技とは?死とは?親子とは?「演じる」ことに名優とはここまで自己の精魂、肉体、信念をそそぎこむのか。「ドラマチックとはダイナミックという事であり、ただ親子や恋人が分かれるだけのシーンを延々と続けるような、自己充足的感情芝居はドラマではない(劇とは劇薬の劇なのだ)。

4.ブラット・ピット主演映画の原作。ヤンキースの3分の一の予算でヤンキース以上の成績を治めたメジャーリーグの貧乏球団、オークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーンの熱狂的かつ知的な球団運営を描く。統計データを駆使し野球界の常識を覆す「弱者の戦法」とは?

5.今まで手を出せなかった谷崎物だが、これは読みやすい。谷崎の「入門編」としておススメ。知性も性に対する倫理感もない「ナオミ」に溺れて行くダメサラリーマンの「私」。自分好みの女に育てたつもりが、実は隷属させられる。男とはしかしクレオパトラ、カルメン、コンスタンツェ・モーツァルトのような「妖婦」に弱いものよ。

・・・相変わらず新書、ビジネス書は(少しは読むが)殆ど手にせず、ハヤカワ文庫を中心とした翻訳ミステリー、探偵ものばかり読む私の読書癖。年末になって初めて谷崎潤一郎を読んだが、新鮮だった。ただし「細雪」には当分手が出せそうもない。
来年はどんな本に出会えるか、楽しみだ。当面は「シャーロック・ホームズシリーズ」を読んでみよ。

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# by Mikio_Motegi | 2014-12-29 19:03 | ブレイク

謹賀新年



「すべての水は与えられた最短距離をとおって流れます。
しかしある場合には、最短距離は水そのものによって作り出されます」

(「東京奇譚集」村上春樹著 新潮文庫刊より)

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皆さま、新年はいかがおすごしでしょうか?

私は、今年は水の流れのように自然体で、しかし時には素早く、
岩をも穿(うが)つ激しさを持つ、アクセントのある年でありたいと
願っております。

本年もどうぞ宜しくおつきあい下さい。

*写真はジャマイカの"Dunn's River Fall"。20年前の新婚旅行で
訪れました。
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# by Mikio_Motegi | 2013-01-01 17:57 | ブレイク

読書週間2012

今年も秋、読書週間の季節を迎えた。
私は毎年50冊前後の本を読むが、残り少ない人生、いわゆる
「名作」と呼ばれる作品をなるべく読もうと今年は年初に誓った。

つまりライトノベルやベストセラー本には目もくれず、版を重ねた
古今東西の本物の作品を読みたい。そうでなければもし自分が今日、この
タイミングで命を落とす事があったとしたら後悔してもしきれない、
と思ったからだ。

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・・・ところが、古今東西の名著は大抵上下2巻以上ある大作なのである。
あきっぽい私はこの「上下2巻」というのが大の苦手で。

つまり今年も「大作」は読めませんでした。

**********

さて再読を含めた今年の私のベスト10は以下の通り (順不同)

   
1.「火星年代記」  レイ・ブラッドベリ著 ハヤカワ文庫

2.「君命も受けざる所あり・私の履歴書」 渡邉恒雄著 日本経済新聞社

3.「おとなしいアメリカ人」 グレアム・グリーン著 ハヤカワ文庫

4.「閉ざされた言語空間・占領下の検閲と戦後日本」 江藤淳著 文春文庫

5.「日本三文オペラ」 開高健著 新潮文庫

6.「エニグマ奇襲司令」 マイケル・バー=ゾウハ―著 ハヤカワ文庫

7.「宴のあと」 三島由紀夫著 新潮文庫

8.「女ざかり」 丸谷才一著 文春文庫

9.「たった一人の反乱」 丸谷才一著 講談社文芸文庫

10.「国が滅びるということ」 竹中平蔵・佐藤優 共著 中央公論新社

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**********

1: 幻想小説の代表作。火星に移住した人類と火星人の運命は、衝撃的で
ある意味当たり前の結果を招くことに。その「当たり前」感が恐ろしい。

2: 世界最多の発行部数を誇る読売新聞社の独裁者は、政財界、プロ野球界
に隠然たる影響力を持つ一方、カントの哲学書を読み耽る大教養人でもある。
これじゃそんじょそこらの評論家や経営者が太刀打ちできないわけだ。

3: 自らを「正義」と信じて疑わないアメリカ人がベトナム戦争で泥沼にはまった
原因は、彼らの「無邪気さ」にあった。老獪なヨーロッパ人ジャーナリストの
視点から描く文化の違いを小説仕立てに。

4: 中国や韓国の「洗脳された反日史観」を笑う前に、戦後アメリカによって
洗脳された日本人の「自虐史観」を笑え!日本人の欧米ライフスタイル礼賛の
原点は、GHQによって刷り込まれたものだった。膨大な一次資料から検証する
衝撃の書。

5: 「生きる」為、「食う」為に、人間はここまでパワフルになれるのか?
戦後の大阪の焼け野原に夜な夜な出没する大窃盗団の栄枯盛衰記。
痛快な反権力集団である彼らは、同時に究極のグルメ集団でもあった。

6: 第二次大戦中ナチス占領下のパリに単身侵入したフランス人大泥棒
ベルヴォアールの運命は?ナチスの暗号通信機「エニグマ」の争奪戦を巡る
痛快戦争冒険小説。パリの描写が彩りを添える。

7: 東京の一流料亭を舞台に、政治家の妻であり一代でこの料亭を築き上げた
美貌の女将が、夫の選挙運動に邁進する姿を描く。清廉な理想主義者である
夫より、世俗的で女の武器をフルに活用する主人公の方が実は政治家向き
だった?

8: 一流新聞社の女性論説委員が社説に書いた「単身赴任者の妻の姦通(うわき)
は当然」の一言が、政財界を巻き込んだ大論争に発展する。スケールの大きな
ギャク、諧謔が満載。

9: 民間に天下った元エリート官僚が、モデル出身の若妻と結婚してから
狂う人生行路。膨大な知識量と強靭な想像力を駆使し、日本的伝統のあり方を
描き出す。

10:日本全体がミクロ・マネジメントにこだわり、マクロを忘れてしまっている現代
への警笛の書。TPP、原発、領土、小さい事象にこだわるなかれ。

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今年の特徴は二つ。一つはハヤカワ文庫のいわゆるスパイ、SF作品が3つも
入った事。もうひとつは「丸谷才一」の著作が2点、彼の書評から購読した
作品が1点(6.エニグマ-)、計3点が入った事。昨年度の文化勲章受章を
きっかけに私が再読している著者である。先月87才で他界したが、改めて
素晴らしい作家だった、と再認識した次第。
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# by mikio_motegi | 2012-11-01 00:02 | ブレイク
竹橋の東京国立近代美術館で、アメリカの現代美術作家
ジャクソン・ポロックの生誕100年を記念する「ジャクソン・ポロック展」
が開催されている。

ポロックは20世紀のアメリカを代表する抽象表現主義の画家と
讃えられている。
競売で落札された絵画としては史上最高額の136億円を記録し、
「ピカソを超えた存在」と称賛される文字通り現代美術の至宝である。

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1912年にワイオミングで生まれた彼は、ネイティブ・アメリカンである
ナバホ族の砂絵の技法の影響を受け、キャンバスに直接筆を立てて描く
従来の手法から、キャンバスを床に置き、上から絵具を滴らせたり、
スナップを利かせて絵具を撥ねつける技法「アクション・ペインティング」を
確立した。

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また「オール・オーバー」と呼ばれる、画面を同じようなパターンで
均質的に覆い全体と部分が似通っている規則性(フラクタル)で描かれた
その絵画は、作品というよりも、新しい作画行為の軌跡そのものが高く
評価されている。

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ところがその絶頂期を迎えた直後、アルコール依存症の発症や、新しい
技法に挑戦するも確立できない焦りから、ポロックの混迷がはじまる。
黒エナメル一色の作品を描いたり、具象画を描いたりして評論家から
酷評され、また作品そのものも描けなくなってしまっている。

そして1956年、自殺行為とも言える無謀な自動車運転による事故で
44才という若さで死亡してしまう。

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至宝と称された「アクション・ペインティング」技法で作品を描き続けて
いればいいのに、彼は何故それを棄て、新しい技法に挑んだのか?
何を目指して?
その技法が確立する前にポロックは死亡してしまった為、答えは誰にも
わからず、彼の作品は何も語ってくれない。

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彼が目指したものなど私には理解できようもない。ただ、確立した技法も
名声も全て棄て、自己変革を求めてもがき苦しむ姿に、私は限りない
憧憬を憶える。どんなに成功を成し遂げてもひと時も同じ場所にいない、
変化し、とにかく進み続ける姿に。

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写真は上から、彼の代表作 「インディアンレッドの地の壁画」
(テヘラン現代美術館所蔵)

アクション・ペインティングの光景

「カット・アウト」(大原美術館所蔵)

「黒い流れ」 (国立西洋美術館蔵)

「秋のリズム」(メトロポリタン美術館所蔵)

長谷川等伯「松林図屏風(右隻)」

・・・ここで何故等伯の「松林図」を載せたかというと、日本の墨絵の特徴
である余白の使い方が、ポロックの「黒い流れ」や「秋のリズム」等に
影響を与えているのでは?とふと感じたから。
そして私が最も好きなポロックの作品も、余白が何かを語る「秋のリズム」
なのである。

現代美術は良く分からんという人は多いと思う。私もよく分からない。
では私が何故抽象画、現代美術を好むかというと、その時の私の気分で
解釈を変えられるからだ。
疲れている時は癒され、元気が欲しい時はパワーをもらえる。
そんな自分の都合に合わせた鑑賞が出来るのが抽象美術、現代美術では
ないだろうか?
もっともこの解釈も以前出逢ったある女性からの受け売りだが・・・。
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# by mikio_motegi | 2012-04-07 13:04 | ブレイク
1918年生まれのその男は、3月10日が27才の誕生日だった。
当時は月の半分を東京の世田谷・代沢、半分を北区・田端の親類の
家で起居していたが、その朝は田端にいたらしい。

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日本の敗戦が色濃い1944年12月、太平洋上のグアムやテニアン島が
米軍により陥落。日本本土がB29爆撃機の航続距離内に入り、そこを
拠点に毎日のように激しい空襲が行われるようになった。

1945年3月10日、東京に最大規模の空襲が敢行された。
ターゲットとなったのは、人口が密集し、且つ町工場が多く軍需品の
生産基地でもあった墨田区周辺。

米軍はまず墨田区の周縁部に爆弾を落とし家屋を延焼させ、炎の壁に
よる包囲網をつくった。人々が火災から逃げられないように閉じ込める
為に。

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当日は大陸からの低気圧が関東上空を覆っていた為、強風が吹きすさび、
炎はますます勢いを増す。逃げまどう人々。
火から逃れ、水を求めて荒川や隅田川に飛び込む人も多く、深く冷たい
水に溺れる犠牲者も多かった。

来襲したB29 は325機。投下された爆弾は38万トン以上。
女性、子供を含む一般市民、非戦闘員の死者8万人
(10万人以上とする調査もある)。
米軍による、世界史上類を見ない計画的なジェノサイト=大殺戮が
繰り広げられたのである。67年前の東京で。

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その男は、育ての親である親類の手を引き、逃げまどう多くの群衆と共に
北西方向に逃げた。風がその方面から吹いていた為、風上に向かって
逃げたのだ。
もしかしたらその男は、私の亡父は、同時に生まれ故郷の群馬県桐生市
の方角を本能的に目指したのかもしれない。

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誕生日。現代に生きる我々の世代なら、きらびやかで華やかな記念の日。
プレゼントを受け取り、高級レストランにディナーに出かける人も多いだろう。

僅か67年前の東京で、熱波と寒風の吹きすさぶ中、逃げ惑う群衆の
阿鼻叫喚にまみれて、27才の誕生日の朝を迎えた亡父。

生前、あの日を「僕が一度死んだ日」と呼んでいた父の10回忌を迎えて。

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写真は上から

 「爺の散歩:写真集」
           (吉野山隆英氏作画 『報われぬ犠牲』より)

 森ビルのHPより。

 狩野光男氏作画 「東京大空襲」より

 毎日新聞HP 「昭和毎日」より 焼け残った両国国技館周辺。
     
 シャンパンのイメージ画像
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# by Mikio_Motegi | 2012-02-19 15:23 | ブレイク

2012年を迎えて

「きれいな花はゆっくりと、雑草は急いで伸びるもの」

(「リチャード三世」W.シェイクスピア作、木下順二訳 岩波文庫)

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2012年、喪中の我が家は、京都で静かな新年を過ごしております。

東日本大震災では、行方不明者・死者の合計が19,000人を超え、
32万人が故郷を離れ避難・転居する事になりました。さぞかし去年とは
様相の一変した新年だった事でしょう。

私はこの現実から目を逸らさず、且つ偏向したプロパガンダには動じず、
ゆっくりでも確実に前向きに進む一年にしていきたい、と祈念しております。

本年もどうぞ宜しくお付き合いください。
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# by Mikio_Motegi | 2012-01-01 17:48 | ブレイク

読書週間2011

晩秋の11月というのに生暖かい日が続く。読書に勤しむには、木枯らしが
吹く寒い夜、温かいストーブの傍らでページを開くというシチュエーションが
望ましい、と言ったらステレオタイプ的だろうか。

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さて3年前から続けている「読書ノート」を基にしたこ時期のブログのテーマ
「読書週間」だが、今年は私の読書量が例年に比べ減っている。

理由は二つ。311震災と東電原発の放射線漏れという大災害・大事故を
目の当たりにし、フィクションを遥かに凌駕するノンフィクションに圧倒されて
しまった為。
もう一つは大流行のフェイスブックに本来読書に充てる時間の大部分を
とられた為。これに尽きる。


・・・ごたくはさておき、昨年11月から今日まで読んだ本、再読を含め
ベスト10は以下の通り (順不同):

1.アディダスVSプーマ      バーバラ・スミット  RHブックスプラス

2.文明の生態史観         梅棹忠夫       中公文庫  

3.食通知ったかぶり        丸谷才一       中公文庫

4.生還                石原慎太郎      新潮文庫

5.花の生涯             舟橋聖一        祥伝社文庫

6.鏡子の家             三島由紀夫      新潮文庫

7.リチャード3世           シェイクスピア    岩波文庫

8.昭和天皇独白録         寺崎英成(編)    文春文庫 

9.ドリアン・グレイの肖像     オスカー・ワイルド   新潮文庫

10.高熱隧道            吉村昭          新潮文庫

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以下は短い感想と、印象に残ったフレーズ。

1.スポーツ用品メーカーから巨大ブランドビジネスに発展した両社の
歴史。スポーツ界にダイナミックなポリティクスを導入した際の経緯を
たどるビジネス書でもある。
サッカーのエースナンバー「10」を巡るエピソード、ペレが
試合開始直前にわざとかがみこみスパイクの紐を直す事で、プーマの
ロゴが世界中に放映されるという演出を企てるなど、印象深いシーンの
舞台裏のエピソードの連続。

両社の今の隆盛が、実は極めて地道で泥臭い「営業」活動から
成り立っているという記述も興味深い。

「(商売の成否は)全て人間関係に尽きる」

「新興国に於いては、スポーツの勝利はどんな政治的事業より
大衆の熱気をかきたてる。政治家は自らの政治的立場を強固に
する為、優れたスポーツ選手を求め、アディダスはそれに協力した」


2.50年も前の書だが、文化、習慣、諸現象の日本と諸外国の比較は
いまだに色あせていない。

官僚機構の本質について、「責任回避、不親切、形式主義、非能率。
(インドは)長くイギリスの支配下にあり、自己の決断と努力の結果が
自らの身の上に実りとなって返ってこない社会で、誰がきびきびと
働くか?」

「日本はアジアではない。日本の社会現象は西ヨーロッパとのみ比較
可能」

「岡倉天心の『アジアはひとつ』思想が、むしろ大東亜共栄圏思想
を生んだ」


3 今年の文化勲章受章者のエッセイ。散りばめられる美文の数々に
圧倒される。

「鴨は、まだ赤いくらゐが柔らかくておいしい。緋いろのにじむ熱いやつを
卵にくぐらせて口に入れると、それはほのかに土の香りを漂わせながら、
滋養に富んだ肉の味を口蓋に、舌に、歯茎にしみこませ、やがて、もっと
ほのかに、ごく微量の灰の味を口中に残す。そのとき人間は、この鴨が
かつて踏んだ土地の精気と彼が飛び翔けた空の風の匂ひとを体内に
取り入れるのである」
 
こんな文章、丸谷の他に誰が書けよう?


4.末期ガンに罹った男が、仕事、家族、友人、文字通り全てを捨てて
民間療法にかける鬼気迫る姿。男が最後に勝ちえた生とは?

「抗がん剤を飲み、千に一つの奇跡を期待しながら色々の合併症の中
で苦しみ、貴重な残り数カ月の命を半年なり一年延ばすのか?」

「動物には胃痛はない。痛くなったら彼らは治るまで飲みも食べもしない。
結局それが一番」


5.「桜田門外の変」で倒れた井伊直弼の生涯。思いもかけず井伊家を
継ぎ、やがて幕府の大老職に就く直弼。折しも突然の黒船襲来に、
沸き起こる攘夷論、開国論。直弼は広い世界に目を向けるべきという
信念から開国を決断、「安政の大獄」を引き起こす。

親友にして俊才の長野主膳を腹心に、絶世の美女村山たか女を密偵に
配し、維新前夜に生き抜いた波瀾、絢爛の人生を描く。

「怒りを物にうつすは小人の常、罪なきを人を罰すると同じ」

「主戦論のほうが非戦論より景気よく聞こえる。国民の大多数は
どちらが正しいかわからないが、煽動的な好戦論に何となく無責任な
拍手を送りたがるもの」

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6.商社のエリート社員、ボクサー、画家、俳優。個性的な若者達が
毎夜サロンのように集う資産家令嬢の主人公・鏡子の邸で繰り広げ
られる青春悲喜劇。三島のシニカルな人間観察がセリフとなって
胸に刺さる。

「画家たちが、自分の絵を買ってくれそうな実業家を喜ばすのに用いる
殺し文句。『あなたのお仕事のお話を伺っていると、芸術家の方法と
根本的なところで共通するものがありますね』。すると相手は
必ず喜色をたたえ膝を乗り出してくる。実業家の、芸術家に対する
コンプレックスを利用して絵を高額で売りつける常套手段だ」


7.「ハムレット」と並び、歴史的名優たちがこぞって演じたがる異形の
主人公。恐るべき残忍、知謀、豪胆を併せ持ち、妻、友、部下、
幼い皇太子を殺し、国王に上り詰めるリチャード。
重層的な人間像、心理と、コンプレックスという行動原理を描き切る。

「早咲きの花の後には短い夏。きれいな花はゆっくリと、雑草は
急いで伸びるもの」

「悪魔を演じきっている時こそ聖人に見える」

「どうして不幸は口数を多くするのだろう?喋ったところで何にも
ならないが、気持ちだけは楽になる」


8.柳田邦夫「マリコ」で名高い外交官、寺崎英成が書き取った、
終戦直後の昭和天皇のお言葉。

印象的なのは、松岡洋右や東条英機、西園寺公望への独自の辛辣な
評価。

「他人の立てた計画は常に反対し、条約など破棄しても構わない男」
(国際連盟の脱退宣言をした松岡洋右)

「・兵法の研究不足 ・余りに精神に重きをおき、科学を軽視した事
 ・陸海軍の不一致 ・常識ある首脳の不在、専門家ばかりで大局観が
無く、統率力に欠いた」 (敗戦の原因)


9.美貌の青年ドリアンは、彼の肖像画に否が応でも年老いて行く自分
を照らし合わせ、変わらぬ美貌を求め耽美で背徳的な生活を享受する。
ところが彼自身が罪悪を重ねるごとに、肖像画が醜く変わり果てていく
という不思議な現象が起きる。
焦燥するドリアンは遂に・・・

「善も悪も芸術家にとっては芸術の素材にすぎぬ」

「司教様は80の歳になっても18の時に教えられた事を後生大事に
繰り返す。だからいつまでもおっとりと美しい顔をしていられる」

「他人の悲劇というものは、いつもきまってひどく安っぽい」

「女が再婚するのは前の夫が嫌いだったから、男が再婚するのは前の妻
が好きだったから」

「女は素晴らしい原始本能の持ち主。男は女を解放してやった、が、女は
依然として主人を求める奴隷。支配される事が好きな動物」

「他人の過ちの重荷を我が身に背負うには、人生はあまりに短い」


10.戦前の黒部第3ダム建設途上、圧倒的な自然の猛威と、トンネル貫通
に取りつかれた男たちの執念が極限でぶつかり合う。人間は自然に
打ち克てるのかという根源的テーマに取り組んだ記録文学。

技師と人夫、エリートと非エリートとの関係を描いた章も、正鵠を得ている。

「技師と人夫。監督する者と従属する者という関係以外に、根本的に
異なる世界に住む違和感が潜んでいる。技師は生命の危険にさらされる
ことは少ないが、人夫は死が前提になっている。だが、人夫たちは技師との
間に潜んでいる矛盾に関心を持とうとしない」

*********************

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・・・昨年、もう少しビジネス書も読むべきだったと自省したにもかかわらず、
今年もいわゆるベストセラーのビジネス書は書店で手に取る事もしなかった。
よってランクインしたのは「アディダスとプーマ」のみ。

大震災を目の当たりにし、既存の価値観を大転換期しなければならない今、
ビジネス書の内容はあまりにも頼りない。
それより永い時を経て読み継がれた名作にこそ未来への指針がある、
と私は信じている。
もっともベストセラーのビジネス書を自分が追随して読んでも、あまり
リターンは得られないだろうという打算もあるが。

ただ新刊が1.と8.のみというのもつまらない。永遠のベストセラーになる
書を新刊の時点で見いだす先見性も私には必要だろう。
来年のテーマとしたいと思う。

とにかく読むべき名作はこの世に余りにも多く、私の読書量は全く
追いつかない。

写真は上から、京都生まれの日本画家 中村大三郎の「読書」
Flicker より 書店のイメージ
今年の10冊。私は電車での移動の際に本を読む事が多い。よって
殆どが文庫本
Flickerより、カルカッタの本屋
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# by Mikio_Motegi | 2011-11-03 12:43 | ブレイク

ブログ休筆について

ただ今ブログを休筆しております。

8月11日に実母が逝去し、その前後の慌ただしさに紛れたのと、
ブログ開設後ちょうど5年が経過し、そろそろレビューする頃かなという思いが
重なり、何となくPCに向かう気がしなくなったのが休筆の主な理由です。

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ちなみにフェイスブック(FB)では私は頻繁に発信しています。
FBで何かを発信すると確かに反応が早いのは事実。
ブログと違い、公開範囲を限定できるので炎上する心配が少ないのもFBの
魅力の一つでしょう。

ただブログの記録は長期間残るのに対し、FBでの発信はせいぜい2日で鮮度
を失い、以降は誰からも省みられません。
いわば「発信しがい」が無いのです。
また私には「つぶやき」を他人に発信する興味は全く無く、その意味でブログの
方が私に性格に適したメディア、と言えるでしょう。

驚いた事に休筆をして2カ月が経つのに、未だに毎日100名前後の方々が
このブログにヒットして下さっています。
そうした皆さまのご期待に応えるため、これからも随時ブログを掲載して
いきたいと思います。

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今までのような週一のペースにこだわらず、発信したい事象が自分の中で
熟成した時にのみ、つまり回数より内容に重点を置いたブログにして
いきたいと思います。これからもどうぞご愛顧下さいませ。


写真は上が実家での母の棺と、それを見守る愛犬コテツ。
久しぶりに10日ほど実家に滞在しました。

下は先日訪れた静岡県御前崎で光景。
娘たちが、日本では鳥羽や敦賀の静かな入り江しか見た事がない
というので、太平洋の大海原を体感させたかったのです。
台風15号上陸前日のもので、大自然の猛威に私も心身ともに
洗われた気分でした。
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# by mikio_motegi | 2011-09-25 12:31 | ブレイク
先週の7月23日(土)、ACCJ(在日米国商工会議所)関西主催の
納涼イベント "An Evening with Maiko & Geiko at Kyoto Brighton
Hotel"が開催された。
昨年に続き2度目となる今回も京都ブライトンホテルの全面的なサポートの
お陰で盛況だった。

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規格外れの豪華なビュッフェ・メニュー、芸妓さん、舞妓さんの素晴らしい
踊りのパフォーマンスと参加者一人一人との交流・写真撮影など、充実した
内容だった。

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ただ正直言ってこのイベントの企画担当の私としては、来年もこれを同じ形で
続けるかと問われれば"No"と答えるだろう。理由は下記の通り:


1.同じ形のイベントを3年繰り返すことに耐えられない。
"Progress"(進化), "metamorphosis"(変態/ヘンタイではない!)が
信条の私としては。

2.あまりにも京都ブライトンホテルの好意に「おんぶにだっこ」状態で、
申し訳ない。

3.ACCJ会員の参加者が少なく、腹が立つ。


1.は私個人の考えなのでどうでもよいが、2.3.はイベントの
sustainabilityに関わる問題だと思う。
つまりは簡単な事だが、ブライトンの好意に甘えることなく、且つ
ACCJ会員が多く参加でき楽しめるイベントにすればよいのだと思う。

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全くのフラッシュなアイデアだが、会場を京都のどこかのお寺や神社、
旧蹟に移し、(ブライトンの料理をケータリングする事も視野に入れ)、
一般市民や学生をターゲットにする。震災で被災した人たちを招待したり
してもよい。

もっとシンプルに、会場を交通至便な大阪に移し、芸妓さん&舞妓さんを
京都から呼んでのイベントにするのも一考の価値があるだろう。

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とにかく進化が終わったら人生も終わりだ。来年は3年目となるこのイベント
を何か新しい形に仕立て上げたいので、どうぞ皆さんのご協力を
お願いします。

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写真は上から京都五花街の一つ、宮川町から来てくれた芸妓さんと
舞妓さん。

豪華なビュッフェ・メニュー

芦屋と六甲から駆け付けてくれた中島亜佐子さんと岡野栄子さん。
中島さんはサンドブラストのアーティスト、岡野さんは真珠宝飾の
デザイナー兼トレーダー。

京都ブライトンホテルからの眺望。御所の緑の向こうに大文字が望める。

ACCJ会員、大杉宏美さん。大阪の行政書士の先生でもある。
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# by Mikio_Motegi | 2011-07-30 13:53 | 京都・紀行