ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

マイルスを聴く季節

普段の仕事中はクラシックをオフィスのBGMに流している私だが、秋の
深まるこの時期の夕刻になるとどうしても聴きたくなるのが
"Somethi' Else"の一曲目、"Autumn Leaves"だ。
このアルバムはサックスのジュリアン”キャノンボール”アダレイが
リーダーとなって1958年に制作されたもので、ジャズの傑作の一つと
言われている。

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ただ実際にこのアルバムのリーダーだったのは「帝王」マイルス・デイビス
であることは間違いない。レコード会社との契約上の問題でマイルス
はリーダーにならなかったのが実情のようだ。

"Autumn Leaves"は「枯れ葉」のタイトルで日本でも有名なフランスの
シャンソンが原曲だが、マイルスはトランペットにミュート(弱音器)をかけ、
ダークでクールなイントロを聴かせてくれる。
その後はジュリアンの奔放なサックスのインプロビゼーション(即興)、
そしてマイルスとジュリアンをピアノのハンク・ジョーンズ、ベースの
アル・ジョーンズ、ドラムスのアート・ブレイキーという錚々たるメンバーが
サポートする展開。

シャンソンの原曲では、「遠く過ぎ去って還ることのない恋愛への追想を、
季節を背景とした比喩を多用して語る感傷的なもの」(Wikipedia)
を歌ってるが、マイルスは言葉/詞 を使わずトランペットだけで見事に
感傷的なこの曲のテーマを再現している。

またこの曲はジャズに於ける「即興」の解釈の違いを、ジュリアンと
マイルスは際立たせている。
すなわちジュリアンはその名の通りキャノン砲のような強烈で多彩な多くの
音を吹きまくり、一方でマイルスはほぼ原曲に忠実に、最小の音で
シンプルに語っているのだ。
若く才能に溢れたジュリアンを、内省的な帝王が支えると言ってしまうと
ありきたりの評価だが、対照的な二人のプレイスタイルが面白い。

そしてバックメンバーも実は大変なプレイヤーばかりなのに、この曲では
実にシンプルに、律儀にサポート役に徹してしているのも心地よい。

もしまだジャズに触れていない方、ジャズに興味はあるが何を聴いたら
良いか分からない方がいたら、最初はこの"Autumn Leaves”を
聴くことを是非お奨めする。
マイルスは他にも
"Round (About) Midnight"、
"It Never Entered My Mind"、
"Someday My Prince will Come"
等々で素晴らしいミュート・プレイを聴かせてくれる。
いずれも今の季節、秋の夜長にピッタリな曲である。

さて、これも私が愛聴しているマイルスの、いやジャズの最高傑作と
いわれるアルバムに"Kind of Blue"がある。
アルバムのトータルな完成度は確かにこちらが"Somethi' -"より上と
言えるだろう。
どちらも1958年・59年という同時代の作品で、どちらもマイルスと
ジュリアンが競演している。
”Kind of Blue"の、CDバックカバーの英文をそのまま紹介しよう。

"If you're going to heaven, might as well go first-class all
the way"(どうせ天国に行くのなら、ファーストクラスで行こうじゃないか)。

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by Mikio_Motegi | 2008-11-01 22:11 | ブレイク