沸騰都市シンガポール
2009年 02月 16日
られていた。
未曾有の経済・金融危機はシンガポールをも襲っているが、そんな状況
でも彼らの「バイオ」、「海外不動産」そしてそれらに関連する「人材」への
投資意欲は失われていない。
EDB(経済開発庁)出身のフィリップ・ヨー総理大臣特別顧問が陣頭指揮を
取り、世界中のバイオ・テクノロジーの最優秀な人材をヘッドハンティング
している。
人材へのインセンティブは破格奈高給、抜群の生活環境、そして上限のない
研究開発費用に象徴される国家ぐるみのバックアップだ。
集中的な投資と明確な目標設定。300億円を掛けて計画から僅か3年で
「バイオポリス」という一大研究拠点を建設。
バイオ関連産業の工業生産高に占める割合は、5年前の3倍に近い
9%に至った。
勿論日本人も彼らのターゲットだ。日本の国公立系研究機関は60才で
定年を迎えると退官し、必然的に予算の乏しい民間に移り細々と研究を
続ける例が多い。
シンガポールはそんな彼らに破格のインセンティブを提示して、取り込もう
とするのだ。
「60才定年制?信じられない。ナンセンスだよ」
ヨー特別顧問はNHKのインタビューにそう答えた。
研究者としてはまだまだ旬の人材を活用するシンガポールと、ただ
手をこまねいている日本。
ちなみにバイオポリスの海外人材招聘担当者の一人は、70才になる
伊藤嘉明元京大教授。京大定年退官時に、研究室ごとバイオポリス
に引き抜かれた事で話題になった人物である。
彼らの次のターゲットは京都大学の山中伸哉教授。
万能細胞であるiPS細胞を人工的に開発した、米タイム誌が選ぶ
「世界に影響を与える100人」に選ばれた再生医療の第一人者だ。
以前のこのブログでも取り上げたが、「冒険投資家」ジム・ロジャーズ」が
近年家族と共にシンガポールに移住した。
ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスらと共に「世界最強の投資家」と
異名をとる彼は、シンガポールを拠点に中国の商品市場にターゲットを
絞り、新たな投資戦略を練っている。
「世界恐慌に見舞われた1930年代のアメリカにも、財を築いた人は
沢山いる。ピンチの今こそチャンスだ」
彼は地元経済団体が主催した投資セミナーでこう語り、投資家達を
煽る。
このビリオネアをして67才という年齢で移住させたシンガポールの魅力は
どこにあるのだろうか?
ところでお年寄りの話題の後で大変恐縮だが、先週私は「日本・
シンガポール協会」主催の「関西シンガポール同窓会」に出席してきた。
出席した多くの方達が日本の企業戦士としてシンガポールに駐在経験
をし、退職後の今もボランティア等でシンガポールに関っている。
彼らも皆かくしゃくとしていて、元気だ。
最高齢80才の方からは、彼のシンガポールでのネットワークと私の
ビジネスとのコラボレーションの具体的な提案まで頂いた。
どうも「シンガポール」に関ると、人は元気になるのかもしれない。
建国60年足らずのこの国から、紀元2700年近いわが国が影響を受ける
事柄はまだまだ増えていきそうだ。
写真上はスイスホテル・スタンフォードからのシンガポール夜景。
中はwww.hackeast.com より。
下はKKRホテル大阪で催かれた「関西シンガポール同窓会」記念写真。
前列左から2人目がチュー・ウィー・ヨン大阪総領事。