ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

楽園のこちら側

東南アジアに住む知人が「デング熱(Dengue Fever)」に罹患した。
デング熱とは、主に熱帯シマカ(蚊の一種)を媒介とする伝染病で、熱帯地区
を中心に常に流行している。

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症状として高熱が3-5日間続き、頭痛・筋肉痛・関節痛等の痛みが全身に
現れるのが特徴だ。
ワクチンは無い。ひたすら安静にし、熱が引くのを待つのみである。
ただし後遺症が残るような重病ではないし、致死率も1%以下である。
もし海外で感染・罹患した場合、なかなか帰国できないのでやっかいだ。
伝染病に認定されており、つまり病原菌が蚊→ヒト→蚊→ヒトと感染するので、
完治しないと帰国が認められないのだ。

実は私もインドネシア・ジャカルタ滞在中の1997年に高熱が下がらない症状
が続き、やはり当時大流行していたデング熱の疑いがもたれたことがある。

検査を受けたのはジャカルタでも超一流といわれるポンドック・インダー病院
だが、その検査方法が面白かった、というか原始的だった。
静脈注射をする際のようにゴムチューブを上腕に巻いて血流を止め、次に
固い消しゴムのようなもので上膊部の皮膚を強くこする。
青黒い斑点が現れたら陽性。幸い私は皮膚が赤くなるだけだったので陰性
と判明したが。

以上のような理由で、「たかが蚊」と馬鹿に出来ないのが熱帯に住む事の
リスクのひとつだ。
蚊を見つけると大の大人が血眼になって捕まえようとするのは日常良くある
こと。
ジャカルタのシャングリ・ラをご贔屓にして下さった当時の渡辺泰造
駐インドネシア大使が、「なだ万」の個室で会食中に紛れ込んできた蚊を
数匹見つけるや、日本から来た客人をそっちのけでパチン、パチンと手を
叩いてこの小さな虫を捕まえようとしている様を思い出す。

「なだ万」のVIP個室でのこの騒ぎに駆けつけた私も参戦し、悪戦苦闘して
ようやく仕留めたのだが、その様を眺めていた事情を知らない日本人客が
呆気にとられていた。が、かように蚊を退治してあげることがこの国に
外国人を迎える際の最高のホスピタリティである事は、文字通り渡辺大使
自らが示してくれたのである。

ちなみに蚊は自力で空中高く飛べないので、コンドミニアムの上層階に
住むのがこのリスクを避ける方法の一つだ。幼い子を抱えた我が家が
その後のシンガポールやペナンで常に15階以上の部屋に住んでいた
理由はそこにある。

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蚊だけでなく、あの地域では海岸に生息する「砂バエ(Sand Fly)」も
厄介な存在だ。
砂バエは日本のブヨをもっと強力にした奴で、これに噛まれるとその部位が
情けないほど腫上がってしまう。

私もインドネシア・ビンタン島のゴルフ場でにこれに右のふくらはぎを
噛まれ、翌日に膝から下がみるみる丸太の様に膨れ上がってしまった
経験がある。
これも慌てて日系の病院に駆け込んだのだが、医師によると完全に腫れて
膿んで、その後切開するしか治療法が無いという。
革靴が履けないので仕方なくサンダル履きで数日を過ごし、腫れきった
ところで病院で切開してもらったのだが、どす黒くなったおびただしい血が
切開部から湧き出てきて驚いたものだ。

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他に熱帯では誰でも罹る可能性の高いのが「アメーバ赤痢」。
地元の食材や水等の経口感染で、ひどい下痢の症状が1週間は続く。
私もジャカルタ着任直後にこれにやられ、地元の仲間達からは
"Welcome to Jakarta, Mikio"と歓迎?されたものだ。

私達家族は被害に遭わなかったが、A型肝炎も食べ物を媒介とする経口感染
なので要注意。

今回のタイトルの「楽園のこちら側」とはアメリカの作家スコット・フィジェラルド
のデビュー作をも借用したもの。もちろん作品と熱帯性の病気とは関係ない。

このブログで私は東南アジアでの生活をまるで天国であるかのように描写する
事がしばしばあるのだが、かようなリスクと背中合わせであることをどうぞ
くれぐれもお忘れ無きように。

写真は上が熱帯シマ蚊。
中は赤色がデング熱の罹患危険区域。
下が砂バエ。
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by Mikio_Motegi | 2009-03-01 17:43 | 東南アジア