「すべてを変えろ」-サムスンの挑戦
2009年 03月 22日
"Omnia"(オムニア)。昨年11月に発売されたもので、日本では
坂本龍一がイメージキャラクターとしてCMに起用されていたので
憶えている方も多いだろう。
私がOmniaを選んだ理由は何といってもデザインの素晴らしさ。
マレーシア・ペナン島のコンドミニアムに住んでいた際、オーナーが
用意してくれたテレビと冷蔵庫がサムスン製だった。
どれも機能的には日本製と全く遜色なく、むしろ現代的なデザインは
日本のそれより素晴らしかったという印象を持っていた。
よって私には日本人の多くに見受けられるサムスン製品に対する
マイナスのイメージが全く無い。
サムスンは1993年、当時の李健熙(イ・ゴンヒ)会長が
「家族以外は全て変えよう」という有名なフランクフルト宣言を発し、
経営の大改革に乗り出した。
サムスンはそれまでは「安かろう、悪かろう」というレベルの商品しかなく、
国際的な評価も極めて低かった。
そのサムスンに「いかに素晴らしい機能や技術があっても、デザイン
が悪ければ商品は売れない。サムスンのイメージを変えるにはデザイン力
の強化が必要」と痛烈に批判したのが、商業デザイナーの福田民郎氏
(現京都工芸繊維大学院教授)だ。
福田氏はサムスンがおかれた当時の状況を痛烈に批判、商品企画と
デザインがかみ合わない開発など、商品に対する問題点を羅列し報告書
にまとめた。
それを読んだ李会長は怒り心頭に発し、「すべてを変えろ」発言に至った
という。
今やサムスンは世界を代表する電機メーカーになったが、福田氏は
「サムスンを変えた男」として、李会長から三顧の礼で同社技術顧問に
迎えられたという。
さてOmniaはタッチ・パネル方式で、操作はタッチペン又は指の爪で行う。
メール通信の際は「面倒くさい」と感じる方も多いだろうが、私はメール機能
はあまり利用しないので全く問題ない。
カメラの画像は500万画素を越え、市販のデジカメ並み。今後は私の
ブログ作成に大いに活躍してもらおう。
気になる料金だが、本体価格は7万円。ソフトバンクの他の最新機種と
同等で割高な印象だ。だが私の場合前の機種を買って3年近く経ち、
かつ通話のヘビーユーザーなのでポイントがアホみたいに溜まっており、
それで全てカバーできた。つまり実質無料。
ソフトバンクの店員さんには私の桁違いのポイントの多さに「こんな
ポイント数初めて見ました。ヤバイです」と言われてしまったが。
もちろん最新の機器なので、私などには不要・理解不能な機能も
満載している。
腹が立つのは、メカ好きの次女がいつのまにか私よりOmniaの機能
を理解してしまい、私が操作に戸惑っていると「あ、それはこうするんやで」
と言って色々指示をしたがる点。
「フランクフルト宣言」に「家族以外は」というセンテンスが無かったら
変えてしまいたくなる誘惑に駆られる、といったら言い過ぎだろうか。
(「フランクフルト宣言」に関する記述は「理系白書3 迫るアジア
どうする日本に研修者」毎日新聞科学環境部編 講談社文庫
114ページを参考にした