ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

桐生の棟方志功

版画家の故棟方志功(むなかた しこう)といえば20世紀の日本美術界
を代表する大芸術家だ。
独特の作風と、「わだばゴッホになる」と言い切るほど苛烈な人生、
そして幼少時代に事故で殆ど失った視力を補う為、顔を殆ど版木に
くっつけるようにして作品に取り組む姿は幾度かドキュメンタリーで
放映され、また渥美清、片岡鶴太郎、劇団ひとり等主演でテレビドラマ化
されているのでご存知の方も多いだろう。

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その棟方の壁絵を見る機会に恵まれた。場所は私の郷里である群馬県
桐生市の「芭蕉(ばしょう)」という西洋料理店。
1953年に縁あって桐生に投宿していた当時全盛期の棟方は、
芭蕉の主人であり且つ芸術愛好家としても地元で有名だった
小池魚心(こいけ ぎょしん)氏と意気投合。
当時「馬小屋」という愛称もあった芭蕉に、馬をモチーフにした壁画を
描いて見せた。
作品は幅3メートル、縦2メートル近くの大きなもの。が、作品の出来に
不満だった魚心氏は、完成翌日になんとこの絵ごと壁全体を漆喰
(しっくい)で塗り固め覆ってしまう。

私はこのエピソードは、魚心氏と遠縁にあたり且つ交遊のあった私の
亡父から聞かされて知っていた。
ところがこの幻の作品が、魚心氏の子息である現店主の英断で漆喰を
剥がし、50年ぶりに現代に蘇ったのである。

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芭蕉のある「糸屋通り」は、当時隆盛を誇った桐生の織物産業の
栄華を偲ばせる。
また芭蕉の佇まいは昔から独特で、店内は今も変わらず超レトロ
な民芸調。両親に連れられ子供の頃は何度も通った私としては、多分
30年ぶり
の再訪であった。

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作品の私の評価は・・・良くわかんね(桐生弁)。
店内が暗いのと、ビールを飲んで酔っ払っていたので。
でもこうして撮った写真を改めて眺めると、なんだかシャガールの絵
みたいでもある。
棟方らしくなく、芭蕉の民芸調な雰囲気にも合わない作品の
完成を目の当たりにした際の魚心さんの心象たるや、いかばかり
だっただろう。

写真は上から棟方の代表作の一つ「門世の柵」。「はてなキーワード」より。
中2枚が「芭蕉」。
下が今回蘇った作品。
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by Mikio_Motegi | 2009-06-14 22:44 | 京都・紀行