ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

京都の地蔵盆

「地蔵盆(じぞうぼん)」は、辻々に祀られているお地蔵様の縁日。
毎年旧暦の7月24日、グレゴリオ暦の8月24日前後の土日に
執り行われる。お地蔵様は子供の守り神とされており、地域の
子供たちの為の縁日-お祭りである。

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京都の市内を歩けばお気づきだろうが、ここはやたらとお地蔵様が
多い。一説5000体以上のお地蔵様が祀られているという程だ。

この日が近づくと、町内の住人はお地蔵様を洗い清め、お化粧を
施し、前垂れを新調する。
住人に子供が生まれると、名前を書いた提灯を新調し奉納する。

ロケーション、規模、風習等全てのお地蔵様は条件が違うので、
理論上5000通りの地蔵盆の祝い方があるという。
我が家の町内の地蔵盆は、当日は地蔵の前にテントを立て、
提灯を下げる。祭壇に灯明を上げ「曼荼羅(まんだら)」という幟(のぼり)
を立てる。
お地蔵様の前の通路が狭いので、一般車両の通行を遮断してしまう。

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子供達はテントの中や周囲で、大人が用意した福引やゲーム、
金魚すくい等に興じる。
また大人たちも自分の子供時代を思い出し、子供に昔話をしたり
昔のゲームを教えたりして楽しんでいる。
昼食も済ましてしまうので、日がな一日子供達は飽きることがない。

特に毎年8月24日前後は地蔵盆ラッシュなので、京都の市街地の
あちこちでこのような風景が見られる。
場所によってはテントは張らずガレージや民家の庭先、マンションの
集会場で執り行われることも多い。

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地蔵盆という風習は京都、大阪、滋賀及び若狭地方に多く見られると
いう。
関東には地蔵信仰は薄く、代わりに稲荷信仰が篤いという。
当然のことながら関東で生まれ育った私にとって、地蔵盆は全く
ちんぷんかんぷん。
子供達はともかく、大人までも何故こんなに真剣になって遊ぶのか
当初は全く理解できなかった。

中世の京都は、この時代のご多分に漏れず衛生観念が無かった。
具体的に言うと、疫病の流行や戦禍などで人が死んでも埋葬せずに
死体は野ざらし。
埋葬などをする余裕も無いほど人々は貧しかったのだ。

もちろん身体の弱い子供達が疫病や戦禍の犠牲になることも
多かった。
まだ幼い子供の死体が野ざらしで朽ちていく。
見かねた町民がその地に遺体を埋葬し、霊を慰める為に建立したのが
現在のお地蔵様の由来であるという。

少子高齢化、核家族化、中心街の人口空洞化といった現代病の影響で、
京都の地蔵盆も年々寂れていく。
お地蔵様を祀っていても、子供のお祭りでありながら子供自体が
そこに住んでいないのだ。

地蔵盆を伝承し次世代に残すのは私たちの責任である。
そして国の宝でもある子供達の為に、私たちが為すべき事はあまりにも
多く重要だ。

・・・私は悲しいお地蔵様の由来を知った当初、街中を歩くたびに出くわす
彼らの前でその都度立ち止まり、「南無阿弥陀仏」を唱えていた。
でも毎回それをやっていると家から最寄の駅まで5-6箇所は立ち止まら
なければならないという現実に直面し、直ぐに諦めてしまった。

こんな私に国の施策を批判する資格があるかどうか、我ながら甚だ
疑問である。折りしも今日は衆議院選挙の当日・・・。


写真上は「数珠(じゅず)回し」。長さ3-4メートルの大数珠を皆で回し、
ご詠歌を歌うという独特の風習。 www.kokuta-keiji.jp

中、下は我が家の近所の地蔵盆風景。
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by Mikio_Motegi | 2009-08-30 22:41 | 京都・紀行