ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

ミシェランガイド 京都・大阪 2010

「ミシェランガイド 京都・大阪2010」が刊行された。
今年4月の「週刊文春」で、「ミシュランガイド京都・大阪』独占スクープ!
京都老舗料亭『掲載拒否』の真相』 というコラムがあり、反響を呼んだことを
ご記憶の方も多いだろう。

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曰く、京都の誇り高き老舗料亭の主人はミシェランガイドに掲載されることを
潔(いさぎよ)しとせず取材を拒否したとか、数百年の歴史を誇る京料理を、
文化・風土の違うヨーロッパのガイドブックに何がわかる、とかいったもの。

これらの騒動に乗ってあーだこーだと騒ぎ立てること自体、日本のメディア
や評論家がいかに簡単見事にミシェランのプロモーション戦略にはまっている
かを如実に表しているのだが。

私はミシェランガイドを評価している。
まず第一に、ミシェランガイドは複数の覆面調査員による同一メソッド
による調査がなされ、その結果膨大な資料が共有化されている。
次に彼らの独立性、つまり掲載料・スポンサー収入を求めない姿勢。
最後に毎年評価を更新する制度。
これらの「公平さ」がガイドブックとしての安心感を揺るぎ無いものに
していると思う。

それに対し、多くの日本のレストランガイドはそれを書いた個人の好み、
思い入れが色濃く反映しすぎて、ガイドブックの体をなしていない。
また素人の意見を取り入れすぎていて、最大公約数的な評価しかしていない。
つまり呼んでいて面白くない。
大ベストセラー「恨みしぇらん」(西原理恵子、神足裕二著 朝日新聞社刊)
のような徹底的な偏見、自己満足本であれば読み物として大いに楽しめるが。

故開高健がサントリーのPR誌「洋酒天国」の編集に携わっていた頃、
味覚に関係する随筆を4年間で計240名の各界の知名人から集めたことが
あった。
が、「一人として酒や料理についてブリア・サバランの形而上学をめざす人が
いず、ただただ私小説風身辺雑記に終始している・・・」
「すべて日本人の書いた味覚に関する文章は実体感覚につきて抽象を
やらない・・・」
「精緻な文章はしょっちゅう出会わすが、ついにそれは感覚の報告の域を
出ない。真のエピキュリアンがいない」と述べている。
(「ピカソはほんまに天才か」 中公文庫刊)

ところでミシェランガイドによると、彼らの掲げるミシェランを出版する
目的として「より良いモビリティへのミシェランのコミットメントの一環として、
旅行や休暇、外食が喜びとなるように可能な限り尽力します」とある。

観光産業を日本のGDPの大きなドライバー(推進力)の一つに育てるという
「YOKOSO!JAPAN」の理念にも合致するではないか。

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さて上述の「京都の老舗料亭が掲載を拒否」とあるのは、どうもメディアの捏造
あるいは「やらせ」だというのが真相のようだ。
(日経トレンディメディア 2009.6.08)

もし本当にミシェランやそれに準ずるガイドブックの取材・掲載を拒否するような
店があるとしたら、いずれは滅びる運命にあるだろう。
日本人の人口が減少するという迫り来る少子化の波は、国際化に対応
できないこんな店など造作も無く呑み込んでしまう。

京都以上の美食の都であるパリ、ニューヨーク、香港を見れば分かる。
外国人客を差別せず、彼らの消費に期待しないことには日本の外食産業の
未来は無い、と考えたほうがいい。

写真は上が「ミシェラン京都・大阪2010」プレスリリースより(日経ネット)

下は、近々家内と出かける予定の「上賀茂秋山」。今回一つ星を獲得した。
私のマラソン練習コース上にあり、その佇まいとそこを訪れた知人達の評判
から、「きっと星を取る」と当たりつけて、1ヶ月以上前に予約を入れたもの。

・・・つまり9月上旬の時点で、1ヶ月半先の予約しか取れなかったのだ。
ミシェランで星を取ると予約が殺到して常連客が行けなくなる、という声も
挙がるが、星が無くとも予約が取れない店などいくらでもある。
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by Mikio_Motegi | 2009-10-18 20:00 | 京都・紀行