ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

ジョン・レノンを神格化するな!

ジョン・レノンが凶弾に倒れた1980年12月9日からはや30年ちかく。
月日の経つのは早いものだ。
ジョンの人気は世界中で今も衰えず、むしろ神格化した感がある。
TBSテレビの「キンスマ」という番組で2時間に渡り紹介されたジョンと
ヨーコ・オノとのエピソードなど、「愛と平和の使者」として礼賛していた。

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ジョンの本質は骨太のロックン・ローラーだ。
彼の作品には正統派ロックの"Whatever Get You Thru the
Night(夜をぶっとばせ)",
オリジナル以上の評価を得ている"Stand by Me"
麻薬でラリッた状態を謳いあげた"Lucy in the Sky with Diamond
(LSD)"、
プログレッシブなロックの"Come Together"や"Mother"、
ロンドン、サヴィル・ロウのアップル・レコード本社屋上で突然行われた
いわゆる"Roof Top Concert"で強烈なシャウトを聞かせた
"Don't Let Me Down","One After 909"等がある。

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これらの曲にはジョンの生い立ちや、くぐり抜けて来た環境が色濃く
投影されている。
イギリスの港町リバプールの貧しい労働者階級に生まれ、戦後の混乱と
復興の中、恵まれているとは言えない家族環境で育ち、成長して
アメリカの黒人音楽であるブルースの洗礼を受ける、という人格形成
課程がある。

そうしたジョンの曲作りや行動の原点は「反抗、戦い、成り上がり」だ。
彼は長髪をなびかせ、麻薬常習を否定せず、サイケデリックなファッション
に身を包み過激な発言を繰り返す。

「ビートルズはキリストより有名だ」
" We're more popular than Jesus now"
「30才以上を信用するな」"Don't trust over thirty"
等の過激なセリフを吐き、それまでの既成概念を打ち破る1960年代の
ムーブメントを具現化した、危険でかっこいいトップランナーだった。
人々はそんなジョンに憧れ、熱狂したのである。

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そんなジョンが死後、人々の記憶から薄れるどころか神格化され、
あのTBSの番組のように「愛と平和の使者」として扱われる事に、私は
強烈な違和感を憶える。
「昔はワルだったが、後に立派になって愛と平和を訴えた」という
ステレオタイプな人格像にジョンを当てはめる事に、何の意味が
あるのだろう?

それはジョンの人格を矮小し、冒涜する行為であると共に、我々視聴者の
他人を理解する能力形成に悪影響を与えると言えないだろうか?

人間はそんなに善なる存在ではない。事実ジョンとヨーコが愛と平和
をいくら唱えても、結局人々は戦争を止めやしないではないか。

もちろん人には多面性があるし、晩年のジョンはヨーコから多大な影響を
受け、風貌も哲学的になり内向性を深めていった。
遺作となった「ダブル・ファンタジー」など、かなりポップな味わいで
かつての骨太のロックのイメージは無い。それも彼の一面ではある。

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・・・ヨーコは結局ロックの本質を理解していないのだと思う。
上流階級育ちのヨーコに、労働者階級のプロテスタント・ソングである
ロックの魅力を理解しろといっても、所詮無理な話なのだろう。
それは致し方ないことだ。

とにかくせっかく楽しみにしていたジョンとヨーコのエピソードが、番組では
下らない三流「お涙頂戴」番組に貶められてしまい、残念だ。
「愛と平和の使者」に祭り上げられたジョンも、きっとあの世で
苦笑いしているだろう。

写真は全てイメージ。
一番下の写真、向かって右端はキース・リチャーズ。
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by Mikio_Motegi | 2009-12-27 11:01 | ブレイク