ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

ロバート・B・パーカーの訃報によせて

アメリカのハードボイルド作家、ロバート・B・パーカーが19日に亡くなった。
享年77歳。
1973年の「ゴッドウルフの行方」からはじまった私立探偵「スペンサー」
シリーズは、昨年の「ザ・プロフェッショナル」まであしかけ36年間で
37作品が刊行されている、大ベストセラー作家だ。

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私は80年代の半ば、25歳の頃にスペンサーに出会い、暫くは完全に
「はまって」しまった経験がある。
それまで刊行されたシリーズを次々と読破し、新刊本が出ると、いや
ハードカバーは値段が張るので、文庫化されると飛びつくように買い求め、
貪り読んだものだ。

その20冊近くのコレクションは、残念なことにペナンから京都の家内の
実家に転がり込む事になった時、他の本も含めペナン在住の日本人向けの
ガレージセールで売り払ってしまった。

ただし「初秋」だけは手元に残してある。これは私が最初に経験した
スペンサーで、且つ最も愛着のある白眉の一冊だ。
読者人気投票でも常に1位にランクされる、特に愛読者の多い本として
名高い。

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内容はこうだ。・・・思春期を迎えたポールは、いがみ合う両親の元で
育てられた為、ひ弱で自立心が無く、全てに無気力でだらしない。
スペンサーはそんなポールをひと夏に間に「男」として鍛え上げるべく、
二人で湖畔のログハウス作りに取りかかる。
すぐに疲れ、反抗し、ふて腐れるポール。何を質問しても肩をすくめ
答えないポールに「今度俺の前で両肩をすくめるマネをしたら、ここから
叩き出す」と宣告する。

「料理は女がやるものではないの?」という質問に、「半分正しい。
女もやるし男もやる」等々、ウィットと深い人生観に裏打ちされたセリフが
にくい。

夏が過ぎ、初秋を迎える頃、ついにログハウスが完成する。
シャンパンで乾杯する二人。
日焼けして見違えるほど身体も大きくなったポール。
毎日コツコツと続ける事、やり遂げることの素晴らしさを身をもって
体験し、やがて両親から離れてポールは自立の道を歩むことになる。

一方でお約束の、ポールを取り戻そうとする父親の雇った用心棒との
派手な立ち回り、「スペンサーの料理」という単行本も出たほどの凝った
料理等、楽しませてくれる要素もふんだんに盛り込まれている。

ある評論家が、「思春期の子供を持つ親のバイブルのような本」と言って
いたようだが、正にその通りだ。

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元ヘビー級のボクサーで、朝鮮戦争に従軍した経験があるタフガイ。
ジョギングとウェイト・トレーニングを欠かさず、脇の下に吊るした
リボルバーの膨らみでジャケットのシルエットが崩れるのを気にする
洒落者。
ビールと白ワイン(辛口のシャルドネ!)とウィスキーを愛し、週末は
ガール・フレンドのスーザンの為にプロ級の料理の腕を振るう。

そんなスペンサーに「男の理想像」を見出す人も多かったろう。
事実私も心の中の澱(おり)のように、今でも無意識のうちにスペンサーの
ライフスタイルを追い求める事がある。

おりしもスペンサー・シリーズを再読しようかなと思っていた矢先でもある。
週末は書棚にたった一冊残っている「初秋」を取り出して、パーカーを
偲ぶとしよう。

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写真は上からパーカー。

「初秋」ハヤカワ・ミステリー文庫刊。故・菊池光の翻訳が素晴らしい。

アメリカでテレビシリーズ化されたスペンサー。左は相棒のホーク。
このホークという男が、時としてスペンサー以上にかっこいいのだ。
だがこのスペンサー役の俳優は、スペンサーのイメージとまるで違うという
読者・視聴者の意見が圧倒的だったようだ。

スペンサーの人物像は、パーカー本人の姿が色濃く反映されている。
よってパーカーに風貌が似ている「スタン・ハンセン」に演じて欲しかった。
www.geocity.jp/team_hiroki_man
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by Mikio_Motegi | 2010-01-24 16:27 | ブレイク