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ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

FIFAワールドカップ1次リーグを総括

今朝、1次リーグ最終試合のスペインVSチリが終わったと思ったら、
今夜からはもうウルグアイVS韓国を皮切りに決勝トーナメントがはじまる。
せわしないが楽しい4年に一度のお祭りだ。

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さて今回の南アフリカ大会の最大の特徴は、同国が南半球に位置するため、
「冬の大会」になった点ではないだろうか?
つまり毎年この時期に開催されるW杯は、酷暑の中で行われる為体力の
消耗をいかに抑えるかが各国の重要な戦略になる。
特に2002年の日韓など、ヨーロッパの選手たちにしてみれば未体験の
梅雨時の高湿度だったので、気候に馴れない強豪国が早々と敗退する
大波乱の大会だった。

その点、南アフリカは涼しい、いや、寒い。運動量とスピードを持ち味にした
チームが活躍する、観ていて大変楽しい大会だと言える。

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ラテン諸国が大活躍し、アフリカと北ヨーロッパのチームが苦戦する中、
最大のセンセーションは前回大会で決勝を戦ったイタリアとフランスという
ラテン系サッカー大国の1次リーグ敗退だろう。

イタリアの凋落は分かり切っていた。選手の年齢が高過ぎ。
フランスの場合、人種問題に発展するといけないのであまりメディアは
取り上げないが、代表にアフリカ系の選手が多すぎた事が敗退の最大の
理由だと思う。
このチームはアフリカ系選手個々のフィジカルに頼り過ぎた為、
フランス・サッカーの代名詞である「シャンパン・サッカー」、シャンパンの泡が
はじけるようにフィールド内のあちこちで華麗なアタッキングを繰り返す
サッカーが全く見られず、個人勝負の連動制のないものになってしまった。
「らしさ」を失ったチームは、同時に勢い、求心力、チームワークをも失って
しまったのだ。

下の2枚の写真を見比べるとよくわかる。1998年に優勝したチームと、今回の
チームの人種構成の違いを。

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私は1978年から86年までの、ミシェル・プラティ二(現欧州サッカー協会会長)
を中心としたフランス代表が憧れチームだった。今のフランスにはその面影が
全くない。
1998年の優勝メンバーであるブラン次期監督に、トリコロールの一刻も早い
再建を託したい。

1次リーグで最も感動したシーンが下の写真。
イングランドの前主将ジョン・テリーが、負ければ敗退が決まる対スロベニア戦
で見せた炎のダイビングだ。
テリーは相手選手にタックルし一度倒れこみ、直ぐに立ち上がってシュートを
防ごうとした。でも体勢が崩れていたので足が出せない。とっさに彼は頭を
相手のシュートコースに投げだし、これを防ごうとした。
両手を身体にぴたりと付けているのは、シュートが腕に当たりゴール前でPKを
とられるリスクを犯さない為。その代わり彼は後頭部にシュートが直撃する
リスクをとったのだ。これぞ「ライオン・ハート」の真骨頂!
(背番号2のグレッグ・ジョンソンが股間を押さえているのは、かゆいから
...ではない)

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隣国・韓国の活躍は予想通り。エースであるパク・チ・ソンが初戦の相手
ギリシャ戦で、相手ボールをかっさらってそのままドリブルシュートを決めた
シーンは鳥肌ものだった。
スピーディーでスタイリッシュ。決勝トーナメント1回戦のVSウルグアイを
制すると、2002年以来のベスト4も夢じゃないかもしれない。

世界ランキング120位の北朝鮮も奮闘した。ラテン気質を丸出しに、本能の
まま得点を重ねたランキング3位のポルトガルを相手に、最後まで頑張った。
あの戦いはを見事な敗戦と言え、誰も非難できない。
帰国しても選手やスタッフを責めないでね、将軍様。

日本の決勝トーナメント進出はまさにセンセーションだった。
我々全国のサポーターから非難された、意味のないボール回しを続ける
「自己満足・現実逃避」のサッカーから、オシム前監督が掲げた「攻撃的な
守備・闘志を前面に出す」サッカーに、岡田監督が大会直前になって切り
換えた事が功を奏したといえる。

もっともこれは自己満足の典型的プレーヤーである中村俊輔のケガで、
戦術を変更せざるを得なかったという背景もある。

もう一つ欠かせないのが、試合に出られない選手たちも含めたチームとしての
一体感を醸し出せた事。
初戦のカメルーン戦で、交代出場した岡崎慎二の脱いだジャージを中村俊輔
が畳んで片づけたと思われるシーンがTVに映った。
彼が本当のエース、日本のキングで無い事の証明でもあるが、それはさておき
もしそれが本当だとしたら、岡田監督は良いチーム作りに成功したと言える。
なかなかやるね!岡ちゃん!!

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写真はYahoo!スポーツより。
一番下は大阪・なんばのスポーツ・バーにて大盛り上がりの日本サポーター。

さていよいよ決勝トーナメント。最初からスペインVSブラジル、
ドイツVSイングランドという注目のカードが見られる。
繰り返すが南アフリカは今は冬なので、体力の消耗がそう激しくない。
トーナメントの1回戦から全力モードで戦える、魅力的な大会になることは
間違いないだろう。
by Mikio_Motegi | 2010-06-26 11:39 | サッカー、スポーツ