ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

アジアカップを冷静に振り返ろう

カタールで開催されたサッカーのアジアカップ。
オーストラリアとの決勝戦を延長1-0で制した日本が見事大会史上初の
4回目の制覇を遂げた。
これでまちがいなく日本はアジアの盟主の地位を不動のものにした。

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選手とスタッフたちには心からおめでとうと言いたい。
また優勝セレモニーを含め、深夜3時半までテレビ観戦していた私と
家内を含むファンの皆さん、お疲れさんでした。

アルベルト・ザッケローニは一般的なイタリア人のイメージと違い、
地味で堅実な性格のようだ。
彼は見事に異国の地・日本で指導者としてのキャリアを輝かせている。
いくらセリエAであのACミランを率いて優勝した経験があるといっても、
言葉も生活・文化も全然違う日本。しかも彼は代表チームはおろか
イタリアのクラブ以外のチームを率いるのは初めての経験だという。

彼の采配を見ていて、選手交代に大きな期待が持てるところがいい。
思い切った、意外な交代を告げる。がよく考えてみると誠に理にかなった
交代を行っているのだ。そしてそれらの選手が次々とヒーローになる。

対シリア戦でイエローをもらい、累積で次戦の欠場が決定した右SB内田篤人
をさっさとひっこめ伊野波雅彦を投入、その伊野波が見事に決勝ゴールを
決める。
対韓国戦ではこれも途中出場の細川萌が本田圭佑のPK失敗を補う
勝ち越しゴールを決め、決勝の対オーストラリアではずっと出場の機会が
無かった李忠成が決勝点を素晴らしいボレーを決めた。
また対オーストラリア戦で欠場したエース香川真司の代役出場の藤本淳吾が
全く機能しないとみるや、高さのある岩政大樹を投入し、吉田麻也との
「ツイン・タワー」を形成、オーストラリアのパワープレイを封じ込めた。

準決勝の対韓国戦の延長後半に5バックを敷き、カテナチオばりに徹底的に
守りに入ったのが裏目になり同点ゴールを押しこまれるという大失敗も
あった。
が、彼はそれを決勝で見事に修正している。

多分彼の連れてきたイタリア人コーチ陣も優秀なのだろう。
ベンチを温めている選手たちのモチベーションが高いのが、今回の成功の
要因といえる。

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ただ、今回の日本の勝利を手放しで喜ぶのは今日まででいい。
真の日本代表ファンなら、今大会で浮き彫りになった問題点を忘れては
ならない。

まずアジアのサッカーのレベルの低さ。
決勝を戦った日本とオーストラリアは、世界ランキングでいうと29位と
26位でしかない。
加えてオーストラリアは主力が衰えていおり、ハリー・キューウェル、
ティム・ケイヒルの両エースに往年の凄味と輝きが無かった。
テレビのアナウンサーや解説者は盛んに彼らの名を言い立てていたが、
私はあの二人に点を取られる気配を感じなかった。

またホルカ―・オジェック監督の超守備的な布陣と、攻撃面ではロングボール
放り込みという低レベルの戦術を敷いてくれたのも助かった。
それでも延長にもつれたという事は、レベルの低い泥仕合だったともいえよう。

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以下は日本がアジア・カップを制した年と、その後のワールド・カップでの
成績だ:


1992年 1996年アメリカ・ワールドカップ本選出場ならず
2000年 2002年自国開催の日韓ワールドカップでベスト16どまり
2004年 2006年ドイツ・ワールドカップで惨敗


・・・つまりアジア・カップを制したからといって、肝心の
ワールドカップで全く活躍できていないのである。

個々の選手でいうと、衰えの目立つ遠藤保仁に代わるボランチがいない。
守備だけでなく、ゲームを組み立てる人材が長谷部誠以外にいないのだ。

また吉田、岩政のセンターバックは身体はでかいが、吉田はヘディングが
弱いし岩政はスピードが無い。
韓国戦で相手FWに翻弄される岩政を見て、暗澹たる気持ちになった。
彼ら二人では、前代表の中澤佑治、闘莉王とレベルが変わらない。

また忘れてはならない大問題が、日本サッカー協会の戦略性の無さである。
4年前から日程が決まっていた今回のアジア・カップなのに、昨年末の
代表合宿では10人しか選手が集まれなかった。
元旦に決勝が開催される天皇杯で勝ち進んだJリーグの主力達が、誰も
代表合宿に参加できないのは当然の事。

世界と戦う4年に一度のアジア・カップと、国内クラブの戦いである天皇杯
と、どちらの日程を重視するか、日本サッカー協会は決断をすべきだった。

もちろん私は伝統ある天皇杯をないがしろにする気は毛頭ない。天皇杯は
あれは日本のサッカープレイヤーの誰もが目指す金字塔なのだから。
ただ4年に一度くらいの日程変更は許容範囲だと思うが、如何だろう?

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ここ数日はメディアではサッカーの話題で持ちきりだろう。だが選手も協会も
メディアのばか騒ぎに我を失うことなく、今世紀中のワールドカップ優勝
という大目標に邁進してもらいたい。
私としては次回ブラジル大会で是非ベスト8に進出して欲しいと思うのだが。

写真は上から2枚目を除いて www.foxsports.com より
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by Mikio_Motegi | 2011-01-30 21:25 | サッカー、スポーツ