ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

美しく完璧な勝利-FCバルセロナ

「ビッグ・イヤーズ"Big Ears"(大きな耳)」とは、UEFA
(欧州サッカー協会)主催の各国クラブチーム・チャンピオンによる
王者決定戦を制したチームに渡される純銀製のトロフィーの愛称。
両サイドの大きな取っ手部分を表してそう呼ばれている。

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スペインのサッカーチームFCバルセロナ(バルサ)が、2010-11年度の
UEFAチャンピオンズ・リーグを制した。
相手はイングランド・プレミアリーグの覇者マンチェスター・ユナイテッド
(マンU)。

毎回ヨーロッパ時間の夜8時45分にキックオフするこの決勝戦を日本で
TV観戦するには、早朝3時45分に起きていなければならない。
私は毎年欠かさずTV観戦しており、2008年の決勝の詳細はこのブログにも
書いた。http://valkyries.exblog.jp/8915568

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例年平日に行われていたのだが、どういうわけか今年は日曜日だった。
おかげで睡眠不足のまま仕事に就く事もなく、こうしてブログに向えるのは
ありがたい。

今年の決勝は、あまりにも美しく速いバルサに、マンUが全く手も足も
出なかったという展開に終始した。
スコアは3-1。2点差だが、バルサはもう2、3点は取れたのではないか?
断っておくがマンUは2008年のUEFAチャンピオン。今年も世界最高峰の
レベルを誇るプレミア・リーグで断然の首位を走る、もの凄く強いチームだ。

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この違いはどこからくるのか?戦術上の分析は専門家に任せるとして、私が
注目したのは試合前の出場メンバー発表の際。
ここで如実に表れた両チームの違いは、チーム生え抜きの選手の数だ。
マンUはウェールズ籍のギグスを入れてもイングランド人出身者は4人なのに
対し、バルサは7人がスペイン人。アルゼンチン人のメッシは幼少の時から
バルサで育成されたので、これを加えれば8人。

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バルサの圧倒的な強さの源泉は、「カンテラ」と呼ばれる彼らの下部組織の
育成体制の充実にあると言えよう。
カンテラは、バルサの拠点カンプ・ノウスタジアムに隣接した寮で、
物心ついた時から一緒に寝食と練習を共にし、成長しやがて中心選手に
育っていく。

カンテラ出身者のコンビネーションは抜群だ。誰かが一旦ボールを持つと、
周囲が自然と反応する。彼が次にどんなプレーを選択するのか、手に取る
ようにわかるのだ。まさに以心伝心。当然団結力も強固だ。

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そんなバルサの運営を財政面で支えているのは、ビッグネームの企業では
ない。「ソシオ」と呼ばれる、世界で14万人のぼる個人会員からの献金だけ
なのである。

ソシオは、自分たちが手塩にかける如く育てたカンテラ出身選手を応援
するのは当然。
また企業からのサポートが無ければ、ユニフォームにスポンサー企業のロゴを
縫いつける必要もない。
バルサのユニフォームの胸には "Unicef"のロゴが踊っているが、あれは
ユニセフがバルサのスポンサーなのではなく、バルサがユニセフに5年間で
総額950万ドル献金している為に着用しているロゴなのである。

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敢えて名前を挙げると、イングランドのチェルシー、マンチェスター・シティ、
イタリアのACミラン、スペインのリアル・マドリードあたりが、
ビッグスポンサーの庇護の下、世界の超一流選手をトレードで買い漁り、
勝利と結果のみを目指しているように思える。
何年か前のチェルシーなど、スターティング・メンバー全員が非イングランド
人だったこともある。

それが世の趨勢なのはわかるが、生え抜き選手を重視し、若手を育て、
大スポンサーに頼らずに個人献金だけで世界一を遂げるバルサ。
かつて選手として大活躍し、監督としても大成功を収めたヨハン・クライフ
が掲げた「美しく、スペクタクルに勝利する」を至上命題とするバルサ。

私が心情的にどちらを応援しているかは、もうおわかりだろう。

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写真は全て http://soccernet.espn.go.com より。

上から"ビッグ・イヤーズ"を掲げるバルサのイレブン。

試合前の大会HPイメージ。

敗色濃いマンUの監督ファーガソン卿(スーツ姿)。そろそろ引退したら?

バルサのカンテラ出身、カタルーニャの英雄グアルディオラ監督。

バルサ3点目を決めるダヴィド・ビジャ。

バルサの絶対的エース、リオネル・メッシ。ペレ、クライフ、
マラドーナの域に近づきつつある。

この試合を最後に現役引退を表明したマンUのGKファン・デ・サール。
長くオランダ代表を務め、イタリアのユベントスでも活躍した。
ASローマ時代の中田英寿に強烈なミドルを1試合で2発くらったGKとして
日本でも知られている。
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by Mikio_Motegi | 2011-05-29 18:23 | サッカー、スポーツ