ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

大徳寺の曝涼(ばくりょう)

曝涼(ばくりょう)とは平素収納している諸道具・図書・衣類等をに日に
さらして風を通すこと。いわゆる「虫干し」のことである。
毎年10月の第2日曜に、大徳寺では所蔵品の曝涼を行い、一般公開
している(入館料大人1,300円。雨天中止)。

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曝涼で驚くのは、大徳寺が所蔵している大変貴重な掛け軸の数々が
ちょっと手を伸ばせば触れられるところに掛かっている。
それもそんじょそこらの美術品ではない。

代表的なものに中国の宋から元の時代に活躍した禅僧の牧谿
(もっけい)による国宝「観音・猿鶴(えんかく)図」、重要文化財「竜虎図」。
国宝の後醍醐天皇直筆の書、朝鮮高麗時代の重要文化財
「楊柳(ようりゅう)観音像」等である。
牧谿の作品などは東洋美術の白眉・至宝ともいえるもので、私は4年前に
初めてこれを拝観した時、あまりの迫力に度肝を抜かれたものだった。

「竜虎図」の竜は鉛色(にびいろ)の雲の間からぬうっと顔をだして
いるようで、実際に竜がいたならこんな風に現れるのだろうな、
と想像してしまう程リアルだ。
虎も、肩の辺りの筋肉の盛り上がりや身体のこなしがいかにもしなやかで、
正に今でも飛び掛ってきそう。
どちらも眼の力が凄い。大きな白眼に、ここにしか打てないと言わん
ばかりの小さな一点のみの眼球。
無機質であり何者も寄せ付けない、霊長類の王者の貫禄である。

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そして気付く人は多くないのが、これらが掛かっている部屋の襖絵だ。
大軸の陰に隠れてしまっているが、精緻だが実に味わい深い山水画が
襖に描かれている。寺の係りの人に尋ねても由来が分からなかったが、
このブログを書くので調べていたらその絵は狩野探幽のものだった。

このような名宝が下町にある我が家から100メートルしか離れ
ていないところに常に所蔵されているという事実が、京都という街の
奥深さなのだろう。
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by Mikio_Motegi | 2007-10-14 12:16 | 京都・紀行