ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

金沢への旅

先日、仕事を兼ねて金沢に行った。
京都から金沢までは、意外と遠くない。購入して2ヶ月でたった100㌔しか
走っていないアウディの足馴らしに丁度良い往復約500キロの距離、
所用時間片道約2時間半の旅だ。

ところが途中の北陸自動車道が事故で通行止め。
やむなく敦賀湾沿いの国道を走ったのだが、山道で突然、今まで経験した
事のない程猛烈な「霰(あられ)」に見舞われた。日本海側の苛烈な風土を
改めて認識する。

所用を済ませ、小松市郊外の辰口温泉「旅亭 萬葉(りょてい まんよう)」
に投宿。
経営が行き詰った大阪の旧福徳銀行の保養所を買い取り、高級旅館に
バージョンアップした施設とのこと。
2千坪の敷地に客室が10しかない、という贅沢なつくりに驚く。
しかもうち2部屋は貴賓室という名のスイートルーム。
一番大きな「福禄寿」の間は200平米の広さだ。
この貴賓室は、旧福徳銀行の頭取とその家族専用の部屋だったとの由。
あまり筋の良くない融資先が多かったという噂の銀行らしい、乱脈ぶりが
偲ばれる。

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翌日はここから車で30分の金沢市へ。
思ったより用事が早く終わったので、市内見物としゃれ込む。
金沢には昨年11月にも訪れたが、その時は仕事に追われ全く市内を見て
廻る余裕が無かった。
今回はできれば陶芸の至宝、古九谷(こくたに)焼をじっくりと鑑賞した
かったのだが、何故か金箔(きんぱく)の工芸館へ立ち寄ることに。
そこで体験コーナーというのがあり、折角なので箸の箔押しに挑戦する。

金箔は7ミリグラムの24金を叩いて極限まで薄くするもので、僅か1ミクロン
の厚さである。非常に繊細な技術を要するもので、国内の金箔の95%は
この金沢で生産されているという。

実は家内の祖父は、金箔を細く切り仏像や美術品に装飾する
「截金(きりがね)」という技法で京都市の重要無形文化財であった人物
なので、金箔について少々うるさい。
私は当初ありきたりなデザインではなく、"To be a Rock" と
"And Not to Roll" というレッド・ツェッペリンの「天国への階段」の歌詞を
箔押しすべく奮闘したが、細い箸に文字は難しく断念。
ご覧のようなありふれた意匠になってしまった。

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帰る途中、学生時代に読んだ五木寛之の「内灘夫人(うちなだふじん)」を
思い出し、近くの内灘海岸へ廻り冬の日本海を眺める。
薄暮の海岸に茫漠たる波が押し寄せ、冷たい飛沫がかかる。頬が凍るように
冷たい。
雑念と煩悩を払い、少し厳粛な気分になって一路京都へ。

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我が家に辿りつき、車を車庫に入れた際、新車の車内が砂だらけに
なっている事に気付く。
内灘海岸で靴底に着いた砂をよく払わなかったからだ。
思わず不埒な言葉が口について出たが、つい先ほど内灘海岸で払った
筈の雑念・煩悩は、実は砂と共に京都まで私にまとわりついていた、という
事実が判明したのである。

写真は上から 萬葉のロビー、今回朝日新聞社賞を受賞した私の作品
名「箸-金沢の箔」、及び内灘海岸。
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by Mikio_Motegi | 2007-12-22 22:20 | 京都・紀行