ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

世界で最も優雅なハンバーガー

マクドナルドやウェンディーズとは違う、高級素材を使うアメリカンタイプの
グルメハンバーガーが日本でブームだという。
東京や京都のグルメバーガーを売り物にしている店では、パテの素材に
高級和牛を使ったり、備長炭でパテを炙ったり、トッピングのバラエティを
競ったりと、なかなか賑やかだ。
そしてこれらのお店のメディア露出度も大変多い。

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実は何を隠そう、この私はグルメバーガーの大ファンである。
1996年から1997年のインドネシア・ジャカルタと、その後の1997年から
2001年までのシンガポール滞在中、その2都市のホテルでメニューにある
ハンバーガーは全て食べ尽くした。

だいぶ昔の話なので現在の参考にはならないが、私にとっての
グルメバーガーベスト1はシンガポール・マリオット「クロスロード・カフェ」の
チーズバーガーである。
パテの素材、ボリューム、焼き加減、トッピング、どれをとってもピカ一。
オーチャード・ロードとスコッツ・ロードの交差点に位置するオープンテラスで、
行き交う人々を眺めながらのひと時は最高の気分だ。

もっともまずく、且つ強烈な印象に残っているのは同じくシンガポールの
ネガラ・ホテル。現在はメリタス?とかいう名前になっているらしい。

あの時、2階のコーヒーショップでバーガーをオーダーした私に、インド系の
ウェイトレスは、
「ウチのバーガーはまずいから止めた方がいいよ」と言ったものだ。

・・・??(まずい?店の人がなんでそんなことを言う?そもそもまずいものを
何でメニューに載せておくんだ?)
私は一瞬わけがわからなかったが、気を取り直して、
「実はシンガポール中のハンバーガーを食べ歩いているんだ。
何でもいいから頼むよ。あ、焼き加減はミディアムレアでね」と言うと、
ウェイトレスは「やれやれ」といった風に肩をすぼめ、
「ウチのバーガーのパテは冷凍肉だから、ミディアムレアにはできないの。
全部ウェルダンよ」と
言い捨て、くるりと踵を返して去っていった。

数分後に出されたハンバーガーは・・・そのウェイトレスのご託宣通り。
とても言い表せないほどのシロモノ。
でも期待していてまずいより、ハッキリと「ウチのバーガーはまずい」
と言ってくれていたので、かえって印象に残る一品だった。

******

私がかようにハンバーガーの魅力に取り付かれたきっかけは、
ジャカルタのリージェント・ホテル(現フォーシーズンズ)での経験にある。

その時は家内のビザの申請でイミグレーション・オフィスに行き、その後
ランチを取る為に二人でリージェントのプールサイドのコーヒーショップを
訪れた。
そこでメニューを選んでいる際に、隣の席に一人で座っていた欧米系の
妙齢の女性が極めて優雅にハンバーガーを食していた。

彼女はバーガーが運ばれてくると、ナイフとフォークを上手に操りバンズの
間にパテ、チーズ、ベーコン、レタス、ピクルスを全て挟んだ。
そして真ん中辺りにフォークを突き刺し固定してから、ナイフの側面で
バーガーをぎゅっと押しつぶした。
彼女はバーガーをフォークで固定したままナイフで4等分に切り分け、
ひとくちサイズにしてフォークに刺したまま口に運んでいたのである。

昼下がりの南国の陽光、ジャカルタの喧騒から隔絶された高級ホテルの
プールサイド、天井には音もなくファンが回る。
彼女の食べかけのバーガーの傍らにはハイネケンが、白いテーブルに
緑色の影を射している。

私と家内はどちらともなく「ハンバーガーってあんな風に食べるんだ」と
嘆息したのを憶えている。
今思い返しても、後にも先にもハンバーガー巡るあんな優雅な
シチュエーションに遭遇したことは一度もなかった。

さて日本のグルメバーガーブーム。各種雑誌やブログにお店やメニューを
取り上げられているが、寡聞にしてバーガーの食べ方にスポットを当てて
いるものを目にしたことがない。
今日もテレビの料理番組ではグランドハイアットのグリルで高級食材を
使ったバーガーを調理して、イケメンやドレスアップしたタレントが食して
いる。
しかし彼らは一様に両手でバーガーを掴み、大口を開けてかぶりついて
いるのだ。
私はそんな番組を見る度に、10年以上も前のジャカルタ・リージェントで
遭遇したシチュエーションが目に浮かんでしまう。
そして世界で最も優雅なハンバーガーの食べ方について、思いを巡らせる
のである。

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写真は上がフォーシーズンズ・ジャカルタのプールバー(同ホテル
ウェブサイトより)

下がホテルインターコンチネンタル東京ベイ「C4U」の「淡路和牛特製
ビーフバーガー」2000円税別メニュー。
http://blogs.dion.ne.jp/nakoi_h9/ より。
ちなみに「C4U」とはホテルスタッフの名づけた造語で、"Sea for You"
という意味。
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by Mikio_Motegi | 2008-04-27 23:06 | ブレイク