タクシー・ドライバーの憂鬱
2008年 06月 28日
たようで、来月開かれる交通政策審議会で正式に議題とする、との
新聞発表があった。
中央省庁で1400人以上が供与を受けていたという事実が判明し、
マスコミや国会を賑している「居酒屋タクシー」のような問題が何故起こる
かというと、タクシー運転手の労働条件悪化とそれに伴う賃金の低下が
背景にある。
やや古いが国交省自動車交通局の賃金構造基本統計の数字を挙げて
みる:
年度 (1) (2) (3) (4) 格差
平成8 2484時間 2208時間 414万円 567万円 -153万円
平成15 2412時間 2184時間 315万円 548万円 -233万円
(1):タクシー運転手の年間労働時間
(2):全産業平均年間労働時間
(3):タクシー運転手平均年間賃金
(4):全産業平均年間賃金
私はタクシー運転手が知恵を絞り、深夜長距離乗車をしてくれる霞ヶ関
のお役人をターゲットにし、そのインセンティブにビールや僅かな金品
を渡すのは立派な営業促進活動だと思う。
寧ろ何もしないでただ客待ちだけをしているタクシー運転手が圧倒的に
多い中で、彼らの知恵と企業努力を賞賛したい。
もちろんお役人の倫理規定はあるだろうが、ただ頭ごなしにタクシー利用
は午前12時半以後とか、一ヶ月辺り何回までとかいう規制をするのは
拙速にすぎると思う。
深夜タクシーチケットの利用が減ったら、収入減になるのはお役人では
なく、上記のような賃金体系のタクシー運転手たちなのだ。
だいたいお役人の労働時間が長すぎるのもこの問題の背景にある。
お役人だって早く帰りたいのだ。もっと早く帰宅し翌日はフレッシュな頭で
重要な政策を立案・審議してもらわないと、困るのは我々国民なのだ。
ただ「早く帰れ」「タクシーは使うな」と文句を垂れる国会議員やマスコミは、
部下に対し「定時で帰れ」と言い残しさっさと帰宅する、そのくせスタッフの
増員や業務の効率化という基本構造に関心を示さない外資系ホテルの
外国人エグゼクティブと似たようなものだ、と言ったら言い過ぎだろうか?
写真は「タクシー・ドライバー」。
監督マーティン・スコセッシ、脚本ポール・シュレイダー、
出演ロバート・デ・ニーロ、ジョディ・フォスター他
1976年度カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作品。