ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

村上春樹はノーベル賞を獲るか?

来週発表されるノーベル文学賞に今年も村上春樹が候補に挙がっている
らしい。
最近この時期になると毎年騒がれるが、なかなか実現しない。
今年はどうだろうか?

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実は私は彼のデビュー時以来のファンの一人である。
村上春樹の名を初めて知ったのは大学1年の時だから1979年。
英文学の講義で、当時の大竹勝教授がその年に出版された彼のデビュー
作「風の歌を聴け」を絶賛し、彼を「スコット・フィッジェラルド」の「ジャズ・
エイジ」系譜を
受け継ぐ作家だと評していた。
大竹先生の授業のテキストがたまたまフィッジェラルドの「冬の夢」で、
先生はこのとき既に村上春樹の姿をこのアメリカ20世紀文学の代名詞
でもある作家と重ね合わせていたのだ。

・・・私は授業で初めて村上春樹の名を聞かされた時、「先生、もしかしたら
先生は村上龍と角川春樹がごっちゃになって勘違いしているんじゃない
すかー?」という真に間の抜けた質問をしてしまったのを良く憶えている。
ああ恥ずかしい!

そんな事で読み始めたのだが、今にして思えば私が好きな彼の作品は
初期の物ばかりだ。

長編では「羊をめぐる冒険」「世界の終わりとハードボイルド・
ワンダーランド」。
短編集では「中国行きのスロー・ボート」「カンガルー日和」「回転木馬の
デッドヒート」。
紀行文では「遠い太鼓」「雨天炎天」等々。

長編では読者をぐいぐいと引っ張っていく迫力があり、「羊を・・・」では
クライマックスに突然現れる「羊男」のイラストに度肝を抜かされた。
短編や紀行文では実に美味そうに料理を描写する。彼の短編小説の
せいでパスタやワイン好きになった若者も多いのではないだろうか?

残念ながら私は「ノルウエイの森」以降、何を読んでも読後に満足感を
得られた事がない。
多分彼の文体が進化して私の感性が追いつかなくなったのだろう。
物語の最後が「後は読者の想像にお任せします」的結末でいつも終わる
為、ビシーッとしたフィニッシュを期待するといつも肩透かしをくう気が
するのだ。
時折挿入される不気味な暴力描写も、場にそぐわない気がして
どうしても馴染めない。

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とはいえ過去の日本人作家でノーベル文学賞を受賞したのは川端康成
と大江健三郎のみ。候補になったのは井上靖、三島由紀夫、
安部公房等だが、どちらも私たちよりはるか上の世代の作家だ。

村上春樹は彼らと違い同世代の人であり、私がいわば「文体の進化を
目の当たりにしてきた作家」である。受賞してくれると嬉しいのだが。

最近は新作も読まなくなってしまったが、秋の読書シーズンでもある。
久しぶりに彼の長編を読み返してみようか・・・。そんなヒマないか・・・。

写真上:
http://www.fantasticfiction.co.uk/images/c3/c16906.jpg
「Sleeping Woman(邦題:めくらやなぎと、眠る女)」

写真下:
http://img.tokyo-fashion.net/epaper/jp/tokyo-fashion-20070518(No.81)-jp.html
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by Mikio_Motegi | 2008-10-03 21:47 | ブレイク