ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

カテゴリ:人材・ホテル( 79 )

週刊ダイヤモンドの2月5日号で、「激変!日本のホテル」と題して
ホテルランキングを掲載している。
ビジネス誌でこの手の特集を見るのは久しぶりのような気がしたので、
書店でパラパラとページをめくってみた。

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結論として、話のタネとしては面白いが、メディアのランキングなるものに
惑わされる事の無いよう自分の価値基準をしっかり持つ必要があるな、
と感を強くした。

まず雑誌を手にとって「ふんふん」と読み進むうち、知人のある外資系
ホテルの経営者の名前が、誤植というか、それ以前のとんでもない別人の
名前になっているのを発見。
どうせ電車内で読み捨てられる週刊誌だが、掲載する個人名のチェックも
しないのか、とがっかりした。

一度疑ってしまうと次々に突っ込みたくなるのは無理からぬ事で、彼に
まつわる情報もピンボケだし、他のマーケット情報も明確な間違いがある。

そもそもアンケートの抽出方法までおかしい気がする。
何故ビジネスマンが中心のアンケートで、ディズニーランド周辺のホテルが
トップクラスにランクインするのか?
私の知り限りあの周辺のホテルの利用客に、ビジネス目的で泊まる人は
極めて少ない筈だからだ。

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さて敢えて名称は明かさないが、私がかつて勤務した東南アジアのさるホテル
では、世界中のビジネスマンが購読する雑誌に掲載されるホテルランキングに
自らのホテル名を載せるべく、プロジェクト・チームを組んだ事がある。

そのチームを統括した女性のマーケティング部長は、私たちメンバーの
前で、「ミキオ、それなりの方法を使えば・・・誌のランキングにこのホテル
を掲載させるのは簡単なのよ」とウィンクしたものだった。

彼女によると、その雑誌の購読者層は欧米の金融マンの比率が非常に
高い。彼らは所属する会社と法人契約を結んでいるホテルを選んで宿泊する。
よって具体的な手順として:

1.営業チームが欧米の金融機関と多く法人契約を締結し、彼らの宿泊を
促進する。つまり・・・誌のホテル・ランキングのアンケート対象者が数多く
宿泊するように計る。

2.彼らが実際に宿泊したら、滞在中に特に手厚くサービスを施す。
例えば客室の無料グレード・アップ、総支配人主宰パーティへの招待、
特別なアメニティの手配、空港送迎サービス等。

3.彼らをリピーター化する為のフォロー・アップを綿密に行い、ついでに
・・・誌のアンケートの際は宜しく、とお願いする。

・・・どれもこれも宿泊客を大事にする当たり前のサービスのように見えるが、
「欧米の金融機関」にターゲットを絞る、というのがミソだった。

4.ちなみに裏の手段として、・・・誌の定期購読者リストを入手、人物を
特定し、その人物が宿泊する際は最上級の歓待を施す、というものもある。
私たちはその手段は採用しなかったが、そのリストは比較的簡単に入手できる
ものだった。

果たしてそのプロジェクトを始めた年は間に合わなかったが、翌年発表の
・・・誌には「アジアのベストホテル」のトップ10に私たちのホテルが見事に
掲載されたのである。
・・・もっともこれには後日談があるが、長くなるので省略。要するに
この手のプロモーションにはリスキーな面もあるのだ。

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もちろん「週刊ダイヤモンド」のホテルランキング調査と、世界の
ビジネスマンを対象にする・・・誌のランキングではコンセプトも異なる
だろうし、同じ目線で単純に比較することは出来ない。
ただ大手メディアに掲載されるこの手のランキングなるものは、大抵上記の
ような操作・バイアスがかかっているものとみて間違いない。

そしてこれも当然だが、大手メディアのランキング調査の結果をどう評価
するかは、実際の利用者の裁量に委ねられることを忘れてはならない。

もっと言えば、こうしたランキング結果、情報を金科玉条のごとく
崇め奉っていると、メディアの情報操作に簡単に引っかかる可能性が
高くなるのではなかろうか。
要するに本物を見分ける目を養う事が肝心なのだ。

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写真上から2番目は luxryhotel.com より。
3番目は帝国ホテル。
4番目は最近何かと話題のウェスティン東京。
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by Mikio_Motegi | 2011-02-06 21:52 | 人材・ホテル

コンプレイン

東南アジア諸国のホテルの現場で働いていた頃は、日本人客による様々な
コンプレインに遭遇したものだ。

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館内の通路表示が分かりづらくて迷った、ホテルの前に停まっていた
タクシーに乗ったらぼったくられた、チェックイン時に前金を取られた、
ノースモーキン・ルームでタバコを吸ったらいけないのか、
深夜に素っ裸でジャグジーに入っていたら男性スタッフに注意された
(女性客)、女房がマッサージ師に胸を触られた・・・

いい年をした大人が、よくもこんなしょうもない事にエネルギーを
費やして執拗に文句を繰り返すものだと、呆れを通り越して憐れみを
感じてしまったものだ。

もちろんホテル側に間違いがあれば真摯に謝るが、そうでない場合は
非を認める事はありえない。特にお金が絡むコンプレインには、
断固として対処するというのが私のいたホテルの方針だった。

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ところで最近、私が利用客としてホテルにコンプレインを起こすという
事件があった。

都内の某ホテルAで、チェックイン時に私をアップグレードしてくれたのは
いいが、予約時に指定した「眺望の良い部屋」というプランだったのが、
部屋は広いが眺望の無いタイプに変わってしまったのである。
私は翌朝のチェックアウト時に支配人を呼び、簡単に注意を促した。

ところがその支配人は恐縮し、その場で私に昨夜の宿泊代金を全額返金
すると言い出したのである。
私は思わず椅子からずり落ちそうになった。
一旦売り上がった宿泊金額を、原因調査もせず、交渉もしないで
いとも簡単に全額差し引くなんて、私にはとんでもないことだったので
ある。

もちろん支配人の申し出を辞退した。
たかが2万円に充たない金額ではあるが、ホテル業において2万円を
稼ぎだすのにどれだけの人が努力し苦労をするか、私は理解している
つもりだ。
だから逆に、一度売り上げた金額を簡単に返金するというこの日本の
ホテルのシステムに困惑してしまう。

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一般論だが、日本のホテリエにコンプレインに対処する
コミュニケーション力が落ちてきているのでは、と危惧してしまう。

確かにネットの氾濫もあり、あまりにも執拗で醜いコンプレイン、
クレーマーが多く、スタッフが疲弊しているのは理解できる。
だが、そんなコンプレインの迅速で的確な処理こそが優秀なホテリエの
証左、素晴らしいホテルの組織力の証明とも言えるのだ。

・・・ちなみにその某ホテルAには次回宿泊の優待券を頂いていた。
そして私は実際に翌々週、都内のホテルが閑散となる日曜日の夜に
優待料金で再び泊まり、ついでに私と帯同した知人の為にもう1部屋を、
これは真っ当なプランで利用した。
こういう形でコンプレイン客に帰って来てもらうのが最良の処理だという事
を示唆したつもりだが、このホテルは分かってくれただろうか?

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30年近く前に刊行された村上春樹と村上龍の対談集
「ウォーク・ドント・ラン」で、ジャズ喫茶を経営していた経験のある
村上春樹が「一度来たお客が二度目も来る確率は10分の一にも満たないが、
それで良いのだ」という趣旨の事を語っているが、その通りだと思う。

ちなみに村上龍はそれに対し、「僕はお客が10人来たら、次回もその
10人が来てくれなかったら悲しくなってしまう」と答えていた。

写真は全てイメージ。
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by Mikio_Motegi | 2010-10-03 21:28 | 人材・ホテル

サイグナスは進化する

26日(木)、京王プラザホテルで開催されたサイグナス社の
ユーザー・カンファレンスに行ってきた。
ホテル業界関係者でこのブログのウォッチャーであれば同社と深く
関わっている人は多いだろう。
現代的ホテルの運営に今や欠かせないレベニュー・マネジメント(以下RM)
という概念を、日本に広く浸透させた気鋭の会社だ。
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参加者リストによると、カンファレンスに北は北海道、南は九州から約70社、
120人が集まった。ホテル業界内での同社のプレゼンスを感じさせる。

もっともセミナー後の懇親会では大盛況の会場を見渡し「日本にRMを導入
しているホテルってこんなにあったっけ?」という声が上がっていたのも
事実。
それ程RM以前の、「KKD(カン、経験、度胸)」に頼ったリザベーションに
未だ固執しているホテルが数多いのも実情だ。
しかしRMを導入はしてはいなくても、サイグナス社のプレゼンスに関心を
寄せているホテルがこれだけあるというのは良い事だろう。

我々より上の世代の予約マネージャーには、RMなどに頼らなくて、KKDで
立派にリザベーションを運営している人もいた。これは事実。
だがIT技術が一般化し、こういう便利なソフトが比較的廉価で入手できる
世の中になった。またそんな優秀な予約マネージャーの技術の継承も難しい。

それなのにRMを導入しないという事は、何か別の、ホテル運営の効率化とは
違う次元の思想・理由がそこのホテルに存在しているとしか言いようがない。

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同社のHP http://www.scignus.co.jp によると、サイグナスの
事業は3つ。

一つは SWHANS (スワンズ)という、ホテルの各種営業数値を、
登録しているホテル同士でデータ交換し閲覧を可能にするネットワークの
構築・運営。
これはコンペティター間のKPI(営業指標)づくりに役立ち、ホテル同士の
公平で自由な競争を促進するものだ。

二つ目は i Rate Explorer という、競合ホテルのWebサイトを巡回し、
客室価格情報を収集するソフト開発。楽天、一休、じゃらん、Yahoo等
に掲載されている料金を検索できるソフトだ。

三つ目が Marks Navigator というRMシステムの開発。

「レベニュー・マネジメントなんて」とタカをくくっているあなた、
試しにここのサイトにあるオンラインゲーム「ヴァーチャル・ホテル・
予約ゲーム」に挑戦してみて欲しい。
いかにあなたの予約の取り方が偏っていて、利益最適化の機会を逃して
いるかを認識するだろう。

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写真は当日のセミナーのレジュメと会場風景。

パーティーの司会は同社APS事業部部長の上垣徹氏。
彼は1991年に開業したヨコハマ・グランド・インターコンチネンタル
ホテルの一期生だ。
このホテルはヨコハマに進出した最初の外資系ホテル、加えて当時の
オーナーであるセゾングループ全盛時の開業だった為、彼の同期には
多くの俊英が集まった。
同ホテルよりキャリア・アップし、他ホテルのRM責任者としてこの
カンファレンスに出席した彼の同期OBも多い。

当時30才で同ホテルの開業準備室の最古参の一人だった私は、新卒の
フロントやコンシェルジュだった彼らに偉そーな口を叩いていたものだが、
あれから20年、幾星霜が過ぎた。
今やRMの最新コンセプトに全くついていけない私が低レベルの質問を
すると、「茂木さん、そんな事も知らないんスか―?」と彼らに矢のように
突っ込まれる。・・・おまえらだっていつかは年をとるのじゃ・・・。
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by Mikio_Motegi | 2010-08-30 14:07 | 人材・ホテル

早起きの効能

毎朝8時頃にオフィスのデスクに座り、仕事を始める習慣が
ここ15年ほど続いている。
海外のホテルで勤務していた頃からのものだ。
あちらでは日本との時差の関係で、その時間だとしょーもない
電話が日本からかかってこないので、煩わされず落ち着いて
事務作業に没頭できる。

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シンガポールでは7時45分にホテルに着くと、オフィスには行かず
に隣のブギス・ジャンクションにあるコーヒーショップ"Spinelli”
(現在はスタバ)に寄り、コーヒーを飲みながら地元新聞を読み耽る
のが習慣だった。約15分間の朝の大事な儀式だ。
同僚のジョナサンの " Without a cup of coffe, I cannot start
a day" という口癖のとおり、私の朝は一杯のコーヒーから
はじまったのだ(何かのCMみたい)。

「早起きは三文の得」というが、私の場合この時間に毎朝コーヒー
を飲む事にもう一つ重要な理由があった。
この時間がインターコンチネンタルホテルズのアジア・パシフィック
地域の社長、リチャード・ハートマンと直接言葉を交わせる数少ない
機会だったからである。

ハートマン社長は通常私より5分ほど遅れてやってくる。
当初は"Good Morning, Mr.Hartman" という私の挨拶に対し、
"Good Morning" と低く良く通る声で返礼してたくれただけだったが。

1999年に、彼は私の所属していた日本のセゾングループから
インターコンチを買収したBASS Hotelsよりアポイントされた社長だ。
前職はアメリカのシェラトンだったが、ウェスティンと合併した為
「ゴールデン・パラシュート」で引退した大物で、当初は私の事など
もちろん知らなかった。

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その頃、ホテルの常連で私が今も親しくさせて頂いている名古屋の
レストラン王T氏がハートマン社長と知り合い、その通訳に駆り出される
事があり、私について見知ってもらえるようになったのは幸運だった。

ユダヤ系の彼は記憶力が抜群だ。その当時で彼宛てに1日200通の
メールが来るが、彼はざっと目を通しただけで全て記憶してしまう
という事だった。彼の秘書が言うのだから間違いないだろう。
なんでもユダヤ教の経典を憶える特殊な記憶法を身につけていて、
それを応用しているのだという。

とにかくそれをきっかけに朝会うたびに"Good Morning, Mikio"と
私の名前を憶えて呼んでくれるようになった。
時々挨拶ついでに「ビジネスはどうだ?」と聞いてくる事もある。

寝呆けた人間なら「ボチボチでんなあ」とか「あきまへんなあ」とか
答えて、翌日からは無視されるかカリマンタン(ボルネオ)あたりに
飛ばされるかだろう。
だが私は自分を売り込む為に、企画しているマーケティング・プラン
を取り出し、社長の意見を聞いてみるという暴挙にでたことが
何度かあった。

そのプランは特に奇をてらったものではない。特定の顧客を
ターゲットにし、グループホテルや近隣の商業施設、他ホテルを
巻き込む、且つ若干の販促費がかかる。
今流行りの"Destination Marketing"を取り入れた、アグレッシブだが
シンプルな物だった。

私の差しだしたプランを一瞥し、彼は「それで?」と私に聞く。
私は「とにかくやってみたい」と応じる。
すると"Do it"とだけ答えてくれる。その間約2-3分のやりとり。

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ハートマン社長に"Do it"と認められたプランだ。私は自信を持って
上司であるGMやDOSMにプランを通すよう交渉する事ができる。
それまで否定的だったGMやDOSMも、何だか私が自信たっぷりに
プレゼンをするので、ついGOサインをだしてしまう。
私の「気合い勝ち」だ。

その他にも、同僚のプランを私が代わりに奏上し、意見を聞く事も
あった。
答えはやはり"Do it"。
もちろん無責任に言っているのではない。私たちの企画にさっと
目を通しただけでしっかりと内容を把握しているのだ。
短いフレーズの中に彼の歩んできた道程、哲学が含まれている。

そして私たちの練りに練ったプランは社長のお墨付きをもらい、
いよいよアグレッシブになっていく。
例外なく成功し、結果ホテルのビジネスに大いに貢献する事ができた。

今でも私はこの、つべこべ言わず"(Just) Do It"の大切さを
忘れていない。その精神を叩きこんでくれた彼に感謝している。
またハートマン社長と対峙する時のあの緊張感、大きな目でギロリと
睨まれる時、背中に伝わる冷や汗の感覚も今でも忘れられない。

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暑い毎日、定時ぎりぎりに出勤し、何の為やら毎晩遅くまで会社に
拘禁されている皆さん。
早朝を有効活用すると、暑さも吹っ飛ぶ、但し冷や冷やする
エキサイティングな一日をおくることができますよ。


写真は上からシンガポールのブギス・ジャンクション・ショッピング・
センター。左手に見えるのがかつてのSpinelli。

ハートマン氏。

同僚のアリス。ハートマン社長に直接意見を聞いてみたら、との
大胆な提言をしてくれたのが彼女。

シンガポールの朝。
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by Mikio_Motegi | 2010-08-07 23:11 | 人材・ホテル
いささか旧聞に属するが、ニューオータニ神戸ハーバーランドが昨年
12月26日をもって閉鎖された。
同ホテルは1992年のオープン、客室数252室、レストラン5店舗と
大小宴会場を持つフルサービスのホテルだった。

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私はこのホテルには特別な思い出がある。

1995年の12月、当時ヨコハマ・グランド・インターコンチネンタル
ホテルのセールスマネージャーだった私は、海外でのキャリアアップの
機会を模索していた。
そしてたまたま紹介してくれる人がいて、その前月にインドネシアの
シャングリ・ラ・ジャカルタの日本人セールスのポジションにアプライし、
レジュメを送付していた。

ところが数週間たっても先方からは何の連絡も無い。
どうなっているのかわからずじりじりしながら、関西地区の営業担当
だった私は予定していた神戸に出張し、ニューオータニ神戸に
宿泊していた。

当時の神戸は大震災から10か月が経過し、あちこちにブルーテントが
張ってあるものの、確実に復興の槌音が響いていた。
確か水曜日だったと思う。その日のセールスコールを終え、夜の接待に
備え荷物を置きにホテルに帰ると、突然部屋の電話が鳴り響いた。
受話器を取ると、電話の主はシャングリ・ラ ジャカルタのGM秘書から
だった。
彼女はきれいな発音の英語で、急で申し訳ないが今週の週末に
ジャカルタまでインタビューに来てほしい、と依頼してきたのだ。

もちろんイエス、サンキューと即答で了解したが、受話器を置いてハタと
気がついた。
今回の出張日程が金曜日まで。金曜夜に横浜の自宅に帰り、翌朝には
成田発のガルーダに乗らなくてはならない。

私はアプライはしたものの、返答がなかなか来ないのでジャカルタについて
何の学習もしておらず、予備知識が全く無かった。
それと英語。担当のフィールドが国内になっていたので、1年以上英語での
ミーティング、真剣勝負の英語を喋っていない。
もちろんジャカルタでのインタビューは英語で行われる。

私は腹を括り、翌日のアポイントを思いっきり圧縮し時間を捻出する
事にした。
クライアントに頼み込み1時間のミーティングを30分に縮め、ランチを
朝食ミーティングに変えてもらう。
そしてニューオータニのゲストリレーションに、近くの図書館の場所を
教えてもらった。
幸いなことに、ホテルからタクシーで10分ほどの所に神戸市立図書館が
あることがわかる。
私はそこでほぼ半日をインドネシアとジャカルタの諸事情の学習に充て、
週末のインタビューに備えた。

インドネシア建国の歴史、地理、他民族・多言語の様相から、日本との
交易の歴史をまとめる。そしてジャカルタに進出している日系企業の業種別
リストとそれぞれの駐在員数、取扱品目を作成。
もちろん競合ホテルのリストアップも欠かせない。

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その日の夜の接待場所は大阪の難波。私は待ち合わせの1時間前に、当時の
南海サウスタワーホテル、現在のスイスホテル南海大阪に行き、今度は英語
の「口馴らし」を始めた。
1年以上使わずに錆ついた英語力を取り戻すため、ロビーにいる外国人宿泊客
に片っ端から話しかけ、会話に持ち込む。
こういう時、外国人はフランクだ。こちらの意図も知らないまま、気軽に
何人かが会話に乗ってくる。
1時間余りではせいぜい4-5人としか話ができなかったが、それでもだいぶ
舌がなめらかになった。

翌日も同じ事を繰り返し、「泥縄式」ではあるが何とか最低限の予備知識を
得たことで、多少の自信を持って週末のジャカルタでのインタビューに
赴く事ができた。

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ビジネスマンにとって、ホテルは出張時の単なる寝る場所にしか過ぎないと
いう意見を言う人は多い。
私はその意見を否定はしない。が、それではあまりにもドラマ性の無い、
感性に乏しい人生ではないだろうかと、憐れんでしまう。

ニューオータニ神戸も、そういう人たちには単なる寝る場所でしか
ないのかもしれない。
しかし私にとっては、この名前を聞いたらとたんに15年前のエピソードを
思い出す、忘れられないホテルであるのだ。

このホテルの閉鎖の理由は、営業成績が極端に悪かったからではない。
だから残念な、もったいない話である。
建物のオーナーが外資系に代わった事で伝統の塩盛りができなくなった
せい、ではないだろうが。

写真は上から ホテルニューオータニ神戸、神戸市立中央図書館、
そしてシャングリ・ラ ジャカルタ。
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by Mikio_Motegi | 2010-02-13 22:27 | 人材・ホテル

12才の「私の夢」

小学校6年生の長女が学校の図工の授業で、将来の自分の姿を紙粘土と
ワイヤーで表現するという課題に取り組んだ。

長女の将来就きたい職業は「コンシェルジュ」。おまけに金の鍵のバッジを
胸に着けたい、とのこと。
金の鍵バッジとは、これはル・クレドールになりたいという意味だ。

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ル・クレドール(Les Clefs d'Or)とは、世界的に最も権威の高い
ホテル・コンシェルジュの団体。1929年にパリで設立された。

何でまた長女がル・クレドールのメンバーになりたいのか、そもそも
コンシェルジュやル・クレドールの存在など何処から仕入れてきたのか
不明だ。
家内によると、数年前に買ってあげた「13歳のハローワーク」(村上龍)の
影響と、家族であちこちのホテルに泊まり歩くうちに自然と憶えたのだろう
との事。
30年近くホテル業に関って来た私としては、何だか面映いような
不思議な気分だ。

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最近新聞で読んだ情報だが、今年の小学校6年生の女子にとって
「将来の自分」の人気トップは、ケーキ屋さんやペットショップ等の
「お店の店員さん」。
以下、学校の先生、スケート選手、優しいお母さん、可愛いお嫁さんと
続くそうだ。

・・・スケート選手を除けば、今のガキ共の何たる平凡!凡庸!
夢の無さ!と怒りたくなった。
が、考えてみれば子供達に夢を与えられない世の中にしたのは
自分達の世代の責任でもあるので、これ以上は言及しないことにする。

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写真は上2枚が長女の作品と、小学校での展示風景。

下は「私はコンシェルジュ」(講談社:阿部佳 著作)のイメージ。
佳さんは現在グランド・ハイアット東京のコンシェルジュ。
嘗ては私とヨコハマ・グランド・インターコンチネンタルホテルにて
同僚だった。
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by Mikio_Motegi | 2010-01-31 23:56 | 人材・ホテル
ウグイス色の身体に、目の周りが白く縁取りされているメジロは、日本では
古くから人々に愛されている野鳥だ。
そのメジロが、プリンスやニューオータニのような大型ホテルの庭園なら
いざ知らず、JR水道橋駅から徒歩5分のオフィス街の真ん中のホテルの
庭でお目にかかれるとは予想もしていなかった。

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「庭のホテル」はかつての「水道橋グリーンホテル」の跡地に今年5月に
オープンしたばかり。
ところが今年度の「ミシェラン・ガイド」でいきなり2パビリオンを獲得する
という快挙を成し遂げた、新進気鋭のスタイリッシュなホテルである。

15階建て、238室。日本料理、グリル&バーの2ヵ所のレストラン、
ミーティングスペースが二つ。大宴会場は無い。
新聞は日経を無料サービスしてくれる。部屋には無料のミネラル・ウォーター
が1本用意されている。

このホテルのコンセプトは文字通り心が和む「庭」と「和」のイメージ。

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日本庭園の「延べ段」を模したエントランス周辺、豪華な和風旅館の趣の
あるロビー、各フロアのエレベーターホールや廊下まで、館内のそこかしこに
「和」の意匠が配置されている。

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私の泊まったのは25㎡のスーペリア・ダブル。

「木の匂い」を嗅ぐと、どうしてこんなに心が落ち着くのだろう?
昔の記憶が呼び覚まされるのか、昼間のビジネスで疲れた頭には心地よい。
木の匂いだけでなく、リネン類やベッドの質も高く、もちろん遮音・遮光は
完璧。
ビジネス・パーソンの「熟睡」「リラックス」に重きを置いたアメニティと設備が
心地よい。とにかく熟睡できるホテルだ。

朝はインナーカーテンの代わりにしつらえられた障子から、柔らかな日光が
差し込む。
窓が数十センチほど空くので、そこから清々しい空気が流れ込むのも嬉しい。

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フロントスタッフの明るい笑顔と挨拶に見送られ、仕事場へ向かう。
「庭のホテル」は単なる癒し、和みだけではなく、朝のスタートを切るのに
最適のホテルだ。

ランチはビュッフェスタイルのサラダコーナーが特筆物。
各種レタスやルッコラ、ほうれん草といった葉野菜や、甘み抜群の
ルビートマト、青トマト、黄トマト等、色彩も豊富だ。
フランスから直輸入するというバゲットのパリパリ感も素晴らしい。

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これだけの立地、施設なのに18㎡のスタンダード・シングルが「楽天トラベル」
では1万円台前半の料金を提示している。
コストパフォーマンスの観点で言うと、都内でもトップクラスのホテルと
断言できるだろう。

私にとって今年最後の出張に、今年最高のホテルに泊まれたのは
素晴らしい兆候だ。
来年こそは良い年になるような気がしてきた。

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写真は上からメジロのイメージ http://cmcnine.web.infoseek
         「庭のホテル」外観 (楽天トラベルより)
         和紙をイメージしたロビーの壁面。
         スーペリア・ルーム (同ホテルHPより)
         フロント周辺
         経営会社である(株)UHM代表取締役社長の木下彩さん。
         ホテルのイメージと同様、スタイリッシュで颯爽とした人だ。
         http://Response.jp より。
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by Mikio_Motegi | 2009-12-20 20:14 | 人材・ホテル

フォニックス

以下の英文を読み、質問に答えよ:

*****
The street near Douglas's house is so (   ) that trucks
aren't able to use it.

質問:(  ) に入れるのに最も適切なものを1,2,3,4の中から一つ選び、
その番号をマークしなさい。

1 deep 2 narrow 3 bright 4 usual
*****

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答えは 2の narrow。

我が家の小学6年生の長女が、今回3度目の挑戦で「実用英語技能検定試験
(英検)」の準2級に合格した。
これは中学-高校生レベルの英語力らしい。
長女は生後直ぐから6才まで海外で暮らし、シンガポールやマレーシアの
インター校に通っていたので、むしろ遅すぎた合格、といえるだろう。

上記の英文は、準2級の試験で実際出題されたもの。
長女の回答は合っていた。が、彼女は1-4全ての単語の意味を知らない。
何故正解できたかというと、「読んでみて"narrow"を当てはめた時が
一番気持ちが良かったから」だという。

つまり単語の意味が分からなくても彼女は"narrow"と読むことができ、
且つそれを当てはめることが正しい文書であると感覚でわかっているのだ。

ではどうやって"narrow"という単語が読めたのか?
ここに"Phonics"という勉強法がある。


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"Phonics"(フォニックス)とは、英米で子供の英語教育の初期に導入する
つづり字の読み方指導のこと。
アルファベットの発音と文字には関係があり、音だけでは文字は読めない。
例えば"Psychology" をアルファベット音そのままで読めば
「ぷしちょろぎい」だが、フォニックスを知っていれば「・・・・・・」と正確に
読める(何と読むかはこの項の最後に)。

フォニックスを導入していない日本の学習指導要項では、単語を読むのに
「丸暗記」に頼る方法しかない。
頭の良い国民ではあるが、読めない・発音できないことからなかなか単語が
憶えられず、ひいては英語嫌いになっていく人も多いのでは、と思う。

長女の場合、インター校での学習に加え家内が個別指導したことにより
ほぼ完璧にフォニックスを習得できた。
が、長女が恩恵を受けたような環境は、今の日本ではなかなか望めない。
本当に英語教育に優れた環境にいようとしたら、膨大な経費がかかるだろう。

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減少する一方の総人口、内需より外需に頼らざるを得ないニッポン。
英語教育の必要さがひしひしと伝わるのに、危機感を抱いて具体的な
アクションを起こしている人は多くないように思えてならない。

フォニックスはそうお金のかかる勉強法ではない。
また英語の発音のキレイな日本人・外国人は国内にごまんといる。
英語教育の為にフォニックスと彼ら、彼女らのスキルを組み合わせ、もっと
活用することはできないだろうか?


写真上、中は各メディアから。
下は長女が通っていたマレーシア・ペナン島の"St.Christopher Int'l
School(セント・クリストファー・インターナショナル・スクール)"

・・・しかしこういう「感覚的」な英語スキルを身につけいている長女に、
学校英語を理論で教えるのは難しい。文法とか構文とか、教わらなくても
身についてしまっているからだ。
そしてその感覚を試験等で正確にアウトプットできるかというと、そう上手く
いかないのがまた大問題なのである。



"Psychology" =「サイコロジー」
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by Mikio_Motegi | 2009-11-29 16:38 | 人材・ホテル

カジノの未来

11月12日(木)、兵庫県西宮市で(株)ホテリエスタッフ主催のセミナー
「カジノ合法化の進捗状況について」に出席してきた。
講師は日本カジノスクール校長で(株)ブライト代表取締役社長の
大岩根成悦(おおいわね まさよし)氏。
会場の西宮市勤労会館は60名以上の参加者で賑わった。

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大岩根氏によると、G8参加国の中でカジノが無いのは日本のみ。
世界130カ国でカジノが認可されている。他にもシンガポール、ブラジル、
中近東、北アフリカの諸国にないが、シンガポールは来年2ヶ所同時に
オープンするし、2016年のリオ五輪開催が決まったブラジルでも
認可される可能性があるらしい。

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私自身、若い頃に行ったヨーロッパ一人旅で、ウィーンとブダペストのカジノ
で遊んだ経験がある。日本では競馬・競艇などの公営ギャンブルはおろか、
パチンコにも全く興味の無い私だが、ヨーロッパのカジノは楽しかった。

この時の為にわざわざスーツケースに詰めて持ち込んだタキシードを
着て、実は初体験の「おのぼりさん」なのに、それと悟られないように
せいぜいさりげなく(なんという自意識過剰!)カジノに乗り込む。
ついキョロキョロと辺りを見回してしまうのだが、中は映画に出てくる
ような、絢爛たる世界。
ブラック・タイとカクテルドレスに着飾った人々の上気したおしゃべり、
シガーとアルコールの混ざった香り、時々上がる歓声、ため息、
コロンの香り。とにかく大変な賑わいだった。

私はブラック・ジャックとルーレットの場に着き、なんと3時間ほどの
滞在で、ビギナーズ・ラックもあってそれぞれ当時のレートで3万円、
計6万円ほど稼ぎだしたものだ。

スタッフである両替カウンターのキャッシャーも、ディーラーも、黒服の
マネージャーも、多分私がシロウトだと見抜いていたのだろう。
だが皆親切でホスピタリティに満ちていた。

もっとも生来の「宵越しの金を持たない」貧乏性と、一人旅の気楽さもあって、
現地で知り合った同世代の若者とディスコに繰り出し散在してしまったが。
僅かではあるが、ヨーロッパの経済振興に貢献できたわけだ。

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さて大岩根氏によると、我が国では刑法185条と186条の「賭博罪」規定で、
賭博をした者は50万円以下の罰金または3年以下の懲役、賭博の胴元は
5年以上の懲役が科せられることになっている。

それに対しカジノの経済効果に着目した東京都の石原都知事が1999年に
「カジノの合法化」に言及、自民党内でも「公営カジノを考える会」という勉強会
が発足し、カジノ解禁がにわかに現実味を帯びた時期があった。

が、当時の小泉内閣で設置された経済特区でも、法務省の見解では刑法の
規制緩和は認められず、それを潮目に運動も盛り下がったままだ。

ちなみに海外では、マカオのカジノの売上げは年間8500億円、ラスベガス
は7800億円もある。
韓国では2006年に新たに3ヵ所の外国人向けカジノをオープン。
内、日本人観光客が60%を占めるという。
シンガポールは「ツーリズム2015」を掲げ、総額1兆円を投資、カジノ及び
3棟・2600室のホテルを建設中だ。それにより2004年に800万人だった
観光客数を2015年までに1700万人に倍増させようとしている。

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カジノの経済効果は単に売上げによる税収増加だけでなく、観光客が増える
ことでのホテル、レストラン、交通機関への波及効果、雇用増大、設備投資
等々が見込まれる。

日本ではパチンコ業界がカジノ建設に反対しているという噂があるが、
30兆円産業になったパチンコ業界に対し、マカオの例を見てもせいぜい
1兆円程度の売上げしか見込めない。
既に全国で500万台以上設置されているパチンコ台に対し、カジノでの
スロット・マシンはどんなに多く見積もっても1万台にしかならず、とても
競合はしないと思われる。
事実日本のパチンコ最大手の「マルハン」は、2008年1月24日にマカオの
カジノに128億円を出資し進出している(同社のニュース・リリースより)。

少々驚いたのが、世界のカジノでHigh Roller(ハイローラー)と呼ばれる、
掛け金総額が1000万円以上の上級顧客リストに、日本人が1万人以上
登録されていること。

またカジノのHouse Edge(控除率=儲け率)は、宝くじやサッカーくじの
50%、公営ギャンブルの25%に遠く及ばす僅か5-6%にしか設定されて
いない。
日本人のギャンブル好きと、カジノの薄利多売を物語っていると思う。

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セミナー後は大岩根氏と日本カジノスクールのディーラーにより「模擬カジノ」
が開帳された。
「ブダペストの奇跡」、「ウィーンの歓喜」再来を目論む私は、ブラック・ジャック
で勝つコツをディラーから伝授された。
帰宅後、最近私が負け続けている小学生のギャンブル大好き娘どもへの
リベンジに挑んだのだが、あえなく「紫野の屈辱」という結果に終わったので
あった。

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写真は上から ルーレットのルールを説明する大岩根氏。氏の会社のHPは
          www.bright777.com

ドナルド・トランプが開発したアメリカ東海岸のアトランティック・シティ。

カジノのイメージ。www.allposters.co.jp より。
こうした華やかな大人の社交場が日本にあっても良いはずだ。
もっとも世界一の規模と売上げを誇るマカオのカジノには、Tシャツに短パン
姿のお客で溢れかえっているという。

シンガポール、マリーナ地区に来年オープン予定のカジノ。

私が訪れたブダペストのカジノ。ヒルトンホテル内にある。

セミナーでのブラック・ジャック光景。          
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by Mikio_Motegi | 2009-11-15 20:54 | 人材・ホテル
先日ACCJ(在日米国商工会議所)の秋の懇親会があり、会場の
シャングリ・ラ東京を訪れる機会があった。
かつて私自身が勤めた経験のあるホテルの日本第1号ということで、
訪れる前から大いに期待が膨らんでいたのは言うまでも無い。

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ここはシャングリ・ラとして世界で初めて採用する「ビル・イン」タイプの
ホテルだ。
つまりオフィスビル内に賃借し、上層階をホテルとして利用するという最近
流行のモデル。
外資系ホテルの主流であるマネージメント・コントラクトではない、ビルの
オーナーとホテル・オペレーターがリスクを折半するという思想によるもの。
同じビジネスモデルに東京のマンダリン、リッツ、ペニンシュラ等々の
5スターホテルが挙げられる。

2007年7月のこのブログに香港のカオルーン・シャングリ・ラについて
エントリーしたが、シャングリ・ラのイメージは「広く、華やかで雑多なホテル」
である。

カオルーン、上海、シンガポール、クアラルンプール、ジャカルタ、マニラ等に
代表されるが、広々としたロビー、高い天井にジャズの生演奏が流れ、
ブラック・タイやカクテルドレスで着飾った人々の賑やかなお喋りとさんざめきが
こだまする。

民族衣装を着込んだドアマンに導かれエントランスを通ると、3階までの
吹き抜けの天井、ふんだんに利用する豪奢な大理石、シャンデリア、壁面一杯
の絵画やタペストリー、大ガラスの向こうの広々とした庭園。
その景色を臨むロビー・ラウンジでは、選り抜きの女性スタッフが腰まで届く
スリットの入ったエキゾチックなコスチュームを身をまとい、エレガントな
笑顔を振りまく。

そして忘れてはならない演出効果として、アジアの喧騒がある。
空港を出てからホテルに到着するまでに、人々が目にするの大渋滞の道路、
けたたましく鳴り響くクラクション、縦横無人に走るタクシー、超満員の
路線バス、横断歩道なんか無い幹線道路を平気で横切る人々。
物乞いが車の窓を叩く場合もある。

そういった喧騒、アジアの「カオス」の洗礼から逃れ、へとへとになったゲストが
辿り着いたところが桃源郷=シャングリ・ラなのだ。

要するにホテル馴れしていない田舎者や出張ビジネスマンをファースト・
サイトで圧倒し度肝を抜き、ポーッとしている所で高い料金をふんだくる。
これがシャングリ・ラ流のビジネスと言える・・・かつて勤務した私が言うのも
何だけど。

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ところがここ東京のシャングリ・ラはだいぶ趣が違う・・・。ここはあまりにも
洗練されていて、クールだ。レストランも2軒だけ、宴会場は小さい・・・ま、
無いものねだりをしてもしょうがない。
シャングリ・ラが新しいタイプのホテル開発に乗り出した、ということで。

ブッフェの内容だが、「おや?」と思うような斬新な料理が目立った。
どこにでもあるローストビーフが無く、代わりに厚切り東皮肉(トンポーロー)、
ローストポーク、時節柄かターキーのワゴンサービスが並ぶ。
表面がカリッとクリスピー、中身はしっとり。ソースも美味い。
シーザーズサラダのシェフサービスもあり目を引いたが、一番驚いたのが
カレーライスがあったこと。
私はブッフェパーティーでカレーライスにお目にかかったのは寡聞にして
はじめて。
もちろん野菜や上質なビーフがたっぷりの高級カレーだが。

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ハウスワインは白、赤共に上等。
面白いのはサントリーが協賛しバーカウンターを出しており、そこで
「マッカラム」の12年、18年というシングル・モルトを試飲させていたこと。
ゲストの注目を集め、且つホテルの売上げには繋がらないがコストを
削減できる、興味深い試みだと思った。

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ロビーを訪れたゲストをファースト・サイトで圧倒するというシャングリ・ラ
流のグランド・ホテル・モデルから脱却し、いわば宿泊特化型の
ホスピタリティで勝負するという姿勢は注目すべき。

パーティーの後に客室も見せて頂いたが、最低50㎡の広さを確保して
いるのはさすが。
「欧米流のホテル運営+アジア流のおもてなし」を標榜するホテルらしく、
随所にアジアン・テイストを意識したデザインを配している。

同じアジアに本拠地を置くペニンシュラやマンダリンがヨーロッパ風の
テイストを意識し、シャングリ・ラがよりアジアを意識している対比が
面白い。
今後どちらがビジネスとして成功するか?興味は尽きない。



写真は上がシャングリ・ラ東京と「丸の内トラストタワー」全容。
森トラストのHPより。
中がシャングリ・ラ・ジャカルタのロビー風景。
下2枚が東京の宴会場。
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by Mikio_Motegi | 2009-11-07 22:59 | 人材・ホテル