ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

カテゴリ:ブレイク( 76 )

「働く女性の環境改善」をテーマにした、ACCJ(在日米国商工会議所)関西
支部主催のチャリティ「ウォーカソン」が、今年は「チャリティウォーク&
フェスティバル」と名称を変えて昨日開催された。
場所は大阪の中之島公園。

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今年の私は昨年、一昨年と大違いで事前の企画会議に全く参画せず、当日の
本番のみのお手伝い。
お陰で会場の雰囲気を3年目にして初めて味わうことができた。
今まで忙しくて食べられなかった"Howdy"のビーフステーキ・バーガーも
しっかりゲットしたし、ラマダホテル大阪の「竹炭シュークリーム」も最高。
ちょこっと働いた後のビールは美味いし・・・。

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オフィシャル発表が無いので私がここで収益金額等の詳細を開示する
ことは控えるが、当日は2000名以上の来場があり、イベントとしては
まずは成功だったようだ。

「チャリティ」として税務署に認可されるには、かかったコストと同額以上を
寄付しなくてはならない、というきつい法令がある。
例えば総額500万円コストがかかったイベントであれば、501万円以上を
寄付しないと、所得税が請求されてとんでもないことになる。
つまり収益金総額が1001万円を越えることが絶対条件。

だが収益を当日の入場券収入やフードの売上げで賄うことは、我々シロウト
にとって事実上不可能。
よって殆どの部分を事前のスポンサーからの寄付に頼る事になる。

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ところで私が今回企画の中心から外れ、いわば門外漢になって初めて
考えた事がある。
このイベントの「働く女性の環境改善」というテーマにどれだけ普遍性・
持続性があるのだろうか、という疑問を抱くようになった事だ。

これが非常に重要なテーマであることは認める。
だが「男社会」を突き崩す環境を盛り上げようとするテーマに対し、男で
ある私がそんなに肩入れする事に根源的な矛盾を感じてしまうのだ。

ある人から、「茂木さんは去年のイベントに入れ込みすぎてBurn Outした
から・・・」云々を言われた事があるが、上記が私が今年の企画段階で
参画しなかった理由のひとつでもある・・・他にもたくさんあるけどね・・・。

男と女は本来違うもの。だから男と女が同等を目指すのではなく、お互いの
違いを認め特徴を活かせる社会を目指す、というほうが広く賛同を得やすい
のではないだろうか。
働く女性の誰も彼もが「勝間和代」になれるわけではないし、勝間さん自身も
男女は違ってあたりまえ、とを公言しているのだから。

具体的には「働く女性の環境改善」というテーマを毎年追求し続けながら、
それに加えてよりタイムリーなテーマを毎年設定しフォーカスした方が
お客も呼びやすく、スポンサー収入も得やすいのでは、と考える。
例えば「インフルエンザ・ワクチンの普及率アップ」
「交通事故被害者家族支援」「激甚災害の被災者支援」等々。

とにかく当日は晴れて良かった。
実行委員、ボランティア、関係各位、本当にお疲れ様でした!

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写真は上から賑わう会場風景。

上から2番目:壇上に勢ぞろいした来賓、ACCJ役員。
向かって一番左がJohn Roos 駐日アメリカ大使。大使として初めてこの
イベントに参加してくれた。
オバマ大統領の盟友としても有名だが、フレンドリーな人柄も垣間見えた。
ご子息とSFからご両親も呼んでの参加。
スピーチもユーモラスで「オバマ大統領も本日来たがっていたのだが、
あいにく私よりちょっとだけ忙しくて・・・」と満場の爆笑を買っていた。

右から5番目が "Billy the boot camp"のBilly 隊長ご本人。

上から3番目:オープン前の会場セッティング。イベント企画会社の「アート
・ファーマー」社はこのイベントに昨年より参加してくれている。

下。オープン前の「フィニッシャーズ・バッグ」作業風景。毎年USJの皆さんが
ボランティアで参加してくれているが、今年も統制の取れた仕事振りを
見せつけてくれた。
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by Mikio_Motegi | 2009-10-04 19:32 | ブレイク

9.11は我が家の記念日

アメリカ政府は今年から9月11日を「愛国の日、奉仕と追悼の日」
"Patriot Day and National Day of Service and Remembrance”
として指定したという。

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この日は私たち家族にとっても特別な日である。
昨年8月のブログ「ニューヨークの旅 1 グランド・ゼロ」にも記したが、2001年
の同時多発テロがきっかけで、当時私たちが幸せに暮らしていたシンガポール
経済が急速に悪化。
その影響で私はホテル・インターコンチネンタル・シンガポールを解雇
されたのだ。

日系企業の駐在員ではない日本人である私が海外で解雇されるとどうなるか?
経験が無いとなかなかイメージが沸かないだろうが、まず在住ビザが
失効する。
インターコンチが私のビザのスポンサー=身分保証人だったので、
それを失うと国外退去を余儀なくされる。
私の場合、解雇を言い渡された後の在留猶予期間は1ヵ月と10日だった。

今までの生活のまま暮らせるベストの選択は、シンガポール内で
再就職することだが、そんなタイミング良く次の勤務先が狭いシンガポール
で見つかるわけが無い。
1ヶ月の間多くの友人・知人に励まされサポートを受け、必死の転職活動
の結果、なんとか隣国マレーシアのペナン島にあるシャングリ・ラ・リゾート
に職を得て移り住むことになった。

幸いシャングリ・ラではインターコンチ時代より好条件で迎えられたのだが、
家内や既に地元のカトリック系幼稚園に通っていた娘達には、いきなり
それまで交友関係を断ち切らせる結果になってしまい、迷惑をかけたと
思っている。

が、何処に行っても「住めば都」と直ぐに順応できる家族なので、実際
シリアスさは全く無かった。
実を言うと私はインターコンチ在籍中もキャリア・アップを計りニューヨークや
ドバイの名だたるホテルに友人やヘッドハンターを通してアプライしており、
それを知っている家内はいつでも移住できるよう、心の準備はできて
いたのである。

また家内の友人達もご主人が外国企業に勤めており、やはりヘッドハント
されて世界中を転戦して来た強者(つわもの)が多かったので、家内は私の
キャリア・アップ・プランに理解してくれていた。

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・・・ところで昨夜はテレビ朝日系列で放映された映画「ワールド・トレード・
センター」を家族で鑑賞。

放映後、家内がポツリと「9.11が無かったら、私たち家族は今頃何処で
暮らしていたんやろな・・・」と呟いた。

数秒間の間、答えを探そうと頭の中で様々な思い駆け巡ったが、結論が
出せない自分に驚き、そして自問した。
大きな事件は人生を狂わすきっかけになる、とは良く言われる。
が、人生は、その事件がなかったらそれまでの生活がいつまでも続いて
いた、と断定できるような単純なものではない。

9・11があろうと無かろうと、人生が狂おうと狂うまいと、今こうして私たちが
京都に暮らしているのは、運命の必然だったと考えるべきなのでは
ないのか、と考えるに至った。

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2800人の犠牲者を出し、今尚数万人が後遺症に悩む9.11アメリカ同時
多発テロ。
あの事件に間接的ながら翻弄された経験を持つ者として、この日が
来る度に幕末の詩僧・釈月性(しゃくげっしょう)の漢詩を思いだす。

「骨を埋むること何ぞ墳墓(ふんぼ)の地を期せん、人間(じんかん)到る処
青山有り」(骨を埋める場所などにこだわるな。世の中、骨を埋めるくらいの
土などどこにでもある)。

写真は上が http://jp.ibtimes.com
中、下は各種メディアより。
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by Mikio_Motegi | 2009-09-12 22:34 | ブレイク
現在の渋谷・道玄坂の百軒店(ひゃっけんだな)界隈は、
完全な風俗の街だ。
が、1970年から80年代初頭にかけて、ここに
「ブラック・ホーク」という超個性的なトラッド系ロック喫茶が
存在していたことを知る人は多くない。



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          ザ・バンド 「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」

ブラック・ホークは暗い穴蔵の様な場所でロックの轟音に身を
委ねる、という店ではない。むしろクラシック喫茶の趣きがあった。
ここでのロックは、例えば音量ギンギンのヘビメタ全盛期に
アコースティック系を、西海岸のアダルト・ポップな音楽が席巻すると
ゴスペル色の強い南部音楽を流すというもの。
かなりへそまがりで世の流れに同調しない、それでいて専門的で
特別な空気に満ちているものだった。

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           ライ・クーダー「チッキン・スキン・ミュージック」

コンサート会場で聴く場合と違い、メディアを通した音楽鑑賞とは
そもそも独りで楽しむものだ。だがロックやジャズ、クラシックを
専門的に流す喫茶店は、いわばお客と店側が価値観を共有する
場だった。
主に常連客同士で流れてきた曲に対しお互い顔を上げて
「いいね、これ・・・」と目配せしたり、逆に不満顔をアピールしたり
する、つまり曲を選ぶ店側、及びその曲をリクエストするお客の
感性をも厳しくチェックするという修練の場、とも言えた。

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           二ール・ダイヤモンド「ジャズ・シンガー」 

リスナーであるお客に緊張を強いる独特の雰囲気があり、流行を
全く追わない店だったので、下手なリクエストなどとてもできなかった。
店員さんもどこか謎めいていて怖かった。
私など当初は隅の席で音楽を「聴かせて頂いています」という状態。

リスナーにも高いハードルを設定していて、ブラック・ホークの
価値観にあった音楽のみを流し、「ブラック・ホークはただ今
こういった曲を流しています。(ついてこれるかい?)」
と冷ややかに眺めている感があった。

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           ピーター・グリーン&フリートウッド・マック
             「フリートウッド・マック」


ある時私と同じような「シロウト」のカップルの一見客が、当時
大流行していたAORのボズ・スキャッグスをリクエストした場面に
遭遇した。
その時店員さんは全く無視。そのお客と目も合わさない。
「ウチではこのような曲は扱っていません」と説明するでなし、
「はあ?」とあからさまに馬鹿にするでなし。とにかく完全無視。
そして気付くと常連客の冷たい視線が彼らにいっせいに注がれて
いる。
・・・そのカップルがすごすごと退散したのは、言うまでも無い。

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           ハリー・ニルソン「夜のシュミルソン」

そのようない緊張感溢れる店なので、お客同士のお喋りも禁止。
ちょっと大きな声で喋ろうものなら「お静かに」と書かれたカードを
店員さんにつきつけられる。

最近の言葉で言えば、時代・流行の空気を全く読まない曲ばかりを
かけ続け、それでいてリスナーに店の空気を読むことを求めていたのだ。

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           ブルース・コバーン「ハイ・ウィンズ、ブライト・スカイ」
             (原題)


1985年に閉店。ビルは壊され、往時の面影は全く無い。
すぐ隣のカレーの「ムルギー」、百軒店入り口のラーメン「喜楽」
そしてストリップ小屋の「道頓堀劇場」は今も残っているが。

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           トム・ウェイツ「オン・ザ・ニッケル」

今回掲載した写真は、私がブラック・ホークで知り、或いは
影響されて聴くようになった作品のジャケットの一部だ。
一般的にはかなりマイナーだろうが、ブラック・ホークでは
「やや商業的な」に部類されていたもの。
私は店内にいる常連客の顔を見て、怖そうでない人ばかりの時を
見計らってこれらをリクエストしたものだ。

 
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           ディブ・メイソン「スプリット・ココナッツ」

・・・最後になるが、私にブラック・ホークと、トラッド系ロックの
素晴らしさを教えてくれた桐生高校サッカー部の先輩である柿沼政之
さんが、今月5日急逝された。享年52才。
今回のブログは彼の死にインスパイアされてエントリーしたものである。

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           ジャクソン・ブラウン「ザ・プリテンダー」

・・・これは1976年のブラック・ホークのリスナーが選ぶ
ベストアルバムに輝いた作品。が、当時のレコード室の松平維秋氏
が「ブラック・ホークのリスナーも堕落した」と嘆いたいわくつきのもの。
西海岸の良質なシンガー・ソング・ライターだったジャクソン・ブラウンが
商業主義に走った作品として松平さんは酷評していたのだ。

柿沼先輩は松平さんの意見に同調しつつも、このアルバムの
ジャケット写真の素晴らしさを私に語ってくれたものである。

(参考文献)「渋谷百軒店 ブラック・ホーク伝説」
(株)音楽出版社 2007年12月発行 2000円税込み 
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by Mikio_Motegi | 2009-08-22 22:00 | ブレイク

「私の死亡記事」

「・・・死を考えることは生を考えることです。人の業績や人生上のエピソードは、
つねに時代のまわりからの評価にさらされ、それを集約したかたちで死亡記事
や人名辞典の記述がなされます。・・・(中略)・・・しかし本人がどう思って
いるかは別問題です・・・(後略)」

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以上は2000年に文藝春秋より刊行された「私の死亡記事」の「はじめに」から
の抜粋。
同書は各界の著名人102名(4年後の文庫版では12名追加)に依頼し,
自分が死んだと仮定して自らの死亡記事を書いてもらうという前代未聞の
ユニークなもの。

こんな企画に賛同しただけあって、どの筆者もみな諧謔的で退廃的(健康的で
明るい死亡記事があるわけないが・・・)な死亡記事になっている。
文体が三人称なのも、それまでの人生、将来の夢、成し得る業績を客観的に
書き連ねている。

面白いのは死因の大多数が「老衰」「自然死」「心不全」としており、やはり
著名人であっても、長い闘病生活や延命治療は受けたくないのは一般人と
同じであること。

「食べ物を喉に詰まらせて死亡」(泉麻人、落合恵子、南伸坊)、「旅先で
原因不明の死」(桐野夏生、玄侑宗久、高野孟)、「腹上死」(野村万之丞、
毛利子来)等、ある種あこがれのような死に方もあれば、高樹のぶ子や
西部邁のような「自殺」という手段を取る人もいる。

私が腹を抱えて笑ってしまったのは、コラムニスト中野翠の「風になりたい」。
「最後の言葉とするべく、かねて用意の『風になりたい』という言葉を呟いた
つもりが、ろれつが回らず、『粥を食べたい』と間違われ、ムッとしたとたんに
こときれた」というもの。

また読売新聞主筆渡邉恒雄の「カラス駆除中、転落死」も面白い。
「自宅の庭に来るカラスを駆除しようと、桜の大木に十メートルの
ハシゴをかけ、毒入りマヨネーズを盛ったカゴを吊るそうとした際、老齢の為
ハシゴの頂上より足を踏み外し、頭部を強打し死亡」というもの。

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渡邉は政財界に絶大な影響力のある保守系メディアのドンとも称される人物。
それが人生の最終章・集大成である死に際し、このような諧謔で自分を
貶めることができるとは。卓越したユーモアの感覚に脱帽。

またメディアの論客である高野孟と西部邁の記事も面白い。

高野は「馬に乗って出かけたまま、それっきり」として「革命家には二つの
生き方がある。カストロかチェ・ゲバラか、大久保か西郷か。
前者は旧体制を引っくり返した後に新体制の権力者に収まり、次代の
建設に取り組む人。後者はそういうことに興味が無く、次のフロンティア、
死に場所を求めて旅立っていく人」としている。
高野がどちらの人になりたいかは自明だ。

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西部は「自殺できて安堵しております」というタイトルで、自殺の理由を
「虚無の温床である生命それ自体にケリをつける。
それが自分の生にかろうじて意味を見つける最後の手立て」で、「今の世間が
自死の意義をあまりよく理解していない」としている。

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いずれもメディアでのイメージと相当落差があり、意外な面が見受けられる。

反対につまらなかったのが政治家の記事。
元自民党幹事長の「闘い続けた人生」、元首相の「先祖以来の文武両道」、
元自由党幹事長の「自由党幹事長ライフルで狙撃される」など、自己愛と
政治活動の弁明に終始していて、気分が悪くなる。

読んでいると、114名の筆者達は殆どが中年以上で、死について
多少なりとも考える年代であり、死は彼らにとってもやがては迎えるシリアスな
問題なのだ。
だからこそ今限りある「生」をいかに生きるか。
軽い読み物ではあるが、つきつけられた課題は大きい。

さて「私の死亡記事」、夏の間に私も書いてみようかな・・・。
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by Mikio_Motegi | 2009-07-25 14:50 | ブレイク

生まれて初めての酒

あるところに21才の女性がおりました。
彼女はつい最近経験した失恋の憂さ晴らしに、「気持ちが治まらないから
生まれて初めてお酒でも飲んでみようかしら」とあなたに呟きました。

さて質問です。あなたは、そんな彼女にどんなお酒を勧めますか?

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・・・上記は、ジャーナリストであるA・Eホッチナーがヘミングウェイとの
14年にわたる交流の中で書いた伝記、「パパ・ヘミングウェイ」(早川文庫)
での挿話に基づいたもの。
ヘミングウェイが取り巻きを引き連れてパリ・ロンシャン競馬場で馬券の
予想に夢中になっていたとき、彼の横でその女性が呟いたひと言に、
手にしていた予想表を放り出した。
そして生まれて初めて酒を飲むという彼女の為に、レシピを考え抜き選んで
勧めた、というエピソードである。
ちなみに「21才」という部分は私の創作。

酒の飲み方でその人の人格が分かる、という。
母方の祖父は、「酒は生(き)が一番だ」といって90才で亡くなる直前まで
サントリーの角瓶をショットグラスに注いで飲んでいた。

また酒を飲まない亡父の代わりに、私たち兄弟に飲み方を教えてくれた
母方の伯父は、酒を飲む際は予め時間を決めておき、その時刻になったら
一分と違わず酒席を立つという人だ。

もちろんキレイごとでは済まない酒席もあるし、美味くも無い酒に我慢して
付き合わなければならない時もあるのが人間社会の常。
また一緒に飲む人との相性も酒席の大事な要素だ。
だが振り返ってみて、だらだらと飲み続けただ時間を費やすだけの人間と、
私は深い付き合いに至った例がない。

もっとも私は初めての酒の席で、大失態を演じている。
件の伯父に連れ出され、焼き鳥屋で焼酎のコップ酒をしこたま飲んだのだ。
いい気分になった私はその後連れて行かれたスナックで、薄着のドレスに
肌も露なホステスが横に座っただけで完全に酔いが回ってしまった。

興奮した私はそのホステスを抱き上げて店内を走り回ったり、店の看板を
外して持ち出そうとしたり、挙句の果ては店を追い出された後、親戚が
経営する近所の薬局に置いてあった当時流行のカエルの「ケロヨン人形」
を運び出し、家に持ち帰ってしまった。

翌朝私を起こしに来た母親が、部屋で私の横で寝ている等身大の「ケロヨン」
を見つけ仰天し烈火のごとく怒り、その後しこたま説教されたものだ。

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ところで巻頭の質問、「失恋を経験した女性が生まれて初めて口にする酒」の
私の答えは、シャンパンにカシスを加えた「キール・ロワイヤル」。
フルーティで口当たりが軽く、またシャンパンという華やいだ酒をベースに
しているので、失恋の痛手を打ち消すには持ってこいだと思うのだが。

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さて、あなたの答えは?

写真中は http://youkoso.city.matsumoto.nagano より。
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by Mikio_Motegi | 2009-07-12 11:54 | ブレイク

「天国と地獄」

GW中、DVDで黒澤明監督の「天国と地獄」というサスペンス映画を
鑑賞した。学生時代に飯田橋の名画座でこの作品を観て以来、
2度目である。

1963年の作品で、出演は三船敏郎、仲代達矢、山崎努 他。

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舞台設定は戦後復興期の横浜。
高台の豪邸に住む会社重役・権藤(三船敏郎)の息子が何者かに
誘拐される。犯人(山崎努)は身代金三千万円を要求してくるが、
犯人の手違いで権藤の息子ではなく、運転手の息子を誘拐して
しまう。

権藤は会社の持ち株のマジョリティを獲得する為、その三千万円が
どうしても必要だった。株が無ければ自分の地位が危ない。
靴の修理工から叩き上げ築き上げてきた地位が脅かされるのだ。
が、運転手は土下座をつき、身代金を払ってくれと懇願する。
困惑する権藤。

身代金と人質との受け渡しの場面。特急「こだま」の洗面所の窓を
明け、身代金の入ったバックを神奈川県の酒匂川鉄橋で投げ落とす。

人質は無事還り、警察の捜査がはじまる。が、権藤は社内で失墜して
しまう。
当初は権藤の去就に反感を持っていた警察だが、権藤の人間性に触れ
尊敬を抱くようになる。冷徹なエリート警部(仲代達矢)が、権藤の為にと
犯人を刻々と追い詰めていく。

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日本映画の中でも最高傑作のひとつとされるこの作品の魅力を
挙げたらきりが無い。
身代金受け渡しのシーン、山崎努の演技等が真っ先に挙げられるが、
それらに加え私の感想としては以下の通り:

1.実に丁寧に脚本が書かれている。例えば当初反感を持っていた警察が、
何故権藤に尊敬の念を抱くようになり、酷暑の中の苦しい捜査の
モチベーションに成る程になったか等、感情移入しやすい。

2.効果的なBGM。初めてスクリーンに姿を現した山崎がドブ川べり
を歩く時のシューベルトの「ます」。
そして終盤の逮捕劇の際の「オー・ソレ・ミオ」。
・・・記憶している限り、この2つのシーンでしかBGMは使われていない。

現代映画・ドラマの「これでもか」といわんばかりの盛り上げBGMの
たたみ掛ける様な波状攻撃とえらい違いだ。
それはつまり下手くそな脚本、演出、演技をごまかす為のもので
しかない。

3.横浜という舞台設定。私自身この舞台になった黄金町界隈は良く
通ったし、寿町のドヤ街から瀟洒な屋敷の建ち並ぶ山手地区を見上げ、
「天国と地獄」の舞台設定そのままだな、と思ったことがある。

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ただ1960年初頭のあの界隈があのような喧騒と麻薬・貧困の蔓延する
魔窟(まくつ)だったとは知らなかった。
尚、私が足しげく通った80年-90年にも名残は多少あったが、2005年頃
には黄金町駅周辺は整備され綺麗になり、フツーの町になってしまった。

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実は「天国と地獄」の前日に今話題の「おくりびと」も観た。
美しい映画で、外国人に受けが良いという事も理解できる。
納棺師の仕事は死者を洗い清めるだけでなく、ご家族の悲しみを和らげる
ものなのだと素直に感動。
案外身近な存在なのだと改めて気付かされただけでも、価値がある映画と
言えよう。

が、納棺師の仕事はあんなキレイなものじゃない。
葬儀社に勤める知人から直接聞いた事があるのだが、人に様々な死因がある
のと同様、死体にも様々な形状があるのだ。詳しい描写はここでは避けるが。

映画ではその点の違和感が最後まで拭えなかったのが残念。
久本譲の音楽は・・・流石にマンネリ感が否めない。曲を作り過ぎとちゃう?

また偶然にも「天国と地獄」同様、山崎努が「おくりびと」でも重要な役を
担っている。
彼はもう大ベテランだが、日本を代表する両作品で画面を引き締めている
ところは流石だ。

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by Mikio_Motegi | 2009-05-09 23:20 | ブレイク

テレビドラマあれこれ

就寝前のリラックスタイムを除き、報道や趣味の番組以外テレビというものを
殆ど見ない私だが、先週は夜9時台に2本も見てしまった。
2本とも出演したタレント本人、或いはご家族から「テレビに出ます」という
連絡を個人的に頂いたという理由からである。

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一人目は「金スマ」の「波乱万丈コーナー」で取り上げられた日露ハーフの
ロック・シンガー、川村カオリの少女時代を演じた若手タレント。
そのタレントは、仮にKちゃんとしておくが、父親は私と同じホテル・チェーン
に勤務していたこともあり、且つ東南アジア某国ではお隣のコンドミニアムに
住んでおり、家族ぐるみでお付き合い頂いた仲だ。

「波乱万丈コーナー」は、川村カオリがハーフだからと日本の学校で
同級生に苛められるストーリーだった。Kちゃんの迫真の演技もあり、
見ているこちらは何だか他人事とはとても思えず感情移入してしまい、
正直疲れた。
もっとも演じたKちゃんの母親によると、撮影現場では苛める側も
苛められる側も皆打ち解けてワイワイと楽しんでいたとのことだが。

川村カオリは乳がんと闘いながらロックを歌い続けており、文字通り
波乱万丈な生き様はこれからも話題になることが多いだろう。

二人目は「神の雫(しずく)」というソムリエの成長物語の最終回に、
ワイン通のフランス貿易会社の社長役を演じたマックス・フォン・
シューラー・コバヤシさん。
私とはACCJ(在日米国商工会議所)で知り合って以来、メールで
やり取りしている仲だ。
撮影で使われたワインは全て本物で、飲みすぎて収録中ちょっと
頭がくらくらした、とは本人の弁。

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「神の雫」で取り上げられたワインは、毎回放映直後からネットショップ
にオーダーが殺到し数時間で売切れてしまうことも多いとの事。
恐るべしテレビのチカラ。

願わくば先の川村カオリのように乳がんに罹らない為、テレビのチカラで
日本人女性に定期検診の習慣が浸透しますように。

写真上 川村カオリ  img04.shop-pro.jp.jpg より。
   下 マックスさん。マックスさんのブログも面白いので覗いてください:
http://tokyomaxtalks.blogspot.com/
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by Mikio_Motegi | 2009-03-17 23:29 | ブレイク

オバマのアメリカ

オバマ米大統領が就任してまもなく1週間。支持率もケネディのそれに次ぐ
68%を記録し、まずまずの船出といえるだろう。

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就任演説を聞いていても「お祭り」気分は皆無の、極めて現実的で且つ
力強く国民に行動を呼びかけるものだった。
どこかの週刊誌が日本の首相とは「タマが違う」と書いていたが、将に
そのとおりの感がある。
もちろん実質国民に直接選ばれるという選挙方式からアメリカの大統領は
ポピュリズムに流される危機もある。が、少なくとも彼の組織した閣僚の
顔ぶれからも、将来に期待できるものが見えるのは確かだ。

また未だに日本のマスコミは、オバマ民主党政権は日本を無視し親中国
政策を取るなどと騒いでいる。
以前も私は指摘したが、マスコミはいらぬ心配をする前に、オバマに無視され
ないような政権づくりの構想を掲げたらどうだろうか。
オバマも同盟国・日本からの強力な提言やサポートを心待ちしている筈だ。

さてつい先日まで先行き悲観論一色だったマスコミだが、逆境をはね返す
前向きな論調も散見するようになってきた。

24日(土)の日経朝刊ではパソナの南部靖之代表が、「企業は福利厚生を
含めて人件費の高い正社員を削減し、派遣社員を増やそうとしている」
「大企業が採用を手控えている今、中堅・中小企業は優秀な人材を呼び込む
好機と捉えている」等、(派遣と紹介の違いはあるが)当社と同じ人材業界の
トップとして誠に心強い発言をしている。

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またタレントとしても著名な京都の市田ひろみさん(市田美容室代表)は
京都商工会議所の年始挨拶で「不景気、不景気の空気に乗らないように!!」
と訴えた。

オバマが米国民に求めた「行動」は、そのまま日本にも当てはまるのである。

写真はアメリカの現代美術作家 Jasper Jones(ジャスパー・ジョーンズ)
の1955年の作品” American Flug”(星条旗)
下は市田ひろみさん。
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by Mikio_Motegi | 2009-01-25 22:24 | ブレイク

謹賀新年

「つまる所は、他人をたよりの蔦(つた)となるなぁ真っ平御免。
樫や菩提樹にはなれず、高い位には上るまいが、痩せても枯れても、
独り立ちだぁ!」


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(「シラノ・ド・ベルジュラック」 エドモン・ロスタン作 
辰野隆・鈴木信太郎訳 岩波文庫 122ページ)

学者で詩人で軍人で、おまけに天下無双の剣客だが醜い大鼻の持ち主、
シラノ。この豪傑が、あろうことか・・・。

17世紀に実在したこの人物はロスタン(1868-1918)による戯曲化で
フランス一の人気者となりました。
現代においても、シラノの「心意気-はな飾り」は色褪せる事はありません。

2009年。私にとって最高のアイドル、シラノの心意気に少しでも
あやかれる年にしたいと念じております。

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

写真はニューヨーク、リチャード・ロジャーズ劇場で昨秋上演された
「シラノ」の最終幕「シラノ週報の場」の一場面。
左はロクサーヌ役のジェニファー・ガーナー、右はシラノ役の
ケビン・クライン。
www.nyt.com より
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by Mikio_Motegi | 2009-01-01 18:51 | ブレイク
ローリング・ストーンズのライブ・ドキュメンタリー映画”Shine A Light"
がロードショーで先週から公開中だ。
私はこの作品をDVDで既に2度観ている。1度目はニューヨークから
バンクーバーへのエア・カナダの機内で、2度目はバンクーバーから
関空へのエア・カナダの機内で。
要するに私はストーンズの大ファンなのである。

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今までのストーンズのライブ映像と今回の大きな違いは、撮影会場の
規模にある。1977年の”Love You Live”や1981年"Still Life"
ではそれぞれ数万人収容の巨大なスタジアムがステージだった。
ところが今回のニューヨークのビーコン・シアターは収容人員が
2800名という規模。ちなみに新宿の厚生年金会館、日比谷の日生劇場、
丸の内の帝劇が1500-1800名、渋谷のNHKホールが3500名、
代々木のオリンピックプール特設会場が5000名収容といえば、
ビーコンの大きさのイメージが湧く方もいるだろう。
音響の良い会場としてアーチストに好まれていて、三味線の吉田兄弟の
ニューヨーク公演もここだったという。
マジソン・スクエア・ガーデンやラディオシティ・ミュージックホールと
同じ系列のようだ。

今年の夏のニューヨーク旅行で、私達家族は偶然ここの前を通っている。
ジョン・レノンが凶弾に倒れたダコタ・アパートよりやや北のブロードウェイ
に面し、歴史的建造物に指定されている建物だが、何だか界隈一体が
古めかしい所、というイメージしかなかったが。

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監督はマーティン・スコセッシ。今回の作品の勝利は、彼がストーンズを
このビーコン・シアターに引き込んだことにあると言っても過言ではない。
スコセッシはテーマを”Intimate(親密さ)”とし、ストーンズのバックステージ
での様子から舞台上の息遣い、顔に深く刻まれたシワ、シャウトする時の
飛び散るツバ、キースが一曲弾き終わる毎に投げ捨てるピック(そのピック
はストーンズのシンボル「ベロ」のロゴがついている)まで見事に画面に
捕らえた。
同時に幾度もステージ上から客席を映し、ストーンズに熱狂し酔いしれる
ファン達の至福の表情と共に、”Intimate"に包まれたビーコンを映し
出すことに成功している(もっともステージ周りのモデルかと
みまごうばかりの美女達は絶対に「サクラ」だと私は睨んでいるが)

ドラムのチャーリー・ワッツは元気そう、ロン・ウッドは相変わらず自分の
ソロをとらせてもらえない。

キース・リチャーズは相変わらずギターのカリスマぶり。
また彼の発する言葉がいい。
主賓であるビル&ヒラリー・クリントン夫妻(撮影は2006年に行われた)と
その家族を迎える際、キースが「クリントン、クリントンか・・・Bushed
(疲れたぜ)」とジョークを飛ばす。
またスコセッシのインタビューで傍らにロンをおき、「俺たち二人ともギターは
下手くそだ。でも一緒に演ると最強だぜ」
ぶっきらぼうだが、彼らしいシニカルな表現だと思う。

面白いのは、ミックが決めるSet Listと呼ばれる当日の曲目表を、本番
30分前までスコセッシに見せないところ。
焦りまくるスコセッシ。ここなどは巨匠といわれるスコセッシの技量を
ミックがわざと試している、とみた。

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ストーンズが半世紀近くをロックの第一線として君臨できている秘訣は
なんだろう?
ウドー音楽事務所に勤務する私の家内の従兄に聞いたのだが、ミック・
ジャガーは「完璧なビジネスマン」なのだそうだ。
つまりミックはストーンズを自分のビジネス上の媒体として捉えており、
バンドのイメージ、彼のカリスマ性、プロデュースするCD、コンサートツアー
の詳細まで全て彼の承認なくして進まない。
海外公演の際に交わされる契約書は広辞苑ほどの厚さになるという。

最後にキースの言葉をもう一度。。
イギリスでキースとミックが共に大麻所持で警察の留置所に入れられた際、
隣同士の独房で(絶望しない、ロックをあきらめない、絶対にゲロしない)と
声を掛けて励まし合ったときの言葉。

"We gonna make it!"
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by Mikio_Motegi | 2008-12-15 23:41 | ブレイク