ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

カテゴリ:サッカー、スポーツ( 38 )

頑張れなでしこ!

なでしこジャパンの快進撃が止まらない。
女子ワールドカップドイツ大会、決勝戦は実力NO.1のアメリカと
激突する。

正直言って私は女子サッカーには今まで全く興味が無かった。
が、ここまで来れば話は別。ぜひなでしこにはアメリカを撃破して欲しい。

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私が何故今まで女子サッカーに興味が無かったかというと、プレーの
スピードが男子と比べ格段に遅いからだ。
特にシュートの際の足の振りの遅さが我慢できない。
観ていていらいらしてしまい、興味を無くしてしまう。

今回、準決勝のスウェーデン戦をテレビ観戦(録画)した。女子サッカーの
試合を90分間観るのは初めての事だ。
驚いたのはなでしこジャパンのパス回しの速さ。
まるでバルセロナを彷彿させる、ダイレクト或いはワンタッチでの素早い
パス・サッカーで、強豪国スウェーデンの守備網をずたずたに切り裂いた。

ボール・ポゼッション(占有率)が60%を超えているのもバルサと同じ。
これは本物だ、と素直に脱帽する。

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ただし、近い将来女子サッカーが男子のそれと同じステータスに並ぶかと
いうと、それはとんでもない幻想である。

日本にいるとなかなか実感できないだろうが、サッカーの試合はは国と国、
地域と地域の「代理戦争」という意味合いがある。

ブラジル対アルゼンチン、オランダ対ドイツ、或いはレアル・マドリード対
バルセロナ等、スタジアムは文字通り「熱狂」する。
少し前までの日本対韓国の、韓国側の異様な盛り上がりを記憶している人
も多いだろう。

私がかつて住んでいたインドネシア・ジャカルタでの、ジャカルタ対スラバヤ
戦では、試合の後に負けたスラバヤのサポーターが怒って暴徒化し、車を
ひっくり返したり商店街のガラスをたたき割ったりした。
おかげで私と家内は外出の際、かなり遠回りしなければならなくなった。

ところが女子サッカーの試合となると、サポーターも観客もなんとなく
「サッカーを楽しむ」様子で、実に平和的だ。
日本に敗れたドイツのサポーターが日本のメディアの取材に対し、
「うーん今日のドイツはついてなかったね。ま、Good Looserだね」
とか答えていた。

あれがもし男子の試合で、ワールドカップの準々決勝でドイツが日本に負けた
としたらどうなるか?

審判が悪い、日本は狡猾だ、あのゴールはオフサイドだ、震災で援助したのに
恩知らずだ等、罵詈雑言の限りを尽くすだろう。

つまり、熱狂度が違うのである。

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さて女子サッカーについてロクな知識もない私だが、決勝のアメリカ戦の
勝敗を決するのは「ゴール・キーパーのミス」ではないだろうか?

残念ながらどんなに体格が良くても、ゴールキーパーの瞬発力、クイックネス
だけは女子はどうしても弱い。
つまり男子並みのフィールド・プレーに対し、キーパーは対応できていない。
例えばスウェーデンの3失点のうち、2点目と3点目はキーパーのミスだ。

言いかえると、女子サッカーに於いてキーパーのミスはつきもの。
そこをどう攻略するかが、勝負の分かれ目になると私は予想する。
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by Mikio_Motegi | 2011-07-15 18:19 | サッカー、スポーツ
日本サッカー界が誇るスポーツ・コンプレックス、福島県のJヴィレッジは、
現在陸上自衛隊が福島第一原子力発電所事故の対応最前線として使用
している。
Jヴィレッジ所属の西芳照総料理長は、サッカー日本代表が海外に遠征する
際にシェフとして欠かさず帯同している。
その西料理長が著した「サムライブルーの料理人」。あまりの面白さに
一日で読み終えてしまった。

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スポーツ選手にとって「食・栄養」は切っても切れない縁がある。
どんな激しいトレーニングも、食のバックアップがあってこそ身につく。
また長期にわたって不慣れな海外に遠征する選手にとって、美味しい食事
はなによりの楽しみであり、緊張をほぐし気持ちを明るくするものになる。

高質のパフォーマンスを期待するには、良質の食事の提供が欠かせない。

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西料理長の言葉で面白いのは、ホテルやレストランではお客の好みを
重視した料理を出す、しかし海外遠征帯同シェフにとって、料理を提供する
相手=選手はお客ではない、共に目標を一つにする仲間なのだ、というもの。

勝利の為の最高のパフォーマンスを引き出すための食事と位置づけられている
ので、個人の趣味趣向は重視されないのだ。

でも西料理長は選手個人個人の嗜好を把握し、なるべくそれに沿ったものを
出したいと願う。
その為に、海外遠征という限られた食材、調理スペース、時間の中でなんとか
折り合いをつける為に腐心する。
同時に衛生管理に特段の配慮をしなければならない。

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そこで考案したのが「ライブ・クッキング」。
遠征先のホテルに交渉し、食事会場である宴会場にキッチンテーブルを仮設、
そこでパスタやステーキ等を選手の目の前で調理する。
数種類のソースにあらかじめ下茹でしてあるロングパスタとショートパスタを
取りまぜ、選手一人ひとりが好みのパスタとソースを選び、それに応じて氏が
目の前で調理する。

ステーキも鉄板で焼きたてを用意する。ジュウジュウ焼きたてのsizzlingな
音は、選手の食欲を刺激する。
他に具材のトッピングができるうどんやラーメン、お好み焼き、焼きそば等は
「サプライズ・メニュー」として人気が高く、「今日のメニューは何かな?」
と選手は目を輝かせて毎回食事会場にやってくるという。

そのわくわく感とサプライズが選手の楽しみになり、食欲増進だけでなく、
選手やスタッフ間の良質なコミュニケーションにも貢献したことは言うまでも
ないだろう。

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昨年の南アフリカ・ワールドカップでは、標高1500メートルの高地での
合宿に備え、日本から圧力釜を自費で購入しおいしいごはんの提供に
腐心する。
食材も調味料も全く異なる地で、食べ慣れない素材を工夫して人気を博す
など、代表チームの高いパフォーマンス支えた文字通り縁の下の力持ち。
まさに西料理長は「サムライ・ブルー」の大躍進を支えたメンバーの
一員なのである。

この本には:

1.サッカー日本代表の海外遠征時のウラ話
2.異文化交流の苦労と喜び
3.レストラン運営ウラ話

という3つの要素が盛り込まれている。
期せずして全て私の仕事と興味の範疇だが、サッカーやグルメ、国際交流
に関心の方にはお奨めの一冊である。

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写真は上から

「サムライブルーの料理人」白水社(ソフトカバー)1600円税別
著者の印税は、東日本大震災で被災した南相馬市に義援金として
全額寄付されるそうだ。

スイス・ザ―ツフェーの日本代表合宿地 サンケイスポーツより

Jヴィッレジでのメニュー http://fura55.blog38.fc2.com
/blog-date-20100607.html より

自費で購入した圧力釜をメディアに披露する西料理長
・・・改めて感じるのは、代表選手たちが一様にお米の「ごはん」に
こだわる様子だ。せっかく世界中を転戦するのだから、日本人シェフ
なんか帯同せずその土地の料理を楽しめばいいのに、というのはシロウト
考えだという事が分かる。彼らは「勝利」に飢え、その為に徹底して
慣れ親しんだ「ごはん」にこだわっている。

Jヴィレッジ。map.go-stadium.netより
元々東京電力の休眠地だったが、福島県内に多くの
原発を建設した事の見返りの地域振興貢献として、1997年に設立した。
東京電力は今もヴィレッジの主要株主であり、役員も派遣している。
福島県知事は一方的に今回の震災対応で東電を非難しているが・・・。
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by Mikio_Motegi | 2011-06-05 21:15 | サッカー、スポーツ
「ビッグ・イヤーズ"Big Ears"(大きな耳)」とは、UEFA
(欧州サッカー協会)主催の各国クラブチーム・チャンピオンによる
王者決定戦を制したチームに渡される純銀製のトロフィーの愛称。
両サイドの大きな取っ手部分を表してそう呼ばれている。

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スペインのサッカーチームFCバルセロナ(バルサ)が、2010-11年度の
UEFAチャンピオンズ・リーグを制した。
相手はイングランド・プレミアリーグの覇者マンチェスター・ユナイテッド
(マンU)。

毎回ヨーロッパ時間の夜8時45分にキックオフするこの決勝戦を日本で
TV観戦するには、早朝3時45分に起きていなければならない。
私は毎年欠かさずTV観戦しており、2008年の決勝の詳細はこのブログにも
書いた。http://valkyries.exblog.jp/8915568

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例年平日に行われていたのだが、どういうわけか今年は日曜日だった。
おかげで睡眠不足のまま仕事に就く事もなく、こうしてブログに向えるのは
ありがたい。

今年の決勝は、あまりにも美しく速いバルサに、マンUが全く手も足も
出なかったという展開に終始した。
スコアは3-1。2点差だが、バルサはもう2、3点は取れたのではないか?
断っておくがマンUは2008年のUEFAチャンピオン。今年も世界最高峰の
レベルを誇るプレミア・リーグで断然の首位を走る、もの凄く強いチームだ。

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この違いはどこからくるのか?戦術上の分析は専門家に任せるとして、私が
注目したのは試合前の出場メンバー発表の際。
ここで如実に表れた両チームの違いは、チーム生え抜きの選手の数だ。
マンUはウェールズ籍のギグスを入れてもイングランド人出身者は4人なのに
対し、バルサは7人がスペイン人。アルゼンチン人のメッシは幼少の時から
バルサで育成されたので、これを加えれば8人。

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バルサの圧倒的な強さの源泉は、「カンテラ」と呼ばれる彼らの下部組織の
育成体制の充実にあると言えよう。
カンテラは、バルサの拠点カンプ・ノウスタジアムに隣接した寮で、
物心ついた時から一緒に寝食と練習を共にし、成長しやがて中心選手に
育っていく。

カンテラ出身者のコンビネーションは抜群だ。誰かが一旦ボールを持つと、
周囲が自然と反応する。彼が次にどんなプレーを選択するのか、手に取る
ようにわかるのだ。まさに以心伝心。当然団結力も強固だ。

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そんなバルサの運営を財政面で支えているのは、ビッグネームの企業では
ない。「ソシオ」と呼ばれる、世界で14万人のぼる個人会員からの献金だけ
なのである。

ソシオは、自分たちが手塩にかける如く育てたカンテラ出身選手を応援
するのは当然。
また企業からのサポートが無ければ、ユニフォームにスポンサー企業のロゴを
縫いつける必要もない。
バルサのユニフォームの胸には "Unicef"のロゴが踊っているが、あれは
ユニセフがバルサのスポンサーなのではなく、バルサがユニセフに5年間で
総額950万ドル献金している為に着用しているロゴなのである。

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敢えて名前を挙げると、イングランドのチェルシー、マンチェスター・シティ、
イタリアのACミラン、スペインのリアル・マドリードあたりが、
ビッグスポンサーの庇護の下、世界の超一流選手をトレードで買い漁り、
勝利と結果のみを目指しているように思える。
何年か前のチェルシーなど、スターティング・メンバー全員が非イングランド
人だったこともある。

それが世の趨勢なのはわかるが、生え抜き選手を重視し、若手を育て、
大スポンサーに頼らずに個人献金だけで世界一を遂げるバルサ。
かつて選手として大活躍し、監督としても大成功を収めたヨハン・クライフ
が掲げた「美しく、スペクタクルに勝利する」を至上命題とするバルサ。

私が心情的にどちらを応援しているかは、もうおわかりだろう。

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写真は全て http://soccernet.espn.go.com より。

上から"ビッグ・イヤーズ"を掲げるバルサのイレブン。

試合前の大会HPイメージ。

敗色濃いマンUの監督ファーガソン卿(スーツ姿)。そろそろ引退したら?

バルサのカンテラ出身、カタルーニャの英雄グアルディオラ監督。

バルサ3点目を決めるダヴィド・ビジャ。

バルサの絶対的エース、リオネル・メッシ。ペレ、クライフ、
マラドーナの域に近づきつつある。

この試合を最後に現役引退を表明したマンUのGKファン・デ・サール。
長くオランダ代表を務め、イタリアのユベントスでも活躍した。
ASローマ時代の中田英寿に強烈なミドルを1試合で2発くらったGKとして
日本でも知られている。
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by Mikio_Motegi | 2011-05-29 18:23 | サッカー、スポーツ
カタールで開催されたサッカーのアジアカップ。
オーストラリアとの決勝戦を延長1-0で制した日本が見事大会史上初の
4回目の制覇を遂げた。
これでまちがいなく日本はアジアの盟主の地位を不動のものにした。

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選手とスタッフたちには心からおめでとうと言いたい。
また優勝セレモニーを含め、深夜3時半までテレビ観戦していた私と
家内を含むファンの皆さん、お疲れさんでした。

アルベルト・ザッケローニは一般的なイタリア人のイメージと違い、
地味で堅実な性格のようだ。
彼は見事に異国の地・日本で指導者としてのキャリアを輝かせている。
いくらセリエAであのACミランを率いて優勝した経験があるといっても、
言葉も生活・文化も全然違う日本。しかも彼は代表チームはおろか
イタリアのクラブ以外のチームを率いるのは初めての経験だという。

彼の采配を見ていて、選手交代に大きな期待が持てるところがいい。
思い切った、意外な交代を告げる。がよく考えてみると誠に理にかなった
交代を行っているのだ。そしてそれらの選手が次々とヒーローになる。

対シリア戦でイエローをもらい、累積で次戦の欠場が決定した右SB内田篤人
をさっさとひっこめ伊野波雅彦を投入、その伊野波が見事に決勝ゴールを
決める。
対韓国戦ではこれも途中出場の細川萌が本田圭佑のPK失敗を補う
勝ち越しゴールを決め、決勝の対オーストラリアではずっと出場の機会が
無かった李忠成が決勝点を素晴らしいボレーを決めた。
また対オーストラリア戦で欠場したエース香川真司の代役出場の藤本淳吾が
全く機能しないとみるや、高さのある岩政大樹を投入し、吉田麻也との
「ツイン・タワー」を形成、オーストラリアのパワープレイを封じ込めた。

準決勝の対韓国戦の延長後半に5バックを敷き、カテナチオばりに徹底的に
守りに入ったのが裏目になり同点ゴールを押しこまれるという大失敗も
あった。
が、彼はそれを決勝で見事に修正している。

多分彼の連れてきたイタリア人コーチ陣も優秀なのだろう。
ベンチを温めている選手たちのモチベーションが高いのが、今回の成功の
要因といえる。

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ただ、今回の日本の勝利を手放しで喜ぶのは今日まででいい。
真の日本代表ファンなら、今大会で浮き彫りになった問題点を忘れては
ならない。

まずアジアのサッカーのレベルの低さ。
決勝を戦った日本とオーストラリアは、世界ランキングでいうと29位と
26位でしかない。
加えてオーストラリアは主力が衰えていおり、ハリー・キューウェル、
ティム・ケイヒルの両エースに往年の凄味と輝きが無かった。
テレビのアナウンサーや解説者は盛んに彼らの名を言い立てていたが、
私はあの二人に点を取られる気配を感じなかった。

またホルカ―・オジェック監督の超守備的な布陣と、攻撃面ではロングボール
放り込みという低レベルの戦術を敷いてくれたのも助かった。
それでも延長にもつれたという事は、レベルの低い泥仕合だったともいえよう。

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以下は日本がアジア・カップを制した年と、その後のワールド・カップでの
成績だ:


1992年 1996年アメリカ・ワールドカップ本選出場ならず
2000年 2002年自国開催の日韓ワールドカップでベスト16どまり
2004年 2006年ドイツ・ワールドカップで惨敗


・・・つまりアジア・カップを制したからといって、肝心の
ワールドカップで全く活躍できていないのである。

個々の選手でいうと、衰えの目立つ遠藤保仁に代わるボランチがいない。
守備だけでなく、ゲームを組み立てる人材が長谷部誠以外にいないのだ。

また吉田、岩政のセンターバックは身体はでかいが、吉田はヘディングが
弱いし岩政はスピードが無い。
韓国戦で相手FWに翻弄される岩政を見て、暗澹たる気持ちになった。
彼ら二人では、前代表の中澤佑治、闘莉王とレベルが変わらない。

また忘れてはならない大問題が、日本サッカー協会の戦略性の無さである。
4年前から日程が決まっていた今回のアジア・カップなのに、昨年末の
代表合宿では10人しか選手が集まれなかった。
元旦に決勝が開催される天皇杯で勝ち進んだJリーグの主力達が、誰も
代表合宿に参加できないのは当然の事。

世界と戦う4年に一度のアジア・カップと、国内クラブの戦いである天皇杯
と、どちらの日程を重視するか、日本サッカー協会は決断をすべきだった。

もちろん私は伝統ある天皇杯をないがしろにする気は毛頭ない。天皇杯は
あれは日本のサッカープレイヤーの誰もが目指す金字塔なのだから。
ただ4年に一度くらいの日程変更は許容範囲だと思うが、如何だろう?

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ここ数日はメディアではサッカーの話題で持ちきりだろう。だが選手も協会も
メディアのばか騒ぎに我を失うことなく、今世紀中のワールドカップ優勝
という大目標に邁進してもらいたい。
私としては次回ブラジル大会で是非ベスト8に進出して欲しいと思うのだが。

写真は上から2枚目を除いて www.foxsports.com より
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by Mikio_Motegi | 2011-01-30 21:25 | サッカー、スポーツ

サッカー審判の魅力

先日のアジアカップの対シリア戦、日本のゴールキーパーの川島が、
一発退場を喰らったのを観て驚いたサッカーファンは多いだろう。
あれは相手のオフサイドだ。確かに川島は故意でなくても、相手選手の
両足をかっさらっているのは事実。よって川島のレッドカードは仕方ない。
だから川島の退場、そしてシリアのPKではなく、日本ボールでのプレー再開
と判定とすべきだった、と私は見ている。

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あの場面では主審の位置からは相手のオフサイドか今野のバックパスか、
見分けるのが難しかったのは事実だ。だがあんな状況でゴールキーパー
にバックパスをするセンターバックなどいるわけがない。
主審はその点を予測し判断すべきだった。

広いフィールドに主審と線審の3名のみでプレーをジャッジしなければならない
サッカーは、確かに審判にとって過酷なゲームである。
しかし先のワールドカップでのオランダ対ブラジル戦、オランダのロッベンの
太ももを踏みつけたブラジルのフィリプ・メロの足先は、主審の位置から
はブラインドになって見えていなかった。
だが主審の西村雄一氏は、フィリプ・メロの足先の動き、ロッベンの反応から
「踏んだ」ことを予測し、迷わずレッドカードを突きつけたのである。

加えて彼はフィリプ・メロが激しやすい性格で、特に同点に追い付かれたり
した場合はラフプレーに走る傾向が強い事を事前に頭に入れていた。

サッカー史上に残る名ジャッジ、と讃えられる由縁である。

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サッカーはメンタルなスポーツだ。審判の誤審もサッカーの一つの要素と考え、
いかに頭を早く切り換えるかが勝負の分かれ目と言える。
その点今回の日本のキャプテン・長谷部の対応は良かった。
誤審を犯したイラン人審判に対し笑顔で語りかけ、遂には「お返し」で
相手チームの選手にもレッドカードを、おまけに岡崎の何でもないプレーにも
日本にPKを、審判から引き出したのである。

サッカーの魅力は、攻守が入れ替わっても途切れることなく「流れ」
の中でプレーを続ける事にある。
だから判定を巡っていちいち審判が協議するスポーツ、野球やアメラグとは
大きく性格を異にするのだ。
よって私はビデオ導入に反対である。繰り返すが、誤審はどちらのチーム
にも起きうるのだから。

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・・・アマチュアの試合では、専門の審判ではなく手のあいた選手が審判や
線審を勤めるのが常識だ。
自分で言うのも何だが、私は「線審」としては結構優秀だったと自負している。
動体視力が良かったせいだ。

また数回だが主審も務めた事がある。
「審判のジャッジは絶対」という権力の下にゲームをコントロールできる快感、
適度な緊張感、あれは至福の時間だった。
主審の仕事は私のように、多少強引で間違えていても黒白をハッキリさせる
事が好きな性格の人間には向いているのではないか、と思う。

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写真は上から対シリア戦、レッドカードを突き付けられる川島君。
我が家の長女が川島君の大ファンで、この時の彼女の悲憤はすさまじかった。

昨年のワールドカップで、ブラジルのフィリプ・メロにレッドカードを
突き付ける西村雄一氏。
西村氏のパフォーマンスがきっかけで、審判に対する見方が変わった
ファンも多いのではないか?

これも「大誤審」のひとつ、イングランド対ドイツ戦に於けるイングランドの
ランパートの幻のゴール。完全にゴールラインを割っているが、判定は
ノー・ゴール。
いきなりミドルを打ったランパートのシュートに、主審も線審も反応
できなかったのは止むを得ないと思う。

フィリプ・メロから西村氏に試合後ユニフォームを手渡されたという。
ブラジル・チームとフィリプ・メロが西村氏のジャッジを尊重し、
ユニフォームを送るという最高の敬意を表したのだ。
優勝を常に求められるサッカー王国が準々決勝で敗退したにもかかわらず、
審判への敬意を忘れない点は、さすがブラジルである。
(写真は西村氏が起居する東京都世田谷区の区長を表敬訪問したところ。
「世田谷新聞」より)

・・・もっとも西村氏は結構やんちゃなところもあり、2年前はJリーグの
試合でジャッジに不満を訴えた選手に対し「黙って試合しろ、死ね」と
暴言を吐き名を馳せた事もある。
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by Mikio_Motegi | 2011-01-16 21:17 | サッカー、スポーツ

アディダスVSプーマ

先日のメディアに、日本サッカー協会が代表チームの背番号"10"の座に、
エースの本田圭佑ではなくサイド・アタッカー香川真司を指名する
という記事が載った。
その理由は彼らの実力云々ではなく、香川が普段からアディダスの
スパイクを愛用する一方で、本田はミズノのスパイクを履いていて、
協会は代表のユニフォーム類を長らく支援しているアディダスに気を使い、
エース番号を香川に与える、というもの。

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私はその記事を読み、義憤にかられた。サッカー選手にとって背番号"10"は
ペレやプラティ二、マラドーナに代表されるように、絶対的エースのみに
着用が許される聖なるナンバー。
それをたかが道具メーカーの顔色を伺って・・・などと、抗議のブログを
書こうとPCに向かった。

ところが参考資料にしようと今年4月に刊行された「アディダスVSプーマ」
を購入し読み進むうち、唖然・呆然としてしまった。
私の義憤がいかに子供じみたもので、実はスーパースターであるペレも
マラドーナも、そしてあのベッケンバウアーとクライフも、世界の
スポーツ・ブランドが繰り広げる経済「戦争」に手を、いや足を貸して
いたという事実を知ったからである。

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アディダスとプーマは、ご存知の方は多いだろうが元々アディとルドルフ
の兄弟が戦前から経営する「ダスラ―兄弟商会」が出発点だ。
しかし兄弟間の確執から兄のルドルフが離脱し「プーマ」を設立。
ダスラ―兄弟社を引き継いで「アディダス」を設立したアディと共に
次第にスポーツ用品マーケットの覇権を争うようになる。

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そして自社の「広告塔」となり得る有名選手たちを次々と手中に納めようと、
札束が飛び交う経済戦争を繰り広げ事になる。
彼ら有名選手を利用し、あの手この手で自社製品をアピールする手法には
あっけにとられる。

例えば普及しつつあるテレビの視聴者をターゲットに、サッカーの試合中に
ゴールを決めた選手にスパイクを脱いで頭上に掲げながらピッチを走り
回らせる、或いは脱いだスパイクにテレビカメラの前でキスをさせるなんて
演出は日常茶飯に行われたという。
あの感動のシーンは実は「やらせ」だったのだ。

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凄いのは、プーマを履いたあのペレが、試合開始の直前に審判に対し
スパイクの紐が解けたと伝えてキック・オフの笛を数秒間遅らせ、その間に
かがみこんで紐を結び直す、という演出。
その数秒間、ペレがゆうゆうと紐を結びなおすプーマのスパイクは、
テレビ画面を通し世界中の何千万人という視聴者が注視する事になるのだ。

ヨハン・クライフは本当はアディダスが大好きなのに、マネージャーが
プーマと契約してしまった為、仕方なくアディダス製のスパイクを、
あの三本線を靴墨で塗りつぶして履いていた事もあるという。
私などクライフが履いているからずっとスパイクはプーマと決めていたのに。

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厳しいアマチュア憲章、まだまだスポーツに対する経済的サポートが少ない
という時代背景。それらに目をつけたのがアディとルドルフで、は窮乏した
選手や協会役員に巧みに近付き、高価なスパイクやボールを現物供与する事
からはじまり、家族ぐるみの豪華な接待、「実弾」攻撃により人間関係を
構築、マーケットに浸透したのである。

この本では、アディダスとプーマという2大スポーツブランドが、選手たち
のみならず各競技団体やオリンピック委員会、FIFA(国際サッカー連盟)
といった巨大組織に対し「スポーツ・ポリティクス」を導入し取り入り、
浸透していった過程を読み取れる。

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省みて、現代の我々の周囲のホテル・マーケティング戦略はどうだろう?
確立されたブランドや、交通至便といったアドバンテージに胡坐をかき、
大きなものに挑戦することを忘れ、小さな満足に溺れている経営者は
いないだろうか?
IT媒体での浸透に力を注ぐあまり、人間臭い、どろどろとした関係構築を
避け、結果として活力を失う事態に陥っていないだろうか?

「全ては人間関係に尽きる」と公言するダスラ―兄弟の凄まじい接待攻勢も、
現代の希薄な顧客とセールスマンとの関係と比べれば、妙に懐かしく
且つ羨ましく思える。とにかくルドルフもアディも顧客情報獲得の為、
粉骨砕身の努力を惜しまず全力投球し続けたのだ。

サッカーを始めて40年、今まで私がこだわっていたアディダスやプーマの
イメージは根底から覆された。
そんな背景を知ってしまったからには、冒頭の日本代表の背番号"10"も、
誰が着用してもどうでもよくなってしまった。
どうぞご自由に、何だったら希望者がじゃんけんで決めたら?

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写真は上から本田と香川。

イメージ。

ホルストとアディのダスラ―兄弟。

1974年西ドイツワールドカップの決勝、西ドイツ対オランダでの
ベッケンバウアーとクライフ。
私が初めてTVで「ナマ」観戦し、最も印象に残っているワールドカップ。

スーパースター、ヨハン・クライフ。ビジネスマンとしての嗅覚も
抜群で、アディダスとプーマを両天秤にかけ、巧みに契約料を
吊り上げた。

フランツ・ベッケンバウアー。ドイツサッカー界の「皇帝」にして
2006年ワールドカップドイツ大会組織委員長。
同時にアディダスの終身大使としても収入を得ているという臆面の
無さも皇帝級。

「アディダスVSプーマ」(バーバラ・スミット著 RHブックス刊
820円)の表紙。
やや冗漫で翻訳がこなれていない部分も散見するが、そこは読み
飛ばしてもいいだろう。
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by Mikio_Motegi | 2010-10-24 15:22 | サッカー、スポーツ

引き裂かれたイレブン

南アフリカで開催されているワールドカップもいよいよ佳境に入り、
残すは決勝戦のみ。スペインVSオランダという夢のカードだ。
日本国内のワールドカップ・フィーバーもまだまだ冷めやらない。

そんなお祭り騒ぎに水を差す気はないが、今から僅か20年前の
1990年代に、東ヨーロッパのさるサッカー代表チームが自国の
激しい民族独立闘争と政争の渦に巻き込まれ、ヨーロッパ
選手権出場の権利を剥奪されたという事実をご存じだろうか?

そのチームはユーゴスラビア代表、エースでキャプテンだったのが
ドラガン・ストイコビッチ、現名古屋グランパス監督。
チームを率いていたのはあのイビチャ・オシムである。

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1945年、それぞれ異なる民族、宗教をもつ六つの共和国(スロベニア、
クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、
マケドニア)と二つの自治州(コソボ、ボイボディア)は、「建国の
父」チトー大統領によって「ユーゴスラビア連邦人民共和国」として
統合された。

「バルカンの火薬庫」と呼ばれ、歴史上常に文明の衝突する要所に
位置する同国は、国家として統一し列強の干渉・影響を排除することが
求められていたのである。

ところが1990年のチトーの死後、旧ソ連の崩壊に象徴される民族自立・
独立の世界的な気運が起きる。
ユーゴでも独立を求める各共和国と、それを阻止しようとするユーゴ連邦
政府との間で戦闘があちこちで勃発していた。
1992年に始まったサラエボとの紛争では、サラエボをサポートするNATO
による空爆・軍事介入を招く。
同様の紛争がクロアチアとの間でもはじまり、同年国連はユーゴへの制裁
措置としてある決定を下した。

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ユーゴ代表は1990年のイタリアワールドカップで、前年優勝のマラドーナ
率いるアルゼンチンをPK戦に持ち込むまで苦しめ、1992年のヨーロッパ
選手権でも予選を無傷で突破。
チームとして最盛期を迎え、優勝候補の最右翼であった。

勇躍開催地ストックフォルムに到着した代表チームは、そこで1通の
欧州サッカー連盟からのファックスを受け取る。
そこには国連決議に基づくユーゴ代表チームのヨーロッパ選手権出場
資格剥奪、そして全ての国際試合の禁止が書かれていた。

意気消沈し祖国に引き返した選手たちを待っていたのは、ユーゴの代わりに
急きょ出場したデンマークが大躍進を遂げ、なんと優勝してしまうという
皮肉なニュースだったのである。

その後各共和国が一つ、一つとユーゴ連邦から離脱していく。
昨日まで同じチームでプレーしていた仲間と引き剥がされ、選手たちは
ばらばらに散っていく。
祖国では民族間を血で血を洗う戦闘がおきている。昨日まで同胞だったのに、
一夜明けたら隣近所が敵になり殺戮が繰り広げられているのだ。

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イタリアのラツィオに所属し、セリエAでの試合でフリーキックのみで
ハットトリックを決め、ギネスにも載ったシミシャ・ミハイロビッチ
のように、父親がセルビア人、母親がクロアチア人という人々も多い。
彼は戦闘が終わり戦禍で踏みにじられた実家に戻ると、自室に飾って
あったユーゴ代表選手の集合写真の中で、自分の写真の頭部だけが
弾丸で撃ち抜かれている光景を目のあたりにする。

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DVD「引き裂かれたイレブン」のラストでは、後にこのミハイロビッチ
所属のユーゴ代表と、1998年フランスワールドカップで得点王に輝いた
ダボー・シューカー所属のクロアチアが国際試合で戦った時の事の
シーンがある。
二人は元ユーゴ代表の親友同士。退場者が続出する激しい試合中、
惜しいフリーキックを外したミハイロビッチにシューカーが駆け寄り、
お互いのポジションに戻りつつ微笑みながらハイ・タッチを交わすのだ。

ぐっとくるシーンだ。「サッカーっていいな」と素直に感動してしまう。
そして同時に、世界中のあちこちでこのユーゴスラビアがたどったような
民族自決・国境紛争が今も起きていることに思いを馳せる。

地元のサッカーチームを応援する事だけが民族のアイデンティティを
維持する唯一の手段である人々について、考えてみようと思う。
サッカーの持つ意味について。

「単一民族こそのチームワーク」「単なるボール蹴り」と自国代表チーム
やサッカーを表現する一部メディアがある国に住むと、本当に平和だな
とつくづく思う。
サッカーがボール蹴り以上の意味を持つ人々にとって、こういう国の
サッカー・フィーバーはどう映っているのだろう?

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写真上から、1997年3月、Jリーグでの試合中の得点直後、"NATO STOP
STRIKES"「NATOは空爆をやめろ」と書かれたTシャツをアピールする
ストイコビッチ。(はてなキーワードより)

旧ユーゴスラビア連邦。(www.fujita.org/widculture/dnames/
yu.html より)

ミハイロビッチとダボー・シューカー。シューカーをシュケルと書く
メディアもある。彼はワールドカップ初出場の日本のゴールにシュートを
叩きこんだストライカーだ。

DVD「引き裂かれたイレブン」

(参考文献:「オシムの言葉」集英社文庫 木村元彦
「日本サッカー偏差値」じっぴコンパクト 杉山茂樹
「ワールドカップは誰のものか」文春文庫 後藤健生
「オシムからの旅」理論社 木村元彦 
DVD「引き裂かれたイレブン」アルバトロス・フィルム )
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by Mikio_Motegi | 2010-07-11 09:20 | サッカー、スポーツ
今から31年前の1979年の夏、日本各地で開催された
「ワールドユース世界大会」での大活躍で、ディエゴ・マラドーナは
世界にその名をとどろかせた。

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前年の1978年、母国アルゼンチンで開催されたワールドカップでも
「神童」と呼ばれ大いに期待されていたが、結局セサル・ルイス・メノッティ
監督はマラドーナを最終メンバーに選出しなかった。
なんとなれば「(代表に召集するには)若すぎるから」という理由からである。
時にマラドーナは17才。

実は私は決勝の「アルゼンチンVSソ連」を、国立競技場で観戦している。

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確かソ連にもタランというオールラウンダ―のセンター・フォワードがいたが、
マラドーナの存在は敵のエースや他を完全に圧倒していた。
何しろマラドーナはボールを持ったらまずドリブルを仕掛ける、それも必ず。
そして速く、重心が低い。切り裂くような猛スピードで一直線に相手陣内に
突進する。DFはファウルでしかそのドリブルを止められない。
マラドーナも自ら倒されて得たフリーキックを決めて見事な優勝を遂げ、
彼も大会のMVPに選ばれた。
チームメイトには後に横浜マリノスでプレーし、Jリーグ初年度の得点王
に輝いたラモン・ディアスがいた。

今回のアルゼンチン代表ではメッシが彼の後継者と目されていたが、
プレースタイルはむしろポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドの方が
マラドーナに似ているように思えた。

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さて先日の準々決勝VSドイツ戦。ご存じのようにアルゼンチンは4-0で
完敗を喫した。
スコアほど実力差は無かったと思うが、これはアルゼンチンが得点を狙い
前掛かりに攻めた為に、カウンターを喰らった結果。
準々決勝でドイツと対戦したイングランドと同じ轍を踏んだのだ。
要するにマラドーナの監督としての采配が悪かった、という事。

しかし彼は充分にサッカーの楽しさを我々に伝え、魅了してくれた。
とにかく最後まで私たちを楽しませてくれた「マラドーナ劇場」は、幕を
閉じたのである。

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「サッカーというのは単純な競技さ。22人の男たちが、90分間ボールの後を
追いかけ回す。そして、最後にドイツ人が勝つのさ」・・・これはイングランドの
元エース、ギャリー・リネカーの言葉。
今大会は若いドイツの調子がウナギ昇りだ。リネカーの言葉通り、
このままドイツが優勝するのだろうか?
私としては決勝はスペインVSオランダという夢のカードの実現を期待したい。

 
写真は上2枚が私が実家でみつけたサッカーマガジンの表紙と
マラドーナの雄姿。
現在のマラドーナ。
アルゼンチンのサポーター。これは最近の写真だが、1978年W杯のテレビ
画像に映し出された彼女たちに出会う事を夢み、大学の第2外国語で
スペイン語を選択した数多くのおっちょこちょい学生がいたのは紛れもない
事実である。
なぜそう断言できるかというと・・・。













これは7月1日からはじまった Excite による強制広告。本ブログとは
一切関係ありません。 ↓ ↓
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by Mikio_Motegi | 2010-07-05 21:04 | サッカー、スポーツ

日本代表に公正な評価を

サッカー日本代表がパラグアイに敗れた。しかし試合内容はほぼ互角。
PK戦での結末は、残念だが受け入れるしかない。
結局、勝利の女神がベスト8進出に4度目の挑戦であるパラグアイに微笑み、
実質初めての挑戦である日本にはそっぽを向いた、としか言いようがない。

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日本代表の岡田監督も選手たちも、今回の結果に胸を張って良い。
彼らはカメルーン戦での勝利以来、日本中を熱気の渦に巻き込んでくれた。
但し目標だったベスト4に届かなかったのは事実だから、日本サッカー協会も
メディアもキチンと今大会でのパフォーマンスを総括・評価しなければならない。

反省点・疑問点は多々ある。
本田のポジショニングはあれで良かったのか、選手交代のタイミングと人選、
岩政大樹、内田篤人、森本貴幸の3人のフィールドプレイヤーが一度も
ピッチに立てなかった事由、
そもそも代表メンバーを選んだ後にチームコンセプトを変えるという、
柔軟過ぎる対応等々。

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前回のドイツ大会で、前評判の高さにもかかわらず無様な負け方を喫した
のに、ろくにファンの前で会見も開かなかったジーコ・ジャパンの
時のような轍を踏んではならない。
あの時協会はハプニング的にオシム次期監督を公表して敗退の原因を
うやむやにしてしまい、メディアもオシムに目移ろいしてそれ以上深く
追及しなかった。
「熱しやすく醒めやすい」日本の国民とメディアらしいといえばそれまでだが、
思えば日本のサッカー人気の凋落はこの時から顕著になった。

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私が終始一貫このブログで述べているのは、日本サッカーの人気回復
への願いである。
長期凋落傾向にあるサッカー人気に歯止めをかけ、1993年の
Jリーグ創設時や1998年フランスワールドカップに初出場した時のような
熱気を日本に取り戻したい。その為に日本代表を応援している。

昨日のパラグアイ戦の前、私が乗った京都市内の地下鉄やバスの中でも
下校途中の女子高生やサラリーマンたちが「後6時間ではじまるやん」
「しんどいけど、今夜も見なあかんな」と日本サッカーの話題で持ちきり
だった。

オランダのアムステルダムに住む友人からメールが届いたのだが、
あちらではサッカーは老若男女問わず生活に根付いている。
市の中心にある金融街にも特設ステージと特大スクリーンが設けられ、
昼間からビジネスマンがビール片手にスーツ姿で自国を応援している。
そしてそれを咎める人は誰もいない、何故なら会社の上役が率先して
サッカーを観戦しているから、という。

巷に普通にサッカーの話題があふれる現象、これこそが望むべき姿であり
決して一過性のブームに終わらせてしまってはならない。

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あの前半の松井のシュートが後10センチだけバーの下を叩いていたら、
本田が左足のダイレクトシュートを撃つ際、あと10センチだけ右足の重心が
右にかかっていたら、見事にゴールネットを揺らしたかもしれない。
その「かもしれない10センチ」を埋めるため日本代表は再び4年間を闘い、
私たち熱狂的サッカーファンもサポートし続けるのである。

写真は一番上が jp.ibtimes.com
その他が毎日デイリーニュースより。













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by Mikio_Motegi | 2010-06-30 13:47 | サッカー、スポーツ
今朝、1次リーグ最終試合のスペインVSチリが終わったと思ったら、
今夜からはもうウルグアイVS韓国を皮切りに決勝トーナメントがはじまる。
せわしないが楽しい4年に一度のお祭りだ。

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さて今回の南アフリカ大会の最大の特徴は、同国が南半球に位置するため、
「冬の大会」になった点ではないだろうか?
つまり毎年この時期に開催されるW杯は、酷暑の中で行われる為体力の
消耗をいかに抑えるかが各国の重要な戦略になる。
特に2002年の日韓など、ヨーロッパの選手たちにしてみれば未体験の
梅雨時の高湿度だったので、気候に馴れない強豪国が早々と敗退する
大波乱の大会だった。

その点、南アフリカは涼しい、いや、寒い。運動量とスピードを持ち味にした
チームが活躍する、観ていて大変楽しい大会だと言える。

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ラテン諸国が大活躍し、アフリカと北ヨーロッパのチームが苦戦する中、
最大のセンセーションは前回大会で決勝を戦ったイタリアとフランスという
ラテン系サッカー大国の1次リーグ敗退だろう。

イタリアの凋落は分かり切っていた。選手の年齢が高過ぎ。
フランスの場合、人種問題に発展するといけないのであまりメディアは
取り上げないが、代表にアフリカ系の選手が多すぎた事が敗退の最大の
理由だと思う。
このチームはアフリカ系選手個々のフィジカルに頼り過ぎた為、
フランス・サッカーの代名詞である「シャンパン・サッカー」、シャンパンの泡が
はじけるようにフィールド内のあちこちで華麗なアタッキングを繰り返す
サッカーが全く見られず、個人勝負の連動制のないものになってしまった。
「らしさ」を失ったチームは、同時に勢い、求心力、チームワークをも失って
しまったのだ。

下の2枚の写真を見比べるとよくわかる。1998年に優勝したチームと、今回の
チームの人種構成の違いを。

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私は1978年から86年までの、ミシェル・プラティ二(現欧州サッカー協会会長)
を中心としたフランス代表が憧れチームだった。今のフランスにはその面影が
全くない。
1998年の優勝メンバーであるブラン次期監督に、トリコロールの一刻も早い
再建を託したい。

1次リーグで最も感動したシーンが下の写真。
イングランドの前主将ジョン・テリーが、負ければ敗退が決まる対スロベニア戦
で見せた炎のダイビングだ。
テリーは相手選手にタックルし一度倒れこみ、直ぐに立ち上がってシュートを
防ごうとした。でも体勢が崩れていたので足が出せない。とっさに彼は頭を
相手のシュートコースに投げだし、これを防ごうとした。
両手を身体にぴたりと付けているのは、シュートが腕に当たりゴール前でPKを
とられるリスクを犯さない為。その代わり彼は後頭部にシュートが直撃する
リスクをとったのだ。これぞ「ライオン・ハート」の真骨頂!
(背番号2のグレッグ・ジョンソンが股間を押さえているのは、かゆいから
...ではない)

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隣国・韓国の活躍は予想通り。エースであるパク・チ・ソンが初戦の相手
ギリシャ戦で、相手ボールをかっさらってそのままドリブルシュートを決めた
シーンは鳥肌ものだった。
スピーディーでスタイリッシュ。決勝トーナメント1回戦のVSウルグアイを
制すると、2002年以来のベスト4も夢じゃないかもしれない。

世界ランキング120位の北朝鮮も奮闘した。ラテン気質を丸出しに、本能の
まま得点を重ねたランキング3位のポルトガルを相手に、最後まで頑張った。
あの戦いはを見事な敗戦と言え、誰も非難できない。
帰国しても選手やスタッフを責めないでね、将軍様。

日本の決勝トーナメント進出はまさにセンセーションだった。
我々全国のサポーターから非難された、意味のないボール回しを続ける
「自己満足・現実逃避」のサッカーから、オシム前監督が掲げた「攻撃的な
守備・闘志を前面に出す」サッカーに、岡田監督が大会直前になって切り
換えた事が功を奏したといえる。

もっともこれは自己満足の典型的プレーヤーである中村俊輔のケガで、
戦術を変更せざるを得なかったという背景もある。

もう一つ欠かせないのが、試合に出られない選手たちも含めたチームとしての
一体感を醸し出せた事。
初戦のカメルーン戦で、交代出場した岡崎慎二の脱いだジャージを中村俊輔
が畳んで片づけたと思われるシーンがTVに映った。
彼が本当のエース、日本のキングで無い事の証明でもあるが、それはさておき
もしそれが本当だとしたら、岡田監督は良いチーム作りに成功したと言える。
なかなかやるね!岡ちゃん!!

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写真はYahoo!スポーツより。
一番下は大阪・なんばのスポーツ・バーにて大盛り上がりの日本サポーター。

さていよいよ決勝トーナメント。最初からスペインVSブラジル、
ドイツVSイングランドという注目のカードが見られる。
繰り返すが南アフリカは今は冬なので、体力の消耗がそう激しくない。
トーナメントの1回戦から全力モードで戦える、魅力的な大会になることは
間違いないだろう。
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by Mikio_Motegi | 2010-06-26 11:39 | サッカー、スポーツ