ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

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俺はS男だ、私はM子よ

・・・刺激的なタイトルですみません。でも決して期待していたような内容
ではないので、ご心配なく。

この場合S, Mでなくても例えばHやW, R, Fでも良い。要するに東京に
進出している海外の5スターホテルの頭文字である。

複数の友人、知人から聞かされた話だが、ここ数年の間に東京に新しく
できたこれらのホテル、スタッフ間のコミュニケーションが上手くいって
いないところがあるようだ。
理由は様々だろうが、その内の情けない物の一つに、トラブルの処理や
マニュアルにない場面に遭遇した際、スタッフが二言めには自分の出身
ホテルの名を出して「Fはこの場合こうだった」、「Hはこうよ」と言い合う、
という事実がある。
そんな場面に出くわす度にFやH出身でない友人は、「そんなにFやHが
懐かしいなら、辞めなきゃいいじゃねえか」と呟くのだそうだ。

ホテル事業が成功する要因は数々あるが、多くの場合そのホテルに
おける前提条件、例えばロケーション、マーケットに見合う規模・施設構成、
オーナー企業のバックアップ・資金力といったものがあることを忘れては
ならない。
それは例えば都内でRev/Perの高いホテル、六本木ヒルズに位置する
G.ハイアット、宿泊特化型高級路線のF.シーズンズ丸の内、超優良企業
がオーナーのP.ハイアット等である。
言い換えればそれらの前提条件があってこその成功、プロジェクトの
勝利なのである。
上記ホテルも国内展開している他店では苦戦しているところもある、
という事実がプロジェクト(前提条件)の重要さを物語っている。

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評論家の故山本七平の著書「日本はなぜ敗れるのか-敗因21か条」
(角川Oneテーマ21、781円税別)で太平洋戦争における日本軍の
敗因を論評している。
その第7章「芸の絶対化と量」で、日本軍には「徳川時代以来の、
外的制約を固定してそれが絶対動かないという根拠無き信念のもとに、
その固定の中で芸をみがき、その芸が極限まで達すれば外的制約は
動かなくてもそれを乗り越えて万能でありうるという考え方があった」
としている。

例えば宮本武蔵は武器を刀剣に限定されていたから強かったのであり、
日本海軍は奇襲作戦であったが為パールハーバーで勝利した。
武蔵は鉄砲を持つ相手には無力だし、日本海軍はミッドウェーで総力を
挙げて臨んだ米海軍に大敗したのである。
つまり前提条件があってこその強さ、勝利であって、それが崩れた時
の脆さはあっけないほどのものなのだ。

どうもこの性癖は日本人特有のもののようだ。
私がいたシャングリ・ラ・ジャカルタやインターコンチネンタル・
シンガポールには、それこそグランドハイアットやリッツ・カールトン、
フォー・シーズンズの出身者が多くいたが、日本のホテルのように
「ハイアットでは」とか「リッツでは」等の話題はついぞ聞いたことが
なかった。
それらの都市ではインターナショナル・ホテルに勤務することのステータス
は日本よりはるかに高いし、人材のMobility(流動性)はもっと高いにも
かかわらず。

スタッフ間のコミュニケーションが上手くいって無いホテルのマネジメントは、
即刻宣言すべきだ。
「キミたちが以前勤務していたホテル名を標榜し議論のたたき台に
するのは禁止します」と。
もちろんその際に「ボクが以前勤務していたPではそうしていました」
などと口走らないように。
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by Mikio_Motegi | 2007-10-25 07:37 | 人材・ホテル

ACCJ 関西ウォーカソン

本年9月21日のブログでも告知したが、昨日(10月20日)標題のチャリティ
イベントが大阪城公園で行われた。
前日の雨天と打って変わって当日は快晴。1000名以上の参加者、
関係者、ボランティアが集まり、大成功だった。

チャリティの主旨は「日本で働く女性の為の環境改善 / Improving
the emvironment for working women in Japan」
収支報告は後日詳細が発表されるが、実費を除く収益金は全額
ACCJ(在日米国商工会議所)関西支部の認定するNPO団体に寄付
される。

少子化に伴う労働人口不足を補う為、女性の就業人口を増やすのは
急務の課題だが、乳幼児や要介護家族を持つ女性達の就業には実際は
何かと不便が多い。それを支えるNPO団体を側面からサポートしようと
いうのが狙いだ。
本当は日本政府がもっと本腰を入れて解決に当たらなければならない
課題なのに、アメリカの商工会議所がこんなサポートをしなくてはならない
とは皮肉な話である。

さて私は当日150名以上集まったボランティアのお世話係。
とはいっても殆どがユニヴァーサルスタジオ、大阪市、日本メドラッド、
GE、島津アドコム、SPEC,カナディアン・スクール等の会員団体からの
参加なので、統制が取れており運営もスムース。
個別参加のボランティアも大変気持ちのいい人たちばかりだった。
特に日本メドラッドの広報担当である原田敬子さんが事前に周到な準備を
してくれたので、私はそのシナリオ通り動けばいいだけ。
彼女は細腕ながら文字通り縁の下の力持ち役、大会運営の功労者である。

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国際色豊かなイベントだった。
神戸市のカナディアン・アカデミー生徒によるチア・リーディングや
スコットランド団体のバグパイプ演奏、USJのアーチストの生演奏が
ステージを盛り上げてくれた。
ミズノは体力測定、足型測定のブースを、GEは発電の仕組みを再現する
ペーパークラフトを作らせるコーナーを設けて子供達に大うけ。
屋台料理もヴェトナムの「フォー」やスペインの「タパス(これが絶品!)」
が大好評。
大会の詳細は近々アップされるであろうACCJのサイト www.accj.or.jp
をご覧ください。

写真は上がウォーキングの様子。下がカナディアン・アカデミーの生徒
による2本ロープ跳び / Double Dutch のパフォーマンス。

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by Mikio_Motegi | 2007-10-21 18:31 | ブレイク
曝涼(ばくりょう)とは平素収納している諸道具・図書・衣類等をに日に
さらして風を通すこと。いわゆる「虫干し」のことである。
毎年10月の第2日曜に、大徳寺では所蔵品の曝涼を行い、一般公開
している(入館料大人1,300円。雨天中止)。

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曝涼で驚くのは、大徳寺が所蔵している大変貴重な掛け軸の数々が
ちょっと手を伸ばせば触れられるところに掛かっている。
それもそんじょそこらの美術品ではない。

代表的なものに中国の宋から元の時代に活躍した禅僧の牧谿
(もっけい)による国宝「観音・猿鶴(えんかく)図」、重要文化財「竜虎図」。
国宝の後醍醐天皇直筆の書、朝鮮高麗時代の重要文化財
「楊柳(ようりゅう)観音像」等である。
牧谿の作品などは東洋美術の白眉・至宝ともいえるもので、私は4年前に
初めてこれを拝観した時、あまりの迫力に度肝を抜かれたものだった。

「竜虎図」の竜は鉛色(にびいろ)の雲の間からぬうっと顔をだして
いるようで、実際に竜がいたならこんな風に現れるのだろうな、
と想像してしまう程リアルだ。
虎も、肩の辺りの筋肉の盛り上がりや身体のこなしがいかにもしなやかで、
正に今でも飛び掛ってきそう。
どちらも眼の力が凄い。大きな白眼に、ここにしか打てないと言わん
ばかりの小さな一点のみの眼球。
無機質であり何者も寄せ付けない、霊長類の王者の貫禄である。

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そして気付く人は多くないのが、これらが掛かっている部屋の襖絵だ。
大軸の陰に隠れてしまっているが、精緻だが実に味わい深い山水画が
襖に描かれている。寺の係りの人に尋ねても由来が分からなかったが、
このブログを書くので調べていたらその絵は狩野探幽のものだった。

このような名宝が下町にある我が家から100メートルしか離れ
ていないところに常に所蔵されているという事実が、京都という街の
奥深さなのだろう。
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by Mikio_Motegi | 2007-10-14 12:16 | 京都・紀行

自分の葬式のBGM

先日のボクシングWBC世界フライ級選手権、チャンピオン内藤大助
VS亀田大毅との一戦を名古屋で友人とTV観戦した。
試合の内容はどうでも良いが、あのTV中継の冒頭に流れた音楽が
モーツアルトの「レクイエム」であったのに触発されてこの項を記す。

2003年2月に84歳で他界した私の父は、生前「自分の葬式のBGM
にはレクイエムを流してもらいたい。それもベートーベンではなく、
モーツアルトのレクイエムを」と言明していた。

「レクイエム」はモーツアルト最後の曲(正確には未完)として
知られている。
我が家の宗派は曹洞宗で葬儀には僧侶も来る。
喪主である兄は父の言葉を守り、二人の僧侶による般若心経
その他の読経の合間にカラヤン指揮の「レクイエム」をかけた。
あれはなかなか興の良い葬儀だったと思う。

史上最も有名なモーツアルトの「レクイエム」演奏は、
ジョン・F・ケネディの追悼ミサであると言われている。
1964年1月、前年11月にテキサス州ダラスで暗殺された若き
大統領を悼み、ボストンの聖十字架大聖堂で執り行われたミサの
式次第の一貫としてこの名曲は演奏された。
指揮はエーリッヒ・ラインスドルフ、演奏はボストン交響楽団。

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「レクイエム」だけでなく、ミサの実況も録音されている歴史的かつ
感動的なこの作品は、昨年(2006年)にRCAにより世界で初めて
CD化され発売された。
日本盤はBMGジャパン社が制作、
「ジョン・F・ケネディ追悼 死者のための荘厳司教ミサ」というタイトルで
定価2,520円で販売されている。

私は別に誰かが死んだ時に聞くだけではなく、普段の仕事の際のBGM
として聞いている。
何故かこの曲を聴いていると仕事がはかどるのだ。

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さて父親にモーツアルトのレクイエム、といういわばクリーンヒットを
打たれてしまったので、残された私たち家族は自分の葬式には何を
BGMにしてもらったらよいか頭を捻っているところだ。

私の葬式の際は、バッハのブランデンブルグ協奏曲や
無伴奏チェロ曲、或いはチェロのアンサンブル、変わったところで
パバロッティのアリア等を候補に挙げているが、なかなか
「これだ」という結論がでない。
思い切ってレッド・ツェッペリンやローリング・ストーンズ
を流してもらうのも一興に値する・・・わけないか。
誰かいいアイデアがあったら教えてください。

ところで皆さんはご自分の葬儀にどんなBGMを流して欲しいですか?
ご希望があればメッセージをどうぞ。可能な限りご遺族に伝えます。

写真は上がJFK、下がタワーレコードのサイトより www.towerrecords.co.jp
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by Mikio_Motegi | 2007-10-13 10:00 | ブレイク
「パリコレ」ではない、「マキコレ」である。

マキコレとは、金井麻紀子さんという人が独自の基準、目利きでセレクト
したフランスワインのコレクションのこと。

金井麻紀子さんは1973年群馬県桐生市生まれ。
高校卒業後フランスに絵画の勉強で留学していたが、ある時
ブルゴーニュのワインに出会い開眼、猛烈に勉強をしてワイン生産から
マーケティングまで学ぶ国立の農業学校に入学。デュプロマ(学位)を取得
した。
このデュプロマがあるとブルゴーニュでワインを生産したり販売会社を
経営したりすることができる。当時としては日本人では彼女だけが
取得していた学位だという。

彼女のワインの目利きの基準は以下の通り:

1.主に小さな畑で当主自らが生産したワインであること
2.製造過程は自然農法に任せ、SO2という薬剤を使わないこと
3.デタンジュ(摘み取り)が手作業であること
4.腐敗した果実は除去していること

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私とは、彼女の出身が私と同郷で、彼女のご尊父と私の実家が家族
ぐるみでお世話になっている佐々木一郎さんという方が親しい、
という縁がある。
私が今年の夏に帰郷した折に佐々木さんからお土産にいただいたマキコレ
の赤ワインを先日開けたのだが、それが物凄く美味しかった。
何と言っていいか、それまで飲んできたワインとは全く違う位相の、
味や色、香りの深さが際立つ1本で、ひとくち含んだ途端、
「何だこれは!?」と叫んでしまったほどだった。

彼女のご尊父は桐生の「かない屋」という酒店のご主人で、早逝した
お兄様の後を継いでかない屋を隆盛した。
この人も大変な勉強家で、且つ商売に関して慧眼の持ち主だ。
先年、「シェバリエ」というフランスのワイン生産者が優れたマーケッターに
授ける称号を親子で叙勲した。
また、ゴルフはシングルの腕前だそうだ。

上の写真は「ハーツ・コーツ・ド・ボーニュ」。金井麻紀子も「麻」の漢字が
ラベルにプリントされている。私が叫んでしまった逸品。
下は「ジブリー・シャンベルタン」。ジャッキー・トルソーという人が生産した
もの。どちらもブルゴーニュの赤である。

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by Mikio_Motegi | 2007-10-07 21:41 | ブレイク
今日、重要無形文化財「截金(きりかね)」の技法保持者で人間国宝
の江里佐代子さんが滞在先のフランスで亡くなった。
截金とは、金箔やプラチナ箔を熱して細い糸状に切り出し、様々な
模様を仏具や茶道具などに細工する技法である。
奈良時代から伝わるものだが、極めて精緻な作業が要求され伝承者
が非常に少ないのが現実だ。

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有名な作品では、日本橋三越の1階に天女像があるが、あれにも
截金は使われている。
実は家内の母親の伯父も截金師で、その人の父親が「天女像」制作に
携わっている。天女像の足元の裏側に製作者の名前が篆刻してあるが、
その人の名前もちゃんと載っているのだ。
その大伯父が江里さんのお師匠という縁があり、私も数年前に大伯父
の告別式でお目にかかったことがある。

京都御所の迎賓館やブライトンホテルにインテリアとして採用されていて、
これからの益々の活躍が期待されていた。
女性の人間国宝では最も若い62才。俊才を亡くしたものである。

写真は江里さんがご主人と主催する工房「平安佛所」のホームページ
www.heian-bussho.com より
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by Mikio_Motegi | 2007-10-04 22:41 | 京都・紀行