ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

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本年に私が泊まったホテルの項目別ランキングを発表する。
条件は以下の通り:

場所:東京
目的:ビジネス
料金:18,000円から23,000円、1泊朝食付きのシングル・ユース、
    サービス料・税金込み(ラックレートは無視)
予約:全て楽天トラベルのオンライン予約。

ハードのひどいホテル
シェラトン都東京 レギュラーフロア
・・・ベッドのスプリングはぎしぎし鳴るし、冷蔵庫は品物を抜くと同時に
課金される年代物。テレビは小さく古い。
アッパーフロアとの差がありすぎなのに、料金は2-3000円しか違わない。

但しレストランやバー、アッパー・フロアのインテリアは秀逸。
スタッフのホスピタリティも高い。
要するに一種の差別化を計っているわけだが、だったらレギュラーフロアの
値段をもっと安く設定すべきだ。

朝食の不味いホテル
ホテルメッツ渋谷
・・・JR東日本系列の宿泊特化型ホテル。テナントが運営している
朝食レストランは、場末の社員食堂という感じ。
もちろん食材もひどいし、サービスのおばちゃんの態度は最低。
JR渋谷駅に隣接しているという謳い文句のロケーションだが、埼京線
ホームの端の改札に隣接しているいうだけ。

但しフロントのサービスは良好。テナント選定を間違えた為に評価を落とした
典型的なパターン。

ホテルオークラ東京 本館テラスレストラン
・・・レストランに日本人のお客が入ってくると、グリーティング係りの男性が
「いらっしゃいませ~」と声を出す。するとホール内のスタッフが一斉に
「いらっしゃいませ~」と唱和。
これが外国人のお客には「Good Morning, Sir (Madam) ~」となる。
それもお客には誰も一瞥もせずに。
「ここは居酒屋か!?」、と叫びたくなる。

ソフトの良いホテル
ホテルオークラ東京
・・・フロントと客室係りの対応は秀逸。きびきびしていて無駄がなく、しかも
丁寧で正確。「感動」を与えてくれるホスピタリティはさすが天下のオークラ。
しかし、このような素晴らしいホテルが、私の予算で泊まれるほど安い料金
を提供しているという事実について、どう捉えるべきだろうか?

ロイヤルパーク汐留タワー
・・・ビジネス街のど真ん中、新橋その他の駅に直結という抜群の
ロケーションにも拘らず、スタッフに微塵も傲慢なところがない。
対応は実に丁寧で正確。
今、都内の宿泊特化型で1番「旬」なホテルと言える。
ただし値段が最近高くなってきて、私の予算では泊まれない場合が多い。

朝食の美味しいホテル
三井ガーデンホテル銀座
・・・昨年に続きランクイン。1日のスタートを切るのに最適な朝食、としか
称えようが無い。テナントが運営 しているが、スタッフは活気に溢れ、
笑顔が絶えない。もちろん料理も充実。

ハードの良いホテル
ANAインターコンチネンタル東京
・・・50億円をかけて改装しただけあって、斬新でかつ落ち着ける色使い、
ベッドやリネンの高品質はさすが。パブリックスペースも充実していて、
ロビーは非常に活気に溢れている。後は分煙にもっと力をいれて欲しい。

本年度ベスト・ワン
三井ガーデンホテル銀座
・・・今年は5回も泊まった。カーテンの遮光性の悪さは相変わらずだが、
それの対応方法を見つけたので問題解決。とにかく活気に溢れていて、
泊まって楽しく、こちらのマインドにも良い影響が期待できるホテルといえる。

数えると、私は今年、内外のホテルに計40泊ほど泊まった事になる。
昨年と違い三井ガーデン銀座やANAインターコンチ、ロイパー汐留のように、
同じホテルに複数回泊まることが多くなった。
それだけ好みが固定化してきたと言えるが、昨年のベスト・ワンである
御茶ノ水の「山の上ホテル」のような、新鮮な発見のホテルが無かった
のも残念。

来年も上京する機会は多いと思うので、貪欲に良いホテル探しを
続けていきたい。

写真は三井ガーデン銀座 www.mitsuifudosan.co.jp より

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by Mikio_Motegi | 2007-12-29 15:23 | 人材・ホテル

金沢への旅

先日、仕事を兼ねて金沢に行った。
京都から金沢までは、意外と遠くない。購入して2ヶ月でたった100㌔しか
走っていないアウディの足馴らしに丁度良い往復約500キロの距離、
所用時間片道約2時間半の旅だ。

ところが途中の北陸自動車道が事故で通行止め。
やむなく敦賀湾沿いの国道を走ったのだが、山道で突然、今まで経験した
事のない程猛烈な「霰(あられ)」に見舞われた。日本海側の苛烈な風土を
改めて認識する。

所用を済ませ、小松市郊外の辰口温泉「旅亭 萬葉(りょてい まんよう)」
に投宿。
経営が行き詰った大阪の旧福徳銀行の保養所を買い取り、高級旅館に
バージョンアップした施設とのこと。
2千坪の敷地に客室が10しかない、という贅沢なつくりに驚く。
しかもうち2部屋は貴賓室という名のスイートルーム。
一番大きな「福禄寿」の間は200平米の広さだ。
この貴賓室は、旧福徳銀行の頭取とその家族専用の部屋だったとの由。
あまり筋の良くない融資先が多かったという噂の銀行らしい、乱脈ぶりが
偲ばれる。

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翌日はここから車で30分の金沢市へ。
思ったより用事が早く終わったので、市内見物としゃれ込む。
金沢には昨年11月にも訪れたが、その時は仕事に追われ全く市内を見て
廻る余裕が無かった。
今回はできれば陶芸の至宝、古九谷(こくたに)焼をじっくりと鑑賞した
かったのだが、何故か金箔(きんぱく)の工芸館へ立ち寄ることに。
そこで体験コーナーというのがあり、折角なので箸の箔押しに挑戦する。

金箔は7ミリグラムの24金を叩いて極限まで薄くするもので、僅か1ミクロン
の厚さである。非常に繊細な技術を要するもので、国内の金箔の95%は
この金沢で生産されているという。

実は家内の祖父は、金箔を細く切り仏像や美術品に装飾する
「截金(きりがね)」という技法で京都市の重要無形文化財であった人物
なので、金箔について少々うるさい。
私は当初ありきたりなデザインではなく、"To be a Rock" と
"And Not to Roll" というレッド・ツェッペリンの「天国への階段」の歌詞を
箔押しすべく奮闘したが、細い箸に文字は難しく断念。
ご覧のようなありふれた意匠になってしまった。

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帰る途中、学生時代に読んだ五木寛之の「内灘夫人(うちなだふじん)」を
思い出し、近くの内灘海岸へ廻り冬の日本海を眺める。
薄暮の海岸に茫漠たる波が押し寄せ、冷たい飛沫がかかる。頬が凍るように
冷たい。
雑念と煩悩を払い、少し厳粛な気分になって一路京都へ。

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我が家に辿りつき、車を車庫に入れた際、新車の車内が砂だらけに
なっている事に気付く。
内灘海岸で靴底に着いた砂をよく払わなかったからだ。
思わず不埒な言葉が口について出たが、つい先ほど内灘海岸で払った
筈の雑念・煩悩は、実は砂と共に京都まで私にまとわりついていた、という
事実が判明したのである。

写真は上から 萬葉のロビー、今回朝日新聞社賞を受賞した私の作品
名「箸-金沢の箔」、及び内灘海岸。
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by Mikio_Motegi | 2007-12-22 22:20 | 京都・紀行

神戸が熱い!

神戸がホテル新規開業ラッシュで沸いている。
現在公表されているプロジェクトは以下の通り:

No. 開業予定日   名称(事業主体)        部屋数 

1   2008年夏   ラ・スイーツ           70室  
2.  2008年9月  リゾートトラスト三宮      140室 
3.   2009年    (三井不動産)          100室 
4.   2009年    (ダ・ヴィンチ・パートナーズ)  240室   
5.   2009年    (ライフステージ)         80室
6.   2009年    (住友不動産)           未定

(本年度神戸新聞の記事より抜粋)

背景には、神戸空港開港、ホテルの高稼働等が挙げられる。
例えば観光客はこの2年で200万人増え3000万人、
主要ホテル稼働率は5ポイント増え73%、観光シーズンは100%近い
日も多い。

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ただ私の感想としては、神戸は外国人にとって魅力的な観光資源が多い
とは思えない。
元町、外国人居留地跡、中華街、北野坂界隈、ルミナリエといった場所や
イベントは確かに日本人の異国情緒に訴えはするが、外国人にとって
どれほどの魅力があるというのだろうか?

また兵庫県のビジネスが好調、という話もあまり聞かない。
やはり新規ホテル開発ラッシュの影には、東京、名古屋駅前、大阪駅周辺
及び御堂筋と西に下ってきたホテル投資ブームが神戸に辿りついた為、
と考えるのが正しいのかもしれない。
収益還元法の導入、J-Reit解禁といった外国人投資家を呼び込む施策が
生んだ現象なのだろう。

神戸のホテルは、かねてより主要5ホテルがそれぞれ独自のマーケット
を持っていて、競合関係があまり無かった。
つまりオークラの地元富裕層、クラウンプラザのビジネス、
ポートピアのMICEマーケット、シェラトンのインバウンド、メリケンパークの
レジャーマーケット、という風に。

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このような競争の無い「ブルーオーシャン」の時代から、各ホテルがしのぎを
削り血みどろの戦いを繰り広げる「レッドオーシャン」の時代に、神戸が突入
する時期は早いのかもしれない。 

写真は上が神戸港に先日入港した「飛鳥II」
下がクラウンプリンス神戸客室よりの眺め。
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by Mikio_Motegi | 2007-12-18 22:30 | 人材・ホテル

リブランドの功罪

"You can paint a pig gold, but it's still pig"

これはシンガポールに住む私の華僑の友人が、先日東京のとある全国展開
をしているホテルに泊まった際の言葉。
「黄金を塗りたくっても、ブタは所詮ブタのまま」とでも訳せようか。

彼が泊まったそのホテルは近年ホテル名(ブランド)を変えたばかりだが、
サービス内容は昔のまま。料金は逆に安くなっている。
確かに内装はモダンになったがロビー廻りに手をつけただけ。
年寄りのスタッフは相変わらず寝ぼけたような顔をして立っていて、朝食には
ベジタリアン対応メニューがない。
彼の指摘を待つまでも無く、最近の日本のホテル業界はリブランド流行だが、
このように何の為にリブランドしたのかわからない例も見られる。

ブランドを変えるという事は、当然ロゴマーク、ユニフォーム、サインボード、
客室のステーショナリーといった目に見えるものにはじまり、エージェントや
保険所、労働局との契約書類・届出書類等も変えなければならない、膨大な
作業をこなさなくてはならない。
ではホテルは何故ブランドを変えるのか?
以下のような様々な理由が考えられる:

1.買収等の理由で経営者が変わった
2.新鮮な視点が必要になった
3.名称が事実を反映しなくなった
4.外国人客の急増等で、より親しみやすい名前をつける必要が生じた

一つ間違いなく言えることは、もまともな経営者は、どんな場合にもホテル
の収益を伸ばすことを目的にしてリブランドしている、ということ。
当たり前のことだが。リブランドには膨大なコストが生じるのであり、それを
回収すべくホテルは営業努力をつづけなくてはならない。

最近リブランドで成功した一例が、ANAインターコンチネンタル東京だ。
ADR(客室平均単価)は東京全日空ホテル時代より約4000円アップした。
それまでインターコンチといえば東京には竹芝の東京ベイしかなかったの
だが、アークヒルズという都心の一等地、しかも隣はアメリカ大使館。
アメリカのインターコンチ会員からの予約が飛躍的に増えた。

それに伴いマーケティング戦略も、それまでの国内エージェント重視から、
より料金の高い外資のコーポレート、MICE、或いは"Holidex"という
世界最大のホテル予約システムから来た予約にシフトした。

マーケティング戦略だけではない。それに応えるべく接遇マニュアル構築、
英語教育、より効率の良いオペレーションの構築、PR戦略、
メニューの変更・充実等という努力を重ねることで、よりグローバル・
スタンダートに近いホテルエが育つ土壌になってる。

ロビーに行ってみれば気がつくだろうが、ANAインターコンチは今最も
都内で国際色豊かで華やかなホテルの一つになっている。
Zennikku(全日空)という国内ステータスの高いローカル・ブランドを捨て、
外国人に通用するグローバル・ブランドに変えた効果は明らかだ。

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さてかくいう私も全日空のリブランドの影響をまともに受けた利用客である。
全日空がインターコンチになって宿泊料金が跳ね上がり、私の懐事情では
なかなか泊まれなくなってしまった。
かくして甘美な体験を重ねた宿泊客のみ利用可能な夏場の屋外プールに
行けなくなり、私の東京でのアクティビティーが極端に制限されてしまった。
来夏はどこかリブランドしていないホテルのプールを探さなくちゃ。

写真上はアークヒルズ・カラヤン広場より(同ホテルホームページ)
下は20階の客室より国会議事堂方面の眺め。

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by Mikio_Motegi | 2007-12-09 22:14 | 人材・ホテル