ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

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先日、長女の十三参りに行って来た。場所は全国の十三参りのメッカ、
嵐山の法輪寺。

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十三参りは数え年13才になった子供が英知を授かる為、知恵の神様で
ある虚空蔵菩薩(こくぞうぼさつ)に参詣する行事。
生まれも育ちも関東の私には全く馴染みが無い行事だが、関西では
こちらの方が七五三よりよっぽど重要とのこと。

嵐山の渡月橋を渡り、桂川沿いに100メートル程下ったところに
法輪寺の山門がある。先ほどまでの嵐山周辺の喧騒が嘘の様な
荘厳な雰囲気だ。

長い石段を上ると直ぐに本殿。
参拝する子供は社務所で自分の好みの漢字一文字を用紙に
毛筆で書き、祈祷時に祭壇に捧げる。
僧侶による祈祷が終わると短い法話があり、お守り、お供物の菓子、
お箸をお土産として頂く。
祈祷を受けた子供はこの後最初に頂く食事にこの箸を使用する。
お守りは勉強机と通学用の鞄に一つずつ。

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京都の小学6年生の子供達を注意して観察すると、殆どがこの
お守りを鞄に着用していることに気付くだろう。
また法輪寺も、その名称より「十三参りのお寺」の方がよっぽど京都
では馴染み深い。
この時期に着物を着た子供が保護者と一緒にタクシーに乗り込めば、
行き先を告げずともタクシーは法輪寺に連れて行くともいう。
十三参りは、かように京都市民に密接に関った行事なのである。

ここで話題に必ず上るのが参拝の帰路。
渡月橋を渡りきるまでは祈祷を受けた子供は振り返ってはいけない
ことになっている。
ここで後ろを振り返ると、折角授かった知恵が落ちてしまうという言い伝え
があるからだ。
ところがそれを知っている付き添いの家族達がわざと後ろから囃し立て
子供の気を惹き振り返らせようとする。
子供はそれに必死に耐え無事橋を渡り終えられるかどうかが、事情を
知る地元見物客の楽しみでもあるのだ。

実は長い渡月橋を渡りきる必要は無く、実際は法輪寺の山門付近の
橋げた3-4メートル程の太鼓橋を振り向かずに渡れば良いだけ、というのが
真相で、私達はそれを寺人から直接伺って確かめた。

今ひとつこの言い伝えがシリアスなものかどうかわからない関東育ちの
私は、家の中でいらぬ波風を立てないため、ことさらに娘を振り返らせようと
囃し立てたりもせず、先頭を歩く。
元々クールな性格の京都育ちの家内は、同じく平常通りに静々と
長女の後から太鼓橋を渡る。

ところがそこに一陣の風。この日は殊更に寒く、且つ日も傾いていた。
寒そうに身をこごめる長女を気遣い、家内が背後から
「ショール、掛ける?」
と声をかけると、長女は反射的に
「ううん、後でええわ」と答え、思わず家内に向かい振り向いてしまった。

「あー!」と気がついた時にはもう遅い。
かくして我が家の長女はたった3メートルの太鼓橋でさえ無事に渡る事も
できず、折角授かった英知も家族の大爆笑と共に嵐山の露と消えたので
あった。

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写真は上から法輪寺の石段を上がる家内と長女。
中は渡月橋から法輪寺の宝塔を望む。
この素晴らしいショットは
http://blogs.yahoo.co.jp/masatake_ko/30865458.html
より拝借。
下は法輪寺から見渡す京都市中。遠くに比叡山が見える。
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by Mikio_Motegi | 2009-03-31 22:56 | 京都・紀行
28日(土)、サッカーワールドカップアジア地区予選、日本対バーレーン
を観戦したサッカーファンなら、今回のブログの内容に同意してくれる
人も多い筈だ。
昨日の勝利の結果、日本は2010年に開催される南アフリカワールドカップ
の本大会にはほぼ間違いなく出場できるだろう。

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が、代表チームの岡田監督が公約に掲げた「ベスト4」は、まず間違いなく
達成できない。それどころか前回のドイツ大会同様、1次リーグで惨敗を
喫するだろうという予想を深めた一戦だった。

問題はフォワードに尽きる。昨日の玉田と田中の先発は岡田監督が
お気に入りの布陣のようだが、全く機能していなかった。
確かに二人のクイックネスは素晴らしいが、あれは中盤やサイドバックの
資質であって、フォワードのそれでは無い。
フォワードに求められる資質とは、ペナルティエリア内のせいぜい
4-5メートルでの早さ、及び対人的な強さなのだ。

この二人に限らず、日本代表のフォワード陣の大問題はフィジカルの強さ
が無い点だ。
今回も玉田がシュート体制に入るや否や相手バックスに弾き飛ばされる
場面があった。なんと情けない。
フォワードたるもの、ボールが来たらマークしてくる相手バックに先ず
体当たりしてよろめかせ、スペースを強引に作ってシュートを打つくらいの
泥臭さ、フィジカルの強さが必要なのである。
スピードのある玉田のようなプレーヤーとコンビを組ませるのに、同じく
スピードはあるがフィジカルがもっと弱い田中を出してどーするのか?
ここには身体を張ってボールをキープできるポストプレーヤーを採用
すべきだ。

だが悲惨なことに、ポストプレーに長けたフォワードが日本人にはいない。
大分の森島康仁、京都の豊田陽平、東京の平山相太、千葉の巻誠一郎、
新潟の矢野貴章等が候補だろうが、彼らは何故か活躍できないでいる。

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ワールドカップ本番まで後り僅か1年2ヶ月しかない。
ベスト4なんて望まないが、せめて1次リーグは突破して欲しい。

幸い本戦出場がかなり確実なのだから、これからの予選は勝利に
あまり拘らることはない。
なりふり構わず泥臭いシュートを打てるフォワードを、上記の5人でも
良いし浦和の闘莉王でも良い、一刻も早く養成すべき時が来ている。
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by Mikio_Motegi | 2009-03-29 22:13 | サッカー、スポーツ
先日、携帯の機種変更をした。新たに購入したのは韓国・サムスンの
"Omnia"(オムニア)。昨年11月に発売されたもので、日本では
坂本龍一がイメージキャラクターとしてCMに起用されていたので
憶えている方も多いだろう。

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私がOmniaを選んだ理由は何といってもデザインの素晴らしさ。
マレーシア・ペナン島のコンドミニアムに住んでいた際、オーナーが
用意してくれたテレビと冷蔵庫がサムスン製だった。
どれも機能的には日本製と全く遜色なく、むしろ現代的なデザインは
日本のそれより素晴らしかったという印象を持っていた。
よって私には日本人の多くに見受けられるサムスン製品に対する
マイナスのイメージが全く無い。

サムスンは1993年、当時の李健熙(イ・ゴンヒ)会長が
「家族以外は全て変えよう」という有名なフランクフルト宣言を発し、
経営の大改革に乗り出した。
サムスンはそれまでは「安かろう、悪かろう」というレベルの商品しかなく、
国際的な評価も極めて低かった。

そのサムスンに「いかに素晴らしい機能や技術があっても、デザイン
が悪ければ商品は売れない。サムスンのイメージを変えるにはデザイン力
の強化が必要」と痛烈に批判したのが、商業デザイナーの福田民郎氏
(現京都工芸繊維大学院教授)だ。
福田氏はサムスンがおかれた当時の状況を痛烈に批判、商品企画と
デザインがかみ合わない開発など、商品に対する問題点を羅列し報告書
にまとめた。
それを読んだ李会長は怒り心頭に発し、「すべてを変えろ」発言に至った
という。

今やサムスンは世界を代表する電機メーカーになったが、福田氏は
「サムスンを変えた男」として、李会長から三顧の礼で同社技術顧問に
迎えられたという。

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さてOmniaはタッチ・パネル方式で、操作はタッチペン又は指の爪で行う。
メール通信の際は「面倒くさい」と感じる方も多いだろうが、私はメール機能
はあまり利用しないので全く問題ない。
カメラの画像は500万画素を越え、市販のデジカメ並み。今後は私の
ブログ作成に大いに活躍してもらおう。

気になる料金だが、本体価格は7万円。ソフトバンクの他の最新機種と
同等で割高な印象だ。だが私の場合前の機種を買って3年近く経ち、
かつ通話のヘビーユーザーなのでポイントがアホみたいに溜まっており、
それで全てカバーできた。つまり実質無料。
ソフトバンクの店員さんには私の桁違いのポイントの多さに「こんな
ポイント数初めて見ました。ヤバイです」と言われてしまったが。

もちろん最新の機器なので、私などには不要・理解不能な機能も
満載している。

腹が立つのは、メカ好きの次女がいつのまにか私よりOmniaの機能
を理解してしまい、私が操作に戸惑っていると「あ、それはこうするんやで」
と言って色々指示をしたがる点。
「フランクフルト宣言」に「家族以外は」というセンテンスが無かったら
変えてしまいたくなる誘惑に駆られる、といったら言い過ぎだろうか。

(「フランクフルト宣言」に関する記述は「理系白書3 迫るアジア
どうする日本に研修者」毎日新聞科学環境部編 講談社文庫
114ページを参考にした
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by Mikio_Motegi | 2009-03-22 19:18 | 人材・ホテル
昨日、ラマダホテル大阪主催の"St.Patric's Day at Ramada Osaka"
というイベントに行って来た。
同伴頂いたのは新進のガラス工芸作家「ASAKO」さん。

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St.(セント)パトリックとは、5世紀にアイルランドにキリスト教を布教した
実在の聖者のこと。彼の命日に当たるこの日は毎年アイルランド国内、
海外のアイルランド・コミュニティーで盛大なパーティーを催すらしい。

ラマダホテル大阪でのこのイベントも、当初予想を倍以上上回る400名が
参加。アイリシュダンスやケルト音楽の他、飲み放題のギネスビールや
沢山のアイルランド料理で盛り上がった。

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アイルランドにはケルト族による口承文学の伝統があり、その影響からか
オスカー・ワイルド(ドリアン・グレイの肖像)、ジェイムズ・ジョイス、
スウィフト、バーナード・ショウ(ピグマリオン《マイ・フェア・レディの原作》)、
サミュエル・ベケット(ゴトーを待ちながら)、イェーツ等の素晴らしい
小説家、詩人、劇作家を輩出している。

だがつい数年前まで宗教対立による過激派のテロが頻発した危険な国との
イメージがあった。
1972年に結成間もないポール・マッカートニー&ウィングスが
"Give Ireland back to the Irish (アイルランドに平和を)"という
プロテスト・ソングを発売し、イギリス各地の大学でゲリラ・ライブを
敢行したことを思い出す。
シャウトのきいたノリノリのロックンロールだったが当然発売・演奏禁止に。

・・・訂正! ここまで書いて、実はテロが頻発したのはアイルランド
ではなく北部の北アイルランドだということに気がついた。
でもポールのエピソードは折角ここまで書いたので、そのままにしておきます。

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写真は上から「ASAKO」さん。
写真中 イベント風景
写真下 ポール・マッカートニー「アイルランドに平和を」のシングル・レコード。
確かドーナツ盤の色が真っ赤だった。

そして ↓ が「ASAKO」さんの作品「蒼流渦紋皿」。

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彼女の作品は"Sand Blast(サンド・ブラスト)"といって、色が何層もある
「外被せ(そとぎせ)」ガラスに砂を吹き付けて彫刻していく技法。
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by Mikio_Motegi | 2009-03-20 11:18 | 人材・ホテル

テレビドラマあれこれ

就寝前のリラックスタイムを除き、報道や趣味の番組以外テレビというものを
殆ど見ない私だが、先週は夜9時台に2本も見てしまった。
2本とも出演したタレント本人、或いはご家族から「テレビに出ます」という
連絡を個人的に頂いたという理由からである。

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一人目は「金スマ」の「波乱万丈コーナー」で取り上げられた日露ハーフの
ロック・シンガー、川村カオリの少女時代を演じた若手タレント。
そのタレントは、仮にKちゃんとしておくが、父親は私と同じホテル・チェーン
に勤務していたこともあり、且つ東南アジア某国ではお隣のコンドミニアムに
住んでおり、家族ぐるみでお付き合い頂いた仲だ。

「波乱万丈コーナー」は、川村カオリがハーフだからと日本の学校で
同級生に苛められるストーリーだった。Kちゃんの迫真の演技もあり、
見ているこちらは何だか他人事とはとても思えず感情移入してしまい、
正直疲れた。
もっとも演じたKちゃんの母親によると、撮影現場では苛める側も
苛められる側も皆打ち解けてワイワイと楽しんでいたとのことだが。

川村カオリは乳がんと闘いながらロックを歌い続けており、文字通り
波乱万丈な生き様はこれからも話題になることが多いだろう。

二人目は「神の雫(しずく)」というソムリエの成長物語の最終回に、
ワイン通のフランス貿易会社の社長役を演じたマックス・フォン・
シューラー・コバヤシさん。
私とはACCJ(在日米国商工会議所)で知り合って以来、メールで
やり取りしている仲だ。
撮影で使われたワインは全て本物で、飲みすぎて収録中ちょっと
頭がくらくらした、とは本人の弁。

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「神の雫」で取り上げられたワインは、毎回放映直後からネットショップ
にオーダーが殺到し数時間で売切れてしまうことも多いとの事。
恐るべしテレビのチカラ。

願わくば先の川村カオリのように乳がんに罹らない為、テレビのチカラで
日本人女性に定期検診の習慣が浸透しますように。

写真上 川村カオリ  img04.shop-pro.jp.jpg より。
   下 マックスさん。マックスさんのブログも面白いので覗いてください:
http://tokyomaxtalks.blogspot.com/
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by Mikio_Motegi | 2009-03-17 23:29 | ブレイク
今年で16回目になる「京都シティハーフマラソン」に参加した。
最初で最後の・・・とタイトルにしたのは、私にとって初参加で、且つ大会
事体が今年で終了になる為。
主催する京都市によると、2年間の準備を経て2012年にフルマラソン
大会にリブランドして再スタートする計画だという。

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コースは平安神宮をスタートし、御池通りから京都御所の西側を駆け
上がる。御所の角から今出川通りを東に進み、賀茂川沿いの加茂街道を
北上、北山通りを東へ。東山通りを北上し宝ヶ池の京都国際会議場で
折り返し、東山通りをだらだらと南下、丸太町を西に向かい平安神宮
に戻る・・・ふう。

京都に詳しくない人でも名前くらいは聞いたことがあるだろう通りや名勝・
旧跡を駆け抜けるコース。昨今の京都ブームとの相乗効果もあり、日本の
全都道府県からランナーが集まる、参加者8500人のハーフマラソンとして
は空前の人気を誇る大会だ。

このマラソンの事業費は約1億5千万円で、京都市は毎年1億円を補填して
いる。しかし京都市の財政は苦しく、今年から2011年までの3年間で
962億円の歳入ロスが見込まれるという状況。フルマラソンにリブランドする
というが、実情は財政逼迫の影響をもろに被った形だ。

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今月22日に開催される東京マラソンは、イベントを含む事業費が17億円
かかるが、都の補助金はたった1億円。11億円を企業協賛で賄っている。
しかも経済効果は222億円に上るという巨大イベントだという。

2月28日付けの京都新聞によると、東京マラソンの大成功の影響で
京都以外にも大阪・神戸にもフルマラソン開催の動きがあるとのこと。
フルマラソンはハーフより経済効果が高いので、それを当て込んでどこの
自治体も必死なのだ。
確かに東京マラソンは3万人の出走定員に対し26万人が応募したという
から、潜在的なマラソン・マーケットは巨大なものがある。

ただ当然のことながら、フルマラソンを開催することは長時間の交通規制
や商業施設への客足の影響等、良い面だけではないのも事実。
事業規模も大きくなりスポンサー探しが必須だが、果たして今の経済状態
でどこまで協賛が集まるか・・・。

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京都は12月の高校駅伝、1月の女子都道府県対抗駅伝、2月の車椅子
マラソン、そして今月のシティハーフと、冬のマラソンシーズンに毎月大会が
ある。京都市民がいかにマラソン競技に愛着があり、定着しているかの証左
でもあると言えよう。
私としては「ハーフ」が「フル」に変わることは大賛成。景気が悪い今だから
こそ、消費を喚起するマラソンブームの流れに乗ったイベント開催が
必要だから。

また何といっても家から会場まで30分足らずで行ける所が良い。
もっともこういうランナーは京都で1円も消費するわけではないので、主催者
側としてはあまり増えてもらっても困るのだろうが。

我が家の前の北大路通りは市内で行われるマラソン競技のうち、3つまでが
通過するコース上にある。
もしフルマラソンにでもなったら、みっともない姿を家族に見せられないので、
もっと練習をしなくてはというモチベーションになるかな?

写真は上が大会ホームページより、スタート直後の平安神宮大鳥居にて。
中は会場の「みやこめっせ」風景。下は市内に掲示された案内板。
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by Mikio_Motegi | 2009-03-10 22:46 | サッカー、スポーツ

楽園のこちら側

東南アジアに住む知人が「デング熱(Dengue Fever)」に罹患した。
デング熱とは、主に熱帯シマカ(蚊の一種)を媒介とする伝染病で、熱帯地区
を中心に常に流行している。

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症状として高熱が3-5日間続き、頭痛・筋肉痛・関節痛等の痛みが全身に
現れるのが特徴だ。
ワクチンは無い。ひたすら安静にし、熱が引くのを待つのみである。
ただし後遺症が残るような重病ではないし、致死率も1%以下である。
もし海外で感染・罹患した場合、なかなか帰国できないのでやっかいだ。
伝染病に認定されており、つまり病原菌が蚊→ヒト→蚊→ヒトと感染するので、
完治しないと帰国が認められないのだ。

実は私もインドネシア・ジャカルタ滞在中の1997年に高熱が下がらない症状
が続き、やはり当時大流行していたデング熱の疑いがもたれたことがある。

検査を受けたのはジャカルタでも超一流といわれるポンドック・インダー病院
だが、その検査方法が面白かった、というか原始的だった。
静脈注射をする際のようにゴムチューブを上腕に巻いて血流を止め、次に
固い消しゴムのようなもので上膊部の皮膚を強くこする。
青黒い斑点が現れたら陽性。幸い私は皮膚が赤くなるだけだったので陰性
と判明したが。

以上のような理由で、「たかが蚊」と馬鹿に出来ないのが熱帯に住む事の
リスクのひとつだ。
蚊を見つけると大の大人が血眼になって捕まえようとするのは日常良くある
こと。
ジャカルタのシャングリ・ラをご贔屓にして下さった当時の渡辺泰造
駐インドネシア大使が、「なだ万」の個室で会食中に紛れ込んできた蚊を
数匹見つけるや、日本から来た客人をそっちのけでパチン、パチンと手を
叩いてこの小さな虫を捕まえようとしている様を思い出す。

「なだ万」のVIP個室でのこの騒ぎに駆けつけた私も参戦し、悪戦苦闘して
ようやく仕留めたのだが、その様を眺めていた事情を知らない日本人客が
呆気にとられていた。が、かように蚊を退治してあげることがこの国に
外国人を迎える際の最高のホスピタリティである事は、文字通り渡辺大使
自らが示してくれたのである。

ちなみに蚊は自力で空中高く飛べないので、コンドミニアムの上層階に
住むのがこのリスクを避ける方法の一つだ。幼い子を抱えた我が家が
その後のシンガポールやペナンで常に15階以上の部屋に住んでいた
理由はそこにある。

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蚊だけでなく、あの地域では海岸に生息する「砂バエ(Sand Fly)」も
厄介な存在だ。
砂バエは日本のブヨをもっと強力にした奴で、これに噛まれるとその部位が
情けないほど腫上がってしまう。

私もインドネシア・ビンタン島のゴルフ場でにこれに右のふくらはぎを
噛まれ、翌日に膝から下がみるみる丸太の様に膨れ上がってしまった
経験がある。
これも慌てて日系の病院に駆け込んだのだが、医師によると完全に腫れて
膿んで、その後切開するしか治療法が無いという。
革靴が履けないので仕方なくサンダル履きで数日を過ごし、腫れきった
ところで病院で切開してもらったのだが、どす黒くなったおびただしい血が
切開部から湧き出てきて驚いたものだ。

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他に熱帯では誰でも罹る可能性の高いのが「アメーバ赤痢」。
地元の食材や水等の経口感染で、ひどい下痢の症状が1週間は続く。
私もジャカルタ着任直後にこれにやられ、地元の仲間達からは
"Welcome to Jakarta, Mikio"と歓迎?されたものだ。

私達家族は被害に遭わなかったが、A型肝炎も食べ物を媒介とする経口感染
なので要注意。

今回のタイトルの「楽園のこちら側」とはアメリカの作家スコット・フィジェラルド
のデビュー作をも借用したもの。もちろん作品と熱帯性の病気とは関係ない。

このブログで私は東南アジアでの生活をまるで天国であるかのように描写する
事がしばしばあるのだが、かようなリスクと背中合わせであることをどうぞ
くれぐれもお忘れ無きように。

写真は上が熱帯シマ蚊。
中は赤色がデング熱の罹患危険区域。
下が砂バエ。
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by Mikio_Motegi | 2009-03-01 17:43 | 東南アジア