ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

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5月28、29日(木、金)にパシフィコ横浜にて開催された「トラベルマート」
に行って来た。
年に2度行われるインバウンド業界の商談会で、国内のホテル、旅館、
交通機関、観光施設、コンベンション・ビューロー等400軒以上が参加、
海外からは250近いバイヤーがやってきた。

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私が顔を出した28日はあいにくの雨。それに加え新型インフルエンザの
影響で海外からのバイヤーの直前キャンセルも多いとの事で、活気が
無いのではと心配していた。
だが実際はそんなことは無く、逆境の今だからこそビジネスチャンスと、
バイヤーに積極的に売り込む施設が多いのには感心した。
私自身も多くの新しい出会いがあり、かつ多くの友人達と旧交を
温めることができ、大変有意義だった。

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私が始めてこの種の商談会に参加したのは、1989年に高輪プリンスホテル
の飛天の間で開催されたJATA。
当時私はインターコンチネンタルホテルを買収したばかりのセゾン・グループ
の社員で、2年後の91年にオープン予定の横浜の開業準備室勤務
だった。

セゾンの傘下に入ったばかりとの事で、世界中のインターコンチが日本に
目を向けていて、「日本はどんな国?」とばかり大デリゲーションが
やって来た。
おりしもバブル絶頂期で、日本人の海外渡航客数が飛躍的に伸びている
時期でもあった。

インターコンチの派手なブースの中に身をおき、横浜を世界のマーケットに
売り込む最初の機会として、気分が高揚していたのを思い出す。
海外のインターコンチの同僚や他ホテルのホテリエと知り合い、我彼の
違いを知り、かつ共通部分の多いことも知った。
未だに付き合いのある友人達にも出会い、インターナショナルな気分に
浸ったのが昨日の事のようだ。

あれから20年も経つが、今も海外や外資系ホテルとビジネスの付き合いが
切れないのは、あのJATAでの経験が未だに尾を引いているからかもしれない。
また自分自身が将来海外で働こう、勝負してみようと思い立つきっかけに
なったイベントだったとも言えるだろう。

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ところで今の私の立場から見て残念なのは、エージェントの同業者の顔が全く
見られなかったこと。
シンガポールやオーストラリアでのこの手の商談会では、それこそ
ヘッドハンター達がうようよ会場を歩き回っている。
この業務のホテル業界への認知度を高める為にも、同業者にはもっと
アグレッシブになってもらいたいと願うのは、時期尚早・或いは私の
思い上がりだろうか。
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by Mikio_Motegi | 2009-05-30 15:14 | 人材・ホテル

適切なリスク対策とは?

何か行動を起こそうとすれば、リスクはつき物。そして適切なリスク対策
を講ずることでリスクは小さく出来る。これは誰でも知っている。
ただしリスクをゼロに近づけようとするあまり、社会に無用な混乱や
風評被害を起こす結果になると、これは愚の骨頂だ。

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新型インフルエンザが流行している先週、大阪と神戸に出かけた。
いつもは一日中通行人が絶えないヒルトン大阪からリッツ・カールトン
大阪に抜ける梅田の地下街が、閑散としている。
前後20メートル以内に私しかいない状態。
学校がクローズされ、イベントが中止になり、企業が緊急性のない訪問や
来客を自粛しているせいだ。

電車内の乗客のマスク装着率は70%。これは(ヒマな)私が何度も実測した
数値なので間違いない。

神戸では主なホテルや旅館での宿泊キャンセルが57,000人、宴会
キャンセルが470件約27,000人分に上る。
もちろん三ノ宮駅周辺も、通常の60-70%程度の人通り。
こんな看板を見かけた ↓↓

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5月16日からマイアミで開催された"PowWow 2009"
(全米インバウンド商談会)では、日本の対応に疑問の声も上がっている。
開催直前になって日本からの参加者が大量キャンセルし、商談が成立
しなくなる事態が発生した。

またアメリカへの旅行客のツアー・キャンセルに伴うキャンセル料処理の
調整が難しくなっているのだ。
今回の新型インフレでは、国内旅行ではキャンセル料は取らないし、
取れないというコンセンサスが形成されつつある。
しかし海外旅行の場合、ツアーがキャンセルされれば、当然キャンセル料
が発生する。今回の新型インフルで大騒ぎしているのは世界中で日本だけ
だからだ。

逆のケースで、5月28・29日に横浜で開催される予定のインバウンド商談会
「トラベルマート」も、既に海外からのバイヤーが日本に入り各地を視察して
いる。
もし彼らがマスク装着率70%の関西を訪れたら、どんな印象を持つか
容易に想像できないだろうか?

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マスク着用にしろ「自粛」すれば安心、インフル感染のリスクを減らせるという
心理は理解できる。
だが同時に自粛することでのマイナス・リスクについて、企業や団体は
どう考えているのだろう?
自粛が、「(新型インフルは)怖い」という認知を不必要に増大させている。

経済的、政治的、心理的な不必要な認知が増大すると何が起きるか?
BSE(牛海綿状脳症)では数多くのレストラン・焼肉店が、鳥インフルエンザ
では養鶏場が、SARSでは観光業が風評被害に晒され営業上の大打撃を蒙り、
数多くの関係者の自殺が出た事実がある。それもつい数年前のことだ。
リスク対策の失敗から起きた苦い経験から、我々はもっと学ぶべきでは
ないだろうか?

ちなみに我が家の家族はマスク着用はしない。
家族で色々議論はしたが、結局私の意見に皆同調してくれたからだ。
ところがそんな事情を知らず、登下校にマスクを着用していない我が家の
娘達を憐れんでか、近所のおばちゃんがマスクを差し入れてくれた。
今夜は「差し入れマスク」の扱いにつき、またまた家族会議を開かなくては
ならない。

「新型インフレ対策」「風評対策」に加え、「ご近所対策」もリスク管理に
含まれるとは想像もしていなかった次第である。

写真は上がFlikerのサイトより。
     中がJR三ノ宮駅前の立て看板。献血量の減少という事態が
     起こっているようだ。
     下は同じく三ノ宮周辺のアーケード街。
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by Mikio_Motegi | 2009-05-24 12:28 | 人材・ホテル
先般、とあるホテルの顧客招待会に出席してきた。
その席でビュッフェ形式の料理とワインを堪能させてもらった
「一宿一飯の恩義」があるので、ここではホテル名は公表しない。
が、総支配人がスピーチで述べた「当ホテルは高品位・多機能、そして
低価格を約束します」という言葉に、大いに異議を呈したい。

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「最近のホテルはゴールデンウィーク、お盆、クリスマス、お正月等の
繁忙期とそうでない時期の料金格差が大きすぎます。
普段1万円で泊まれるホテルが繁忙期だからといって料金が跳ね上がり、
1万5千円になれば、お客様は不満に思うに違いありません。
そこで当ホテルは高品位・多機能、そして低価格を標榜し、1年を通して
変わらない宿泊料金を提供します」

・・・このスピーチを聞いて私が危うくワインを吹きだしそうになったのは、
このブログの読者である皆さんもおわかりであろう。
料金設定に季節波動がない?高品位・多機能という素晴らしいホテルなのに
低価格?高い料金を払ったお客は不満足?
「突っ込みどころ」満載のスピーチである。

私はてっきりパーティ会場でのリップサービスかと疑い、その後歓談中に
総支配人氏に直接スピーチの真意を伺った。
が、帰ってきた答えは一緒。呆然となる。
尚彼は東証一部上場の親会社からの天下り組だということもわかった。

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今年3月に電通総研が行った「消費気分調査レポート」で面白い分析が
されている。
インターネットによる調査で学生を除く20-60才の1000人が対象。

それによると、金融危機後95%が何らかの節約を意識するようになった。
が、「日頃の節約を気にせず、ちょっとした贅沢なお金の使い方をした」という
答えが70%に上った。
そのお金の使いみちは「旅行」「食事」が殆どであったという。
そして「消費者は多角的な情報を収集し、冷静を保ちつつ、積極的な
気分転換の為の消費行動を行っている」と分析している。
(www.dentsu.co.jp 或いは「電通総研・消費気分調査」で検索)

消費者は、節約をしている最中でも財布の紐を緩め、気分転換をする
機会を待っているのだ。それをホテル業でなくて、誰が提供すると
いうのだろう?
件の総支配人氏は世の中の消費気分を全く無視していると言える。
寧ろ、何でも値段が安ければお客は満足するという、大変な思い違いを
しているのだ。

GWやクリスマス。折角の消費気分が盛り上がるシーズンにも拘らず、
閑散期と同じ料金を貫くという政策。
いったいこのホテルはいつ儲けようとするのだろう?
そして利潤を追求しないホテルで働く従業員、納入業者等のステーク・
ホルダーの満足度をどう慮(おもんばか)るつもりなのだろう。

他業種の事は言及しない。だがホテル、宴会場、航空機、貸し倉庫と
いった限られた箱を売っていく商売に、「レベニュー(イールド)・マネジメント」
(RM)の思想は不可欠だ。最近ではゴルフ場にもこの考えは浸透しつつある。

RMとはひと言で表すと需要と供給をシステマティックに管理する事。
しかし国内系ホテルで本格的にRMに取り組んでいるホテルは、
残念ながら数えるほど。

取り組んでいないホテルは親会社の庇護の下、シロウト的な運営しか
していないケースが殆どだ。
言い換えれば親会社がホテル経営に性根を入れていない。
性根を入れたホテル経営とは、ホテル運営本業でのGOPが損益分岐点に
ヒットし上回るかどうかに尽きる。

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・・・今回のブログを書くにあたって、件(くだん)のホテルに先日家族で
のこのこ出かけ、食事をしてきた。「顧客招待会でさんざタダ飯・タダ酒を
食らっておいて、ブログで悪口を書くのか」と言われたくないからである。
食事はクラシカルな味付けでそこそこ美味しかったし、得にデザートは
秀逸だったことを付け加えておく。

写真は上からマイクロス・フィデリオ社のHPより。
中は件のホテルのパーティ会場。
下はイメージ写真。
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by Mikio_Motegi | 2009-05-17 19:56 | 人材・ホテル

「天国と地獄」

GW中、DVDで黒澤明監督の「天国と地獄」というサスペンス映画を
鑑賞した。学生時代に飯田橋の名画座でこの作品を観て以来、
2度目である。

1963年の作品で、出演は三船敏郎、仲代達矢、山崎努 他。

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舞台設定は戦後復興期の横浜。
高台の豪邸に住む会社重役・権藤(三船敏郎)の息子が何者かに
誘拐される。犯人(山崎努)は身代金三千万円を要求してくるが、
犯人の手違いで権藤の息子ではなく、運転手の息子を誘拐して
しまう。

権藤は会社の持ち株のマジョリティを獲得する為、その三千万円が
どうしても必要だった。株が無ければ自分の地位が危ない。
靴の修理工から叩き上げ築き上げてきた地位が脅かされるのだ。
が、運転手は土下座をつき、身代金を払ってくれと懇願する。
困惑する権藤。

身代金と人質との受け渡しの場面。特急「こだま」の洗面所の窓を
明け、身代金の入ったバックを神奈川県の酒匂川鉄橋で投げ落とす。

人質は無事還り、警察の捜査がはじまる。が、権藤は社内で失墜して
しまう。
当初は権藤の去就に反感を持っていた警察だが、権藤の人間性に触れ
尊敬を抱くようになる。冷徹なエリート警部(仲代達矢)が、権藤の為にと
犯人を刻々と追い詰めていく。

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日本映画の中でも最高傑作のひとつとされるこの作品の魅力を
挙げたらきりが無い。
身代金受け渡しのシーン、山崎努の演技等が真っ先に挙げられるが、
それらに加え私の感想としては以下の通り:

1.実に丁寧に脚本が書かれている。例えば当初反感を持っていた警察が、
何故権藤に尊敬の念を抱くようになり、酷暑の中の苦しい捜査の
モチベーションに成る程になったか等、感情移入しやすい。

2.効果的なBGM。初めてスクリーンに姿を現した山崎がドブ川べり
を歩く時のシューベルトの「ます」。
そして終盤の逮捕劇の際の「オー・ソレ・ミオ」。
・・・記憶している限り、この2つのシーンでしかBGMは使われていない。

現代映画・ドラマの「これでもか」といわんばかりの盛り上げBGMの
たたみ掛ける様な波状攻撃とえらい違いだ。
それはつまり下手くそな脚本、演出、演技をごまかす為のもので
しかない。

3.横浜という舞台設定。私自身この舞台になった黄金町界隈は良く
通ったし、寿町のドヤ街から瀟洒な屋敷の建ち並ぶ山手地区を見上げ、
「天国と地獄」の舞台設定そのままだな、と思ったことがある。

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ただ1960年初頭のあの界隈があのような喧騒と麻薬・貧困の蔓延する
魔窟(まくつ)だったとは知らなかった。
尚、私が足しげく通った80年-90年にも名残は多少あったが、2005年頃
には黄金町駅周辺は整備され綺麗になり、フツーの町になってしまった。

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実は「天国と地獄」の前日に今話題の「おくりびと」も観た。
美しい映画で、外国人に受けが良いという事も理解できる。
納棺師の仕事は死者を洗い清めるだけでなく、ご家族の悲しみを和らげる
ものなのだと素直に感動。
案外身近な存在なのだと改めて気付かされただけでも、価値がある映画と
言えよう。

が、納棺師の仕事はあんなキレイなものじゃない。
葬儀社に勤める知人から直接聞いた事があるのだが、人に様々な死因がある
のと同様、死体にも様々な形状があるのだ。詳しい描写はここでは避けるが。

映画ではその点の違和感が最後まで拭えなかったのが残念。
久本譲の音楽は・・・流石にマンネリ感が否めない。曲を作り過ぎとちゃう?

また偶然にも「天国と地獄」同様、山崎努が「おくりびと」でも重要な役を
担っている。
彼はもう大ベテランだが、日本を代表する両作品で画面を引き締めている
ところは流石だ。

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by Mikio_Motegi | 2009-05-09 23:20 | ブレイク

朽木(くつき)の旅

世間並みにETCを装着したのを機に、GW中に北陸自動車道を福井方面に
ドライブで出かける計画を立てた。
が、高速道路や観光地の大渋滞のニュースにやる気を無くし、市内から
1時間ほどの朽木(くつき)で遊ぶことでお茶を濁すことになった。

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休日のETC装着車だけを対象にした2年間の期限付きの特別料金制度だが、
経済波及効果について私は大いに疑問だ。

高速道路は経済の大動脈である。設備投資や新規開発に伴う活発な物流や
人の往来が経済活性化の大きなファクターである事は言うまでもない。
その大動脈の血流を盛んにする為には、今回のような中途半端な制限を
設けず、平日・休日や車種を問わず全車両を対象に高速道路料金を
値下げすべきではないだろうか。
もともと日本の高速料金は各国に比べ異常に高いのだ。

また、車を持たないお年寄りや持ちたくても持てない人、最近増大傾向に
あるという車に興味を示さない人、平日しか休みが取れない人々にとっては
関係のないあまりに不公平な施策だ。
もっと言えば、何でわざわざETC装着車に対象を絞る必要があるのか?
ETC普及に対する行政の恣意的な姿勢が見え隠れするような気がして
ならない。
どうも「高速道路」が絡むと胡散臭いことが多い。

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さて朽木は滋賀県西部、京都から1時間ほどにある安曇川(あどがわ)沿いの
村。かつて若狭の小浜で獲れたサバを、腐らないうちに京都に運ぶ「鯖街道」
に面している。

ここでは、家内と子供達にとっては初体験の釣り(もっとも釣堀)に挑み、
イワナとアマゴ(ヤマメ)を20匹も釣り上げた。
「釣り針外し」役の私は大忙し。
その後温浴施設で露天風呂に浸り、近くの宝牧場で牛舎を見学、手作り
アイスクリームとバームクーヘンに舌鼓を打つ。

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安曇川から湖西(琵琶湖の西)地方を抜けて161号線を通り帰路へ。
この地方は近江米で有名な米どころだが、既に田植えがはじまっている。
ところが暫く走ってから161号線が大渋滞している事に気付き、朽木に戻る
林道を探すことに。
これが冬季は閉鎖される、ナビにも示されない道路なので道に迷い、
四苦八苦する。

ETCを装着して初めてのドライブなのに、高速道路にも乗らずこんな林道で
苦労しているのも様にならない。
ただ偶然、「日本の棚田百選」にも選ばれている高島市の棚田を見つける。
田植えを終えたばかりの日本の原風景に親しみ、何だか得をした気分に。

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それにしても京都市内に流入する遠方の他府県ナンバーの多いことには
驚かされる。
さっそく子供達と地域を諳んじて、即席の地理の勉強。
北九州、島根、岐阜、横浜、福島等は名称と場所が直ぐに一致するが、
なにわ、三河、湘南、練馬、大宮、野田等になってくると、家内をはじめ地理に
疎い女性陣にはさっぱりわからない。
家族で唯一地理に明るい私は、おかげで父親としての沽券を取り戻すことに
なる。

もっとも市内からは一本道の朽木に向かうのにも私はナビを設定せねば
到着がおぼつかず、家族に呆れられているのだが。

写真は上から日経新聞のニュースより拝借。
2枚目は釣り針外しに懸命な私。
3枚目は朽木の「宝牧場」の牛舎にて、搾乳中の牛さん。
下は高島の棚田風景。滋賀県のHPより拝借。
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by Mikio_Motegi | 2009-05-05 22:13 | 京都・紀行