ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

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商店街の価値

京都で生まれ育った家内は、23才で私と結婚し横浜に移り住むまで
「スーパーマーケット」というところで買い物をしたことが無かった。
別に箱入り娘で育ったわけではない。
母親の手伝いで夕食の支度をする際、スーパーマーケットに行くより
徒歩5分の所にある近所の商店街で買い物をする方が、近くて便利
だったのである。

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家内の実家のある西陣界隈だけでなく、土地が狭い為か京都の市内には
大型の量販店というものが殆ど無い。
だから一般の人々が夕食のおかずを作るときの買い物も、魚は魚屋、
野菜は八百屋、肉は肉屋、鶏肉はかしわ屋、雑貨は雑貨屋に行く。
お米も酒も、電話で注文すれば米屋と酒屋が家まで届けてくれる。

京都の人々は、何も大型量販店の存在に反対なわけではない。
その方が便利だからという理由で、近所に買い物に行くのだ。
そして私はそういうライフスタイルは貴重だと思う。

このような商店街の対極にあるのが、イオンモールやダイヤモンドシティ
などのショッピング・モールだろう。
郊外の、お互いが車でたった10分の距離に巨大な建物が並立している。

そこの店舗構成は驚くほど似通っている。
キーテナントにスーパーマーケット。これは絶対条件のようだ。
サブ・テナントにユニクロ、ABCマート、スターバックス、京風ラーメン、
築地銀だこ。
日本中何処に行っても同じ服が買え、同じものが食べられる。
もちろん「地域性」「個性」は殆ど感じられない。

正直言って、私はこの種のショッピング・モールに何の魅力も感じない。

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だが、このトレンドも昨年の原油暴騰をきっかけに変わりつつある。
これらのショッピング・モールへのアクセスは車利用が基本理念。
だがガソリン価格上昇と金融危機の影響で、「脱・車社会」「地産地消」
「エコライフ」という考え方が顕在化してきた。

日本人の消費傾向も今後は「全体的に節約」「電車・バスを利用」
「自転車を利用」「ハイブリッド・カー購入」が上位にランクされる、
という統計もある。

商店街は、今が復興のチャンスなのではないだろうか。
人々が公共交通機関や自転車を利用し始めた今、郊外のショッピング・
モールに流れた地元の購買層を呼び戻すチャンス到来、と考えるべきだ。

もちろん商店街に求められる営業努力もある。

営業時間の見直し、駐輪場、無料休憩所、公共トイレの整備は必須だ。
雰囲気にそぐわない遊戯施設・風俗店の出店規制等・・・これは色々な意見
があるだろう。パチンコ店や風俗営業があるからこそ、「ごった煮」の雰囲気
こそが地方の商店街の魅力、という見方もできるのだから。

「清潔感」だけでない「生活感」こそが商店街の魅力なのだ。

商店主達の一体感も、より一層高めるべきだ。独自イベントの企画、
地元イベントへの協賛、他地区商店街との連携も必要だろう。
もちろんそれらに与せず、独りわが道を行く商店があっても、それはそれで
個性があっていい。
前回のブログに書いたような「頑固おやじ」の存在も、また商店街の
個性・魅力なのだから。
むしろ「統一性の無さ」「自分勝手」なところこそが、大資本が開発・経営
しているショッピング・モールではあり得ない商店街の懐の深さといえる。
政府系中小企業支援機構の助成金も、もっと増やしていい。

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いずれにせよ次世代の商店主には、これ以上「シャッター商店街」を
増やさない、日本の小売店業界の将来の屋台骨を支えるくらいの気概を
持って欲しい。

写真は上から北区旧大宮商店街。
http://hiroharaph.exblog.jpより

中は京都の「ダイアモンドシティ・ハナ」

下は旧大宮商店街振興会主催の夏祭り風景。
http://blog.mahirodental.com より

文中資料は「月刊プレジデント 2008年10月号」より
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by Mikio_Motegi | 2009-09-27 22:54 | 京都・紀行
銀座の並木通りの路地に入った突き当りに「三州屋銀座店」という大衆割烹
があり、20年以上前から時々利用している。
先日訪れた際も平日なのに相変わらずの大盛況。
さすが最高のロケーション、味、値段。B級グルメの間で超有名店なだけある。

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満席の店内で、私達の背後に座っていた男一人、女二人のお洒落な
モデル風の客が、笑い声がうるさいと店員のおばちゃんにしっかりと注意
されていた。
「あんた達、うるさいよ。静かにして。あんた達の声だけが響いているよ!」
たちまち首をすくめ、おとなしくなる三人。
それを聞いていた私の連れが「いつもこんなに厳しいお店なんですか?」
と驚いていた。

確かにここはオーダーの取り方もぶっきらぼうだし、忙しい時のおばちゃん達
には愛想もくそもない。
だがちんけなホスピタリティより、この店ではロケーションと味、値段が重要。
むしろ行儀の悪い客を容赦なく叱り、酔いつぶれて寝込んだ客を追い立てる
接客態度は、最近の「顧客至上主義」のトレンドと正反対の位置にあり、清々
しく感じる。

自分が年をとったせいだろうか、最近は客を客とも思わない「頑固おやじの店」
に遭遇することが滅多に無い。
昔は鮨屋でも小料理屋でもバーでも「ここはおまえみたいな若造の来るところ
じゃない」と無言の圧力をかけてくる店が多々あった。
しかしめげずに2回、3回と通い、ようやく相手も認めてくれるような、
そして自分も「やったぜ!」と満足するような関係を構築できる店が。

今は代替わりしたが、下北沢の「小笹寿司」は頑固おやじの仕切りで当時は
本当にうるさくて怖かった。
友人と初めて訪れた際、「なんにしやす?」とのおやじの声に、よせばいいのに
友人が「ウニ」を注文すると、
「最初は白身か赤身から注文するもんでえ」と案の定怒られた。
「だったら『なんにしやす?』なんて聞かなきゃいいじゃねえか・・・」と
ぶつぶつ言いながらマグロをつまんでいると、おやじは隣席の二人連れの
女性客に「鮨を食いながら髪の毛をいじるな」、「卵は最後に注文するもんだ」、
「出された鮨は直ぐに食え」と、それこそ箸の上げ下ろしまで指導している。

・・・しかし、味はピカ一だった。

その女性の二人連れは当初びびりまくりだったが、暫くしておやじが
打ち解けた表情を見せたときは本当に嬉しそうだった。
おまけに帰り際には「絶対又来ます!」ととびっきりの笑顔を見せて店を
出て行ったものだ。

「ああやって客を怒鳴るのも、一種の洗脳だな」などと友人と話したが、
とにかくそんな店と客との「摩擦係数」の高い関係が失われつつある。

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では何故「頑固おやじ」の店が少なくなり、お客に優しい「顧客至上主義」の
トレンド店ばかりが増えるのか。

人と人との直接の繋がり、触れあい、摩擦が少なくなったという時代背景も
あるだろう。
同時に私は飲食店の「勘違いカリスマ」や、頑固おやじに潜在的恐怖を抱く
純粋培養された「ひ弱なコンサルタント」のせいもあるのではないかと思う。

元々「頑固おやじ」の店は個人経営が基本。つまり店が客を選ぶのは
当たり前、或いはそれが出来る環境にある。
しかし企業が経営する飲食店は、特にIPOなどを目指してしまうと売上げや
収益、各種数値ににフォーカスするあまり、勘違いカリスマや
ひ弱コンサルタントの提唱する「顧客至上主義」を忠実に実行してしまう。

最近はちょっとトレンディな店に行くと、店を出た翌日から質問攻めだ。
頻繁にメールで連絡して来て感想を聞く。今回はなぜ当店を利用したか、次は
どんな物が食べたいか等。それらは全て「顧客至上主義」の美名の下に
行われている。

しかしマーケティング調査をすればするほど、或いはお客の声を聞けば聞く
ほど、提供される商品は個性の無い最大公約数的なものになる、という
結果になってしまうのだ。
お客なんて実にいい加減なもので、聞きかじった情報と、それに伴う平均的な
ニーズしかわからないし言えないのが実情だと思う。

売上げ、収益を伸ばすのはどこの店でも至上命題だが、その為のアプローチ
を間違え、お客の声を聞きすぎると逆効果になる典型的な例と言えよう。
・・・もっとも試行錯誤を繰り返すことも大事なことだが。

しかし今更若い世代の店主に「頑固おやじ」になれ、とは言えない。
むしろ違う形での頑固さ、「これを食べてください!」といったある程度の
押し付けがましさや自信を示してくれる店を、私は好む。

繰り返すが人間の舌なんていい加減なものだ。店が絶対の自信を持って
提案したメニューに、面と向かって反論できるお客なんて何人いるだろう?
「これがお勧めです!」などと満面の笑みで提案されたら、なんとなくその気に
なって「うん、美味い!」などと膝を打つ軽薄な輩ばかりなのだから。

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ちなみにこの日の三州屋銀座店では、アワビの刺身、刺身盛り合わせ、
穴子フライ、松茸土瓶蒸しx2、煮魚、野菜サラダ、ビール中ジョッキx2、
梅酒と注文し、値段は8500円。

いつもは二人で6000円以内で済むのに、この日はおばちゃんが私と連れの
女性を交互に見やりながら「今日はアワビがお奨め。安くて美味しいよ」
と言うので、素直にオーダーしてしまい、予算オーバー。
私は貝類、特にアワビは生で食べるものではない、と常日頃他人には
言い切っている。アワビは一旦火を通すべきなのだと・・・。でも美味かった。

・・・という事で、自称グルメ、実は雰囲気に流されやすいただの味オンチが
ここにも一人いる、という事実が改めて証明されたのである。

写真は上が三州屋。
中は小笹寿司。ただし私は代替わりした後は訪れていない。Cocolog より。
下はイメージ。
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by Mikio_Motegi | 2009-09-23 21:54 | 人材・ホテル
今年も旅行業界のお祭りである「旅行博-JATA2009」が9月18日から20日
まで東京ビッグサイトで賑やかに開催された。
私はこの手のイベントには極力顔を出し、ネットワーキングに精を出すことに
している。

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JATAのお祭り気分に浸り、友人達と旧交を温めながら、私は先日参加した
京都大学大学院主催の勉強会、「サービス・イノベーション人材教育推進
プロジェクト」での議論が思い起こした。

その時の講師は山田桂一郎氏。スイスのスキーリゾートであるツェルマット
でスキーガイド、山岳ガイドを勤めるほか、「世界のトップレベルの観光
ノウハウを日本各地に広めるカリスマ」として、国土交通省 総合政策局
観光部門の観光カリスマに選ばれた人だ。

テーマは「観光から感幸へ」。
読んで字の如し、旅行業界もゲストに対し名所や風景を眺めるだけの
「観光」を止め、その土地の風物、歴史、人々と触れ合い、その幸せを
感じてもらえるよう考え方を改めよう、というもの。

ただ言うのは簡単で、実際におびただしい数の観光客一人一人にどうやって
幸せを感じてもらうか、言い換えればCS-Customer Satisfaction-
「顧客満足度」を上げるか、どこの観光地も四苦八苦しているのが実情だ。
またそんな問題意識自体持ち合わせず、現状を唯々諾々と肯定している
観光業者も多い。

山田氏はツェルマットがいかにCSを上げる為の努力を村ぐるみで取り組んで
いるか、様々な事例を紹介してくれた。

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かいつまんで紹介すると、ツェルマットは南北3キロ、東西500-700メートル
の狭い山あいに周辺人口を含めて5700人が住んでいる。
観光以外に大きな収入は無いので、村人の殆どがこの業界人だ。
チューリヒやジュネーブといった都市からも近くない。電車で4時間から5時間
の距離にある。車で来る場合もシーズン中は隣村までしか入れず、そこから
シャトル列車に乗る方法をとる。

この小さな村に116軒のホテル(ベッド数6800)、短期滞在用アパート
6500ベッドの宿泊施設があり、年間170万人が訪れている。

だが不便で小さな村だからこそ、逆手を取って観光に特化した様々な
取り組みをしている。
まず行政は厳格な建築規制を行い、ホテルやベッド数はこれ以上増やさず、
電気・上下水道等インフラの完全供給を維持している。

出生率は2.0以上。可処分所得は高い。専業主婦は殆どおらず、
夫婦共働きがあたりまえ。
それを支える相互扶助、地域や家族のサポートがしっかりとしている。

ツェルマットのスキーや山岳ガイドはアルプスや周辺の歴史、地勢、
風物から名物レストランに至るまで地域情報に精通することが要求される。
その為、4日間の研修とテストに合格することが義務付けられる。
これらは全て高い顧客満足度を維持し、一度この地を訪れたゲストを
リピーター化する為の制度だ。

日本のスキーや登山ガイドのように地域をまるで知らない、などと言う事は
ツェルマットでは許されない。
日本のように観光客に「あの山の名は?」と聞かれたスキーガイドが、
「ボクは東京から昨日来たばかりなので、わかりません」などと堂々と答える
場面は皆無だという。
言い換えれば日本のガイドたちのこのような言動により、観光客がいかに
幻滅し、リピーター化しない要素になっているかをツェルマットは良く認識して
いるのだ。

また「スイス」という国のブランド・イメージ、「行ってみたい、清潔、安全」
というイメージや、高級感溢れるイメージをお持ちの方は多いと思うが、
「感幸業」というツーリズムがそれらのポジティブなブランド・イメージを
認知させるツールになっているのである。

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さて日本の観光業はどうか?私の住む京都はどうか?
少子高齢化が避けられない日本、一方で世界に誇れる観光資源が豊富な
この国で、観光業は基幹産業に足りうるものの筈。
しかし相変わらずお寒い現実が横たわっている。

山あいの温泉旅館で夕食にマグロやイカの刺身を出したり、せっかく
地酒があるのにわざわざ大量生産の酒を供したり、女性用の露天風呂
スペースが男性用より狭かったり、カップルで泊まっているのに隣室に
小さな子供連れの家族客や団体客をアサインしたり。
旅行代理店との旧態依然のコミッション契約に基づいた、買いたくも無い、
面白くも無い土産物屋や観光施設に強制的に連れて行かれる慣行も
未だに存在している。

また何故か日本の水辺の観光地、海や湖畔などではポップミュージック
や演歌(最近はあまり遭遇しないが)を大音量で流しているケースが
多い。
何故景勝地まで来てB'zやSMAPを聞かなくてはならないのか?
波の打ち寄せる音、川のせせらぎ、湖畔を渡る風、そうした自然音
だけで充分でそれ以上は何もいらない、という感性を観光業者
は持ち合わせていないのだろうか?

そしてそんな観光地や宿には二度と行かない、と感じる人は多い筈だ。
これでは全くの逆効果である。

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ツェルマットは小さな村で、コンセンサスを得やすいのは確か。
「感幸業」で生計を立てるしかないという意識が浸透しやすいし、それは
スイスという苛烈な自然環境、国際環境が背景がある。

賑やかなJATAの会場に身を置き、日本の観光産業が「感幸」になるには
相当な道のりがある、と感じさせられた。

と同時に、山田氏のような人材を観光カリスマに認定するなど、この国の
行政はセンスの良い面もある。彼のような人材をもっと活用し、この国の
感幸産業を振興するよう、我々も努力しなければならない。

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写真は上からJATA光景。http://plus-hawaii.com

「鳩山友愛塾」で講演する山田桂一郎氏。同塾HPより。
勉強会の後の飲み会で、氏が現在コンサルをしている山陰のある温泉地
につき、私の「その温泉地のコンペティター(競合相手)はどこか?」
という質問に対し、「コンペティターは過去の自分達です」と言い切った。

ツェルマット風景。www.hoteloftuerumatt.com

JATA会場でのスナップ。
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by Mikio_Motegi | 2009-09-20 22:19 | 人材・ホテル

9.11は我が家の記念日

アメリカ政府は今年から9月11日を「愛国の日、奉仕と追悼の日」
"Patriot Day and National Day of Service and Remembrance”
として指定したという。

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この日は私たち家族にとっても特別な日である。
昨年8月のブログ「ニューヨークの旅 1 グランド・ゼロ」にも記したが、2001年
の同時多発テロがきっかけで、当時私たちが幸せに暮らしていたシンガポール
経済が急速に悪化。
その影響で私はホテル・インターコンチネンタル・シンガポールを解雇
されたのだ。

日系企業の駐在員ではない日本人である私が海外で解雇されるとどうなるか?
経験が無いとなかなかイメージが沸かないだろうが、まず在住ビザが
失効する。
インターコンチが私のビザのスポンサー=身分保証人だったので、
それを失うと国外退去を余儀なくされる。
私の場合、解雇を言い渡された後の在留猶予期間は1ヵ月と10日だった。

今までの生活のまま暮らせるベストの選択は、シンガポール内で
再就職することだが、そんなタイミング良く次の勤務先が狭いシンガポール
で見つかるわけが無い。
1ヶ月の間多くの友人・知人に励まされサポートを受け、必死の転職活動
の結果、なんとか隣国マレーシアのペナン島にあるシャングリ・ラ・リゾート
に職を得て移り住むことになった。

幸いシャングリ・ラではインターコンチ時代より好条件で迎えられたのだが、
家内や既に地元のカトリック系幼稚園に通っていた娘達には、いきなり
それまで交友関係を断ち切らせる結果になってしまい、迷惑をかけたと
思っている。

が、何処に行っても「住めば都」と直ぐに順応できる家族なので、実際
シリアスさは全く無かった。
実を言うと私はインターコンチ在籍中もキャリア・アップを計りニューヨークや
ドバイの名だたるホテルに友人やヘッドハンターを通してアプライしており、
それを知っている家内はいつでも移住できるよう、心の準備はできて
いたのである。

また家内の友人達もご主人が外国企業に勤めており、やはりヘッドハント
されて世界中を転戦して来た強者(つわもの)が多かったので、家内は私の
キャリア・アップ・プランに理解してくれていた。

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・・・ところで昨夜はテレビ朝日系列で放映された映画「ワールド・トレード・
センター」を家族で鑑賞。

放映後、家内がポツリと「9.11が無かったら、私たち家族は今頃何処で
暮らしていたんやろな・・・」と呟いた。

数秒間の間、答えを探そうと頭の中で様々な思い駆け巡ったが、結論が
出せない自分に驚き、そして自問した。
大きな事件は人生を狂わすきっかけになる、とは良く言われる。
が、人生は、その事件がなかったらそれまでの生活がいつまでも続いて
いた、と断定できるような単純なものではない。

9・11があろうと無かろうと、人生が狂おうと狂うまいと、今こうして私たちが
京都に暮らしているのは、運命の必然だったと考えるべきなのでは
ないのか、と考えるに至った。

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2800人の犠牲者を出し、今尚数万人が後遺症に悩む9.11アメリカ同時
多発テロ。
あの事件に間接的ながら翻弄された経験を持つ者として、この日が
来る度に幕末の詩僧・釈月性(しゃくげっしょう)の漢詩を思いだす。

「骨を埋むること何ぞ墳墓(ふんぼ)の地を期せん、人間(じんかん)到る処
青山有り」(骨を埋める場所などにこだわるな。世の中、骨を埋めるくらいの
土などどこにでもある)。

写真は上が http://jp.ibtimes.com
中、下は各種メディアより。
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by Mikio_Motegi | 2009-09-12 22:34 | ブレイク
日本代表がガーナに勝った。スコアは4-3。後半2点リードされ
てからの大逆転は、見事のひと言につきる。

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先日のオランダ戦を合わせての収穫は、サイドバック長友佑都、
ミッドフィールド長谷部誠、フォワード前田遼一がこのレベルでも通用
することを実証できて、且つ稲本潤一が復帰した点。
センターバックとゴールキーパーは・・・2試合で6点も獲られたのだから
失格。

間違いなく言えるのは、日本選手はタックルが甘い。
日本のタックルに相手選手が痛みでうずくまるシーンは今回も皆無
だった。逆は嫌というほど見せ付けられているのに。

オランダ戦の敗因は・・・これが世界ランキング3位と40位の差、としか
言いようが無い。むしろ格下の日本に対しほぼベストメンバーを組んで
くれたオランダに感謝したい。
ガーナも、これがベストメンバーかどうかは情報不足なのでわからないが、
地区予選突破を決めてから僅か中2日での試合は辛かったろう。

心配なのは、長く日本代表を支えてきたセンターバック中澤祐二と
「ファンタジスタ」中村俊輔のフィジカルな面での衰え。
ガーナ相手の1点目は中村が中盤の「もっともボールを奪われては
いけない」エリアで奪われたことが遠因だし、2点目は相手フォワードに
中澤が完全にやられたことが原因。
この二人はオランダ戦でも全くいいところが無かった。
来年のワールドカップ本大会では共に32才。岡田監督は世代交代を
進めなければならない。

このブログで何度も繰り返すが、日本のメディアは岡田監督の目指す
「ワールドカップベスト4」が目標というスローガンを、本格的に
批判すべきだ。
あれはチーム内、日本国内向けのスローガンであって、一種の
催眠術のようなもの。とても現実を見据えた目標ではない。

まるで太平洋戦争中の「大本営発表」をメディアがそのまま国民
にたれ流した時のようだ。
メディアの役割は岡田ジャパンのスポークスマンになる事ではない。


写真は www.jiji.com より
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by Mikio_Motegi | 2009-09-09 23:54 | サッカー、スポーツ

カシオのCMに物申す

もう商品の発売とCMのオン・エアから数ヶ月がたつので、
営業妨害にはならないと思うのでエントリーする。
あくまでもCMに対する個人的感想であり、商品やカシオ社に対し
ネガティブな印象を与えるつもりは全くない事を、先に記しておく。

私は以前からカシオ製品のファンで、先般もデジカメ「ハイスピード・
エクシリム」を購入した。主にビデオ撮影に重宝しているが大変素晴ら
しい性能で、不満はひとかけらも無い。
だがこの商品のテレビCM「サッカー編」は見ていて腹が立つ。

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CMでは、主人公の選手が相手バックスにヘディングで競り勝ち、
見事ゴールを決めるシーンから始まる。歓喜の瞬間。
だが次のシーンで審判が「ノーゴール」を告げる。判定に驚き
審判に詰め寄る選手達。幻のゴールを決めた選手も含まれている。
次に「ハイスピード・エクシリム」で撮影されたゴールシーンが
再生される。
見ると、主人公の選手は空中のボールを相手選手と競り合う際、
ヘッドではなく手の拳でボールに触り、ゴールに押し込んで
いるのだ。これは明らかな反則行為だ。
意外な事実を知りがっかりする選手達。
CMは、いかにエクシリムの画像がスピーディなシーンでもクリアに
再生できるかを謳っているのだ。

私がこのCMで腹が立つのは、拳でゴールを決めた選手が
堂々と中心になって審判に詰め寄り、ノーゴールの判定に文句を
言っている点。
つまり彼は自分の反則行為を頬被りし、それどころか破廉恥にも
審判の判定ミスだと言わんばかりの態度を取っている。

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現実のサッカーでは「シミュレーション」という、ファウルを自ら
もらいに行く行為が横行している。
つまりファウルでもないのに倒れこみ、あたかもファウルされたかの
ように振る舞い、有利なフリーキックを得ようとする行為。
これはスピーディーなプレイを阻むだけでなく、サッカーの興そのものを
著しく損なう嘆かわしい効果をもたらしているのだ。

このCM主人公の行為はシミュレーションではないが、明らかな
反則行為。
たかがCMと言うなかれ。こんなネガティブなシーンを見せられて、
サッカー愛好家、特に若い世代に間違った認識が刷り込まれてしまう
ことを私は恐れる。

我々は何故サッカーを愛するのか?地球人口の実に85%が
サッカーファンであると言われている理由は何故なのか?
「勝つことが全て」で、「汚いプレー、反則行為も結果勝てばよい」
と心底思っているサッカー選手、サッカーファンは一体何人いるの
だろうか?

世界最高峰の実力と人気を誇るイングランド・プレミアリーグの
強豪である「チェルシー」でのエピソードだが、ある試合で
エースであるディディエ・ドログバが明らかなシミュレーションで
倒れこみ、フリーキックを得た。
試合後、素知らぬ顔でロッカーに戻るドログバに、チェルシーの
キャプテンであるジョン・テリーと中心選手のフランク・ランパートが
詰め寄り、「2度とあんなプレイをするな。今度やったら、お前は
俺達の仲間と認めない」ときつく釘をさしたという。

テリーもランパートもイングランド代表で、プレイだけでなく
チームの精神的主柱になっている存在だ。
この二人はサッカーの持つ素晴らしさを知っているだけでなく、体現
している。

どんなプレイが正しく、或いは邪悪か。どんなプレイが美しく、
或いは醜いか。
何故サッカーをやっているのか、そんな彼らにサッカーファンは何を
求めているのか。
サッカーの神に対し、いかに日頃から敬虔に接しているか。

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カシオの宣伝責任者に問いたい。あなたは何故サッカーを
エクシリムのCMの題材に選んだのか?
あなたはサッカーが嫌いな、或いはサッカーを憎んでいる人なのか?
臨場感溢れるゴールシーンを捉えるのに、エクシリムは最適の
カメラだ。
なのにあなたは何故、わざわざサッカーそのものを冒涜し貶める
シーンを演出し、茶の間に流すのだ?

写真は上、中がカシオのTVコマーシャル。
カシオハイスピードエクシリム サッカー編。

下がチェルシーのフランク・ランパート(右)とジョン・テリー。
http://img.photobucket.com/albums/v63/umaranjum/isportspix/4.jpg

チェルシーのエピソードは、「サッカー・マガジン」本年9月15日号
北條聡編集長のコラム「サカマガイズム」より。
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by Mikio_Motegi | 2009-09-06 23:03 | サッカー、スポーツ