ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

<   2010年 08月 ( 6 )   > この月の画像一覧

サイグナスは進化する

26日(木)、京王プラザホテルで開催されたサイグナス社の
ユーザー・カンファレンスに行ってきた。
ホテル業界関係者でこのブログのウォッチャーであれば同社と深く
関わっている人は多いだろう。
現代的ホテルの運営に今や欠かせないレベニュー・マネジメント(以下RM)
という概念を、日本に広く浸透させた気鋭の会社だ。
c0094556_20585135.jpg


参加者リストによると、カンファレンスに北は北海道、南は九州から約70社、
120人が集まった。ホテル業界内での同社のプレゼンスを感じさせる。

もっともセミナー後の懇親会では大盛況の会場を見渡し「日本にRMを導入
しているホテルってこんなにあったっけ?」という声が上がっていたのも
事実。
それ程RM以前の、「KKD(カン、経験、度胸)」に頼ったリザベーションに
未だ固執しているホテルが数多いのも実情だ。
しかしRMを導入はしてはいなくても、サイグナス社のプレゼンスに関心を
寄せているホテルがこれだけあるというのは良い事だろう。

我々より上の世代の予約マネージャーには、RMなどに頼らなくて、KKDで
立派にリザベーションを運営している人もいた。これは事実。
だがIT技術が一般化し、こういう便利なソフトが比較的廉価で入手できる
世の中になった。またそんな優秀な予約マネージャーの技術の継承も難しい。

それなのにRMを導入しないという事は、何か別の、ホテル運営の効率化とは
違う次元の思想・理由がそこのホテルに存在しているとしか言いようがない。

c0094556_20592613.jpg


同社のHP http://www.scignus.co.jp によると、サイグナスの
事業は3つ。

一つは SWHANS (スワンズ)という、ホテルの各種営業数値を、
登録しているホテル同士でデータ交換し閲覧を可能にするネットワークの
構築・運営。
これはコンペティター間のKPI(営業指標)づくりに役立ち、ホテル同士の
公平で自由な競争を促進するものだ。

二つ目は i Rate Explorer という、競合ホテルのWebサイトを巡回し、
客室価格情報を収集するソフト開発。楽天、一休、じゃらん、Yahoo等
に掲載されている料金を検索できるソフトだ。

三つ目が Marks Navigator というRMシステムの開発。

「レベニュー・マネジメントなんて」とタカをくくっているあなた、
試しにここのサイトにあるオンラインゲーム「ヴァーチャル・ホテル・
予約ゲーム」に挑戦してみて欲しい。
いかにあなたの予約の取り方が偏っていて、利益最適化の機会を逃して
いるかを認識するだろう。

c0094556_13341382.jpg


c0094556_13333986.jpg


写真は当日のセミナーのレジュメと会場風景。

パーティーの司会は同社APS事業部部長の上垣徹氏。
彼は1991年に開業したヨコハマ・グランド・インターコンチネンタル
ホテルの一期生だ。
このホテルはヨコハマに進出した最初の外資系ホテル、加えて当時の
オーナーであるセゾングループ全盛時の開業だった為、彼の同期には
多くの俊英が集まった。
同ホテルよりキャリア・アップし、他ホテルのRM責任者としてこの
カンファレンスに出席した彼の同期OBも多い。

当時30才で同ホテルの開業準備室の最古参の一人だった私は、新卒の
フロントやコンシェルジュだった彼らに偉そーな口を叩いていたものだが、
あれから20年、幾星霜が過ぎた。
今やRMの最新コンセプトに全くついていけない私が低レベルの質問を
すると、「茂木さん、そんな事も知らないんスか―?」と彼らに矢のように
突っ込まれる。・・・おまえらだっていつかは年をとるのじゃ・・・。
[PR]
by Mikio_Motegi | 2010-08-30 14:07 | 人材・ホテル

シ・ミ・ツの京都

5月に私が半ば思いつきで提案し、以来あーでもないこーでもないと
頭を捻って立てた企画がやっと実現した。

去る8月21日(土)に京都ブライトンホテルで開催された、
ACCJ(在日米国商工会議所)関西支部夏の納涼企画
"Kyoto Summer Outing by ACCJ Kansai"である。

c0094556_931646.jpg


5月にメンバーになったばかりで、初めてACCJの公式イベントの
会場となる京都ブライトンホテルの絶大なるサポートのおかげで、
魅力的なコンテンツに仕上げる事ができた。

今回の特徴は祇園界隈のオプショナルツアーと、京都ブライトンでの
パーティの二部制になっている点。
メンバーであるアメリカ人建築家のEdwinの発案で、ただの飲み会では
面白くない、折角なら関西に住んでいても京都を良く知らない外国人
メンバーの為に、京都らしい寺社や街並みを探訪するツアー企画し
パーティーと組み合わせることにした。

c0094556_9212439.jpg


猛暑の中、10名が集まって祇園界隈を散策、バイリンガルのガイドさんの
説明に聞き入った。

パーティーのハイライトは、ブライトンがネットワークを駆使して
京都五花街(ごかがい)の一つ、宮川町の杉きみさんに特別にお願いし、
アレンジした現役バリバリの芸妓・舞妓による本格的な京踊り。
これが受けた。当日はアメリカの駐大阪総領事代理のご一家も
見えたが、大変なご満悦。
ACCJ関西の代表であるJiriも興奮気味で、「素晴らしいパーティーだ。
是非この企画を定例化しよう」などとLip Serviceでも私を誉めてくれた。

c0094556_982884.jpg


立食ビュッフェスタイルの食事は、「さすがブライトン!」と唸りたくなる
ような逸品の数々。
サフランライスの握り鮨、魚介類のカクテル、京都地野菜のサラダ、
子羊のロースト、牛肉のパイ包み、ハモンセラーノ(生ハム)、
どれをとっても一級品だった。

お楽しみの抽せん会では、ブライトンの宿泊券の他、宮川町の
特性「団扇(うちわ)」が10名に当たる大盤振る舞い。
また大阪・北浜のブライトンホテルの宿泊券も提供された。

c0094556_985995.jpg


ACCJ関西の京都でのイベントは、私が記憶する限り2004年の
グランヴィア京都で行われた京都商工会議所との合同パーティー
以来6年振りだ。よって期待度も高く失敗は絶対に許されない。
ACCJ関西事務局も力を入れてくれて、大いに盛り上がった。
手前みそだが親密で温かく、そして教養溢れる企画だったと言えよう。

c0094556_922429.jpg


写真は1枚目が宮川町の芸妓「小桃(こもも)」さんと、
舞妓「千賀幸(ちかゆき)」さんの踊り。
2枚目はイメージ 京花の一期一会 http://himawari6.blog14.f2.com

3-5枚目がパーティー会場光景。
4枚目の司会はスイスホテル南海大阪のRaymond。
商品を手渡すのが宮川町「杉きみ」の女将、杉本幸子さん。
彼女のトークも機智に溢れて抜群だった。
左がブライトンのチーフ・コンシェルジュ、小山明美嬢。
日本に15人しかいないル・クレドールの正会員だ。彼女の献身と
政治力(?)無しに今回の企画は成立しなかった。
5枚目は団扇をもらってご満悦のフィンランドからの留学生Maarit。
きっと良い思い出になったことだろう。
[PR]
by Mikio_Motegi | 2010-08-27 00:12 | 京都・紀行
「フォレスト・アドベンチャー」という施設をご存じだろうか?
元々はフランスで開発された、木登りをもっとソフィストケイトし、
フィールドアスレチックをもっと高度にした森林冒険体験型の
アクティビティ施設だ。
c0094556_4404978.jpg

箱根を後にして軽井沢に向かった私たちは、今回泊まった「軽井沢倶楽部
ホテル1130」の碇井君に勧められ、そこから車で約15分の
「フォレスト・アドベンチャーあさま」にてこのアクティビティに
挑戦して来た。

参加者はまず「プラットフォーム」と名付けられた樹木の踊り場に
縄梯子で登る。そして隣の木に設けられた次のプラットフォームまで、
様々な方法で渡って行く。
その方法とは足場がただのワイヤーロープ一本だったり、不安定な金属の
輪だったり、ゆらゆら揺れる幾つかの木片だったり。

そしていくつかのプラットフォームを渡ると、最後は「ジップライド」
というターザンロープで一気に滑り降りる。
そのターザンロープは木々の間を縫い、本物の谷や川を渡るという、
高さ12メートルのプラットフォームから100メートル以上滑空する
コースもある。
最高速度は時速30キロ。自転車よりも早く、満点のスリルと爽快感を
味わえる。これを繰り返して、様々なランクのコースに挑戦するのだ。

c0094556_4423759.jpg


もちろんコース設計も安全規格もフランス本国の基準をクリアしたもので、
危険は少ない。参加者はハーネスを身につけ、カラピナで身体の安全を
確保しロープと結ぶので、マニュアル通りにしていれば落下することは
無い。
また事前にスタッフによる簡単な講習があり、それをクリアすれば
まず安全は確保される。
2006年に開設以来、日本での事故例は皆無だそうだ。

c0094556_4431578.jpg


とはいって地上10メートル以上の木にのぼり、安全ロープ一本に頼り
伝い渡る、その怖さと言ったら。
全コースを制覇するのにたっぷり2時間以上かかる、本格的な
アクティビティだ。
日本全国では北軽井沢の他、小田原、奈良等6か所に展開しているが、
ヨーロッパでは2000か所以上開設されている人気の施設だ。

ちなみにこのアクティビティを日本に導入したのは、有限会社
パシフィック・ネットワークの金丸一郎社長。
彼は元西洋環境開発のリゾートレジャー事業部の社員で、同社の
ホテル事業部の社員だった私とは何度か会議で一緒になった経験もあり、
先の軽井沢倶楽部の碇井君をはじめ、今でも共通の友人は多い。

当時から独特のを感性とネットワークを持つ男だった。
セゾングループの中核企業だった西洋環境開発が特別清算された後、
彼は単身フランスに渡りフォレスト・アドベンチャーに出会い、
開発会社であるアルス社と日本でのライセンス契約を結んで起業した
というアドベンチャー野郎だ。

c0094556_10444723.jpg

c0094556_1045986.jpg


このアクティビティの素晴らしい点は、一緒に挑戦する仲間との
一体感を確かめられる事。挑戦し克服する行為の素晴らしさを
体感できる事。

不安定で、且つ逆戻りできない危険な高所で身の安全を確保し、前に進む。
危険な状態におかれると人は気を引き締める。日常にはありえない
緊張感。
困難な状況に際し、一緒に克服するという一体感を感じることができる
という点では、家族だけでなくカップルにも向いているアクティビティ
と言えよう。お互いの人生観の一端を確かめ合う事ができるからだ。

もう一つ、日本全国には放置された森林が多いが、フォレスト・
アドベンチャーは森林再生にも一役買っている。

閑話休題、箱根と軽井沢で途中4泊も寄り道したが、今年のお盆休暇の
最大の目的は、私が幼い頃からずうっと世話になり、後に結婚式の
仲人も務めてくれ、今年4月に亡くなった故板橋秀二の初盆を
栃木県足利市にて迎える為の物だった。
彼は私の義理の従兄にあたり、北関東一帯に展開する専門商社
「(株)板通」の前社長でもある。

c0094556_444891.jpg


彼の自宅にて我が家の家族が初盆の焼香に行った際、彼が生前支援して
きた自民党の衆議院議員、元金融大臣の茂木敏充(もてぎ・としみつ)
氏と出くわした。

テレビのニュースや時事番組でもおなじみの茂木議員に直接会って、
有名人好きの我が家の娘たちは大喜び。
議員も気さくに娘たちに話しかけ、握手までしてくれた。
議員が東大-ハーバート大卒、マッキンゼーに勤務した秀才であり、
次代の日本の総理大臣になる人だという事を知ると、感極まった娘たちは
議員のように頭が良くなるようにと握手された手のひらを自分たちの頭に
こすりつけ、周囲の笑い(失笑)を買っていたのである。

彼は保守党の議員でありながら金融改革、行財政改革、外務省改革に
積極的に取り組むまさしく「アドベンチャー」。
今後の活躍を期待したい。

という事で、我が家にとってアドベンチャー尽くしの休暇だった、
とこの項を無理やりまとめる私をお許し頂きたい。

写真の上3枚は「そとっこ」のHPより。
4枚目、5枚目はアクティビティに挑戦する私。地上10メートルの
高さ、マジで怖かった。
6枚目は茂木議員。ちなみにおなじ茂木(もてぎ)でも残念ながら
血縁関係は無い。
[PR]
by Mikio_Motegi | 2010-08-22 10:49 | 京都・紀行
「戦争」とはこの平和なブログに相応しくないタイトルだが、今回私が
訪れた箱根では、かつて2つの巨大企業が戦争と呼ばれるほどの熾烈な
陣取り合戦を繰り広げた歴史がある。
「箱根山サルカニ合戦」と呼ばれる、箱根をめぐる一大陣取り合戦である。

c0094556_2244195.jpg


その企業とは西武と東急。1950年代の事だ。
西武の堤康二郎、東急の五島慶太。共に「ピストルの康」「強盗慶太」
と世間からあだ名を付けられるほどの強引な商法でのし上がった、当時の
新興財閥の旗手だ。
彼らには日本の鉄道、観光、不動産事業の覇権を目指ししのぎを削った
長年の抗争の歴史があった。

五島は倒産寸前のぼろ会社である「武蔵鉄道」を再建し、東急グループ
として育て上げ、以後小田急電鉄、京王電鉄、京浜急行と次々を私鉄を
乗っ取って支配権を拡大していった。

一方堤は、鉄道より土地に早く手をつけていた慧眼(けいがん)の
持ち主で、すでの箱根の芦ノ湖・駒ケ岳・早雲山などの主要観光地を
買い占めており、私財を投じて早雲山-小涌谷-芦ノ湖、及び
熱海-十国峠-箱根に専用道路を建設していた。

c0094556_22442415.jpg


五島が箱根進出を目指し、苦労し大金を投じて新宿から小田原へ向かう
小田急電鉄、小田原から箱根・強羅への箱根登山鉄道を買収したが、いわば
それは箱根で既に観光事業を展開する堤の為に、わざわざ利用客を
運んでやっているようなものだったのである。

巻き返しを図る五島が、運輸省を巻き込んで堤の専用道路に自社のバスを
乗り入れさせ、芦ノ湖に浮かべた巨大な遊覧船に送客する。
それに対抗して堤は専用道路にバリケードを張って、五島のバスの
運行を阻止するというまさに泥仕合を繰り広げ世間を大いに騒がせた。
「サルカニ合戦」と揶揄される由縁だ。

c0094556_22444659.jpg


現在の箱根には、往時の抗争の傷跡は全く見られない。両社ともに
代替わりが進み、経済状況も激変した。
今は双方の交通機関の共通利用券が発行され、プリンスホテルと
小田急ホテルズの共同プロモーションも実現している。

企業同士が抗争を繰り広げれば、企業が弱体化するだけでなく利用者も
結局は恩恵にあずかる事ができない。
よって地方の観光事業に必須のデスティネーション・マーケティングは
成り立たず、その地方の観光事業そのものが疲弊してしまう。
だから無意味な抗争などするべきではないのは当然の事だ。

が、一方で、男たちが知略を絞り、様々なステークホルダー、中央官庁
や行政も巻き込み、膨大なエネルギーを費やして
「日本の鉄道王・ホテル王」の称号を得るためにまい進する姿に、
ジェラシーを感じることを禁じ得ない自分がいる。

金や権力、名声、自己顕示欲に執着するのもまた人間の自然の営みであり、
その執着の強さが結果国家に活力をもたらし、繁栄を約束するものだと
言えるだろう。

今の日本にピストルや強盗のような「ホテル王」と呼べる男は、果たして
いるのだろうか?

c0094556_2245318.jpg


c0094556_22455554.jpg



写真はイメージ。
下の2枚は今回宿泊した箱根仙石原の「小田急ハイランドホテル」の外観と
露天風呂のエントランス。
北里の塩谷名誉教授のご推薦によりここに2泊したが、大正解・大満足
だった。
[PR]
by Mikio_Motegi | 2010-08-21 10:04 | 京都・紀行
「あーたまを雲の、上に出ーしー」
我が家の13才と11才になる娘たちが未だ本物の富士山を観た事が無い
というので、お盆で群馬の実家に帰る途中に富士山の五合目まで行って来た。

富士山を日本象徴、日本人のアイデンティティーのよりどころとする意見は
多い。
つまり富士山を観て「ああ自分は日本人だ」と感じる人たちがこの国には
とても多いという事だ。

c0094556_2345332.jpg


若い頃は富士山の存在などどうでも良い、高尚な趣味人としては
むしろ俗っぽくて嫌悪していた私だ。
だが不思議なもので、海外で生活していて久しぶりに一時帰国する際、
アジア方面から成田に向かう機中で進行方向左側にある富士山の姿を
観ると、「ああ俺は帰って来た、日本人で良かった」と本気で
思うのだから、高尚趣味もいい加減なものである。

c0094556_2363538.jpg


もっと不思議な事に、今や日本中の観光地を闊歩する中国人観光客にも
富士山観光は絶大な人気を誇っているという。
高尾山でも浅間山でもない、富士山というコンテンツが彼らを引き付ける
理由は何なのだろう?

五合目の茶屋(と呼ぶにはあまりに巨大)には日本語と英語に並び、
マンダリンの観光案内が併記されているし、実際に中国人観光客の数は
非常に多かった。ちなみに富士サファリランドと箱根大涌谷、強羅にも
沢山来ていた。

彼らの殆どがガイドさん付きの団体パッケージ旅行だ。
日本人が「エコノミック・アニマル」と世界中で揶揄された時期に、欧米で
例の旗を持ったガイドさんの後をくっついて歩く団体旅行と全く同じ。
要するに歴史は繰り返し、40年前に日本人がやっていた事を今の中国人が
やっているのである。

c0094556_2365679.jpg


それはともかく、深刻なのが言葉の壁だ。
この日も団体行動から独り離れた中国人女性が、しきりに自動販売機の前で
係の日本人男性に中国語で何か問いかけている。
しかしその男性には中国語はまったく通じず、いい加減な答えを日本語で
繰り返している。
こういう場合は英語が通じれば騎士道精神を発揮する私の出番なのだが、
いかんせん中国語では如何ともし難い。
その内その女性は諦めたかのように団体に戻って行ってしまったが。

旅の醍醐味は地元の人々との触れ合いにある。
その昔ヨーロッパだのアメリカだのに団体パッケージ旅行で繰り出した
世代が、その種の旅行パターンで何を得て帰って来たのかは敢えて
問うまい。

ただ現代の中国人観光客が、束の間を過ごす日本で何かを得てくれる事を
望みたいものだ。


写真は上から五合目から仰ぎ見た富士山。台風の余波で終日霧が
かかっていたにも関わらず、この瞬間たった5分間だけ顔を出してくれた。

中、下は共にイメージ。 
[PR]
by Mikio_Motegi | 2010-08-17 05:53 | 京都・紀行

早起きの効能

毎朝8時頃にオフィスのデスクに座り、仕事を始める習慣が
ここ15年ほど続いている。
海外のホテルで勤務していた頃からのものだ。
あちらでは日本との時差の関係で、その時間だとしょーもない
電話が日本からかかってこないので、煩わされず落ち着いて
事務作業に没頭できる。

c0094556_8514271.jpg


シンガポールでは7時45分にホテルに着くと、オフィスには行かず
に隣のブギス・ジャンクションにあるコーヒーショップ"Spinelli”
(現在はスタバ)に寄り、コーヒーを飲みながら地元新聞を読み耽る
のが習慣だった。約15分間の朝の大事な儀式だ。
同僚のジョナサンの " Without a cup of coffe, I cannot start
a day" という口癖のとおり、私の朝は一杯のコーヒーから
はじまったのだ(何かのCMみたい)。

「早起きは三文の得」というが、私の場合この時間に毎朝コーヒー
を飲む事にもう一つ重要な理由があった。
この時間がインターコンチネンタルホテルズのアジア・パシフィック
地域の社長、リチャード・ハートマンと直接言葉を交わせる数少ない
機会だったからである。

ハートマン社長は通常私より5分ほど遅れてやってくる。
当初は"Good Morning, Mr.Hartman" という私の挨拶に対し、
"Good Morning" と低く良く通る声で返礼してたくれただけだったが。

1999年に、彼は私の所属していた日本のセゾングループから
インターコンチを買収したBASS Hotelsよりアポイントされた社長だ。
前職はアメリカのシェラトンだったが、ウェスティンと合併した為
「ゴールデン・パラシュート」で引退した大物で、当初は私の事など
もちろん知らなかった。

c0094556_8521547.jpg


その頃、ホテルの常連で私が今も親しくさせて頂いている名古屋の
レストラン王T氏がハートマン社長と知り合い、その通訳に駆り出される
事があり、私について見知ってもらえるようになったのは幸運だった。

ユダヤ系の彼は記憶力が抜群だ。その当時で彼宛てに1日200通の
メールが来るが、彼はざっと目を通しただけで全て記憶してしまう
という事だった。彼の秘書が言うのだから間違いないだろう。
なんでもユダヤ教の経典を憶える特殊な記憶法を身につけていて、
それを応用しているのだという。

とにかくそれをきっかけに朝会うたびに"Good Morning, Mikio"と
私の名前を憶えて呼んでくれるようになった。
時々挨拶ついでに「ビジネスはどうだ?」と聞いてくる事もある。

寝呆けた人間なら「ボチボチでんなあ」とか「あきまへんなあ」とか
答えて、翌日からは無視されるかカリマンタン(ボルネオ)あたりに
飛ばされるかだろう。
だが私は自分を売り込む為に、企画しているマーケティング・プラン
を取り出し、社長の意見を聞いてみるという暴挙にでたことが
何度かあった。

そのプランは特に奇をてらったものではない。特定の顧客を
ターゲットにし、グループホテルや近隣の商業施設、他ホテルを
巻き込む、且つ若干の販促費がかかる。
今流行りの"Destination Marketing"を取り入れた、アグレッシブだが
シンプルな物だった。

私の差しだしたプランを一瞥し、彼は「それで?」と私に聞く。
私は「とにかくやってみたい」と応じる。
すると"Do it"とだけ答えてくれる。その間約2-3分のやりとり。

c0094556_21252835.jpg


ハートマン社長に"Do it"と認められたプランだ。私は自信を持って
上司であるGMやDOSMにプランを通すよう交渉する事ができる。
それまで否定的だったGMやDOSMも、何だか私が自信たっぷりに
プレゼンをするので、ついGOサインをだしてしまう。
私の「気合い勝ち」だ。

その他にも、同僚のプランを私が代わりに奏上し、意見を聞く事も
あった。
答えはやはり"Do it"。
もちろん無責任に言っているのではない。私たちの企画にさっと
目を通しただけでしっかりと内容を把握しているのだ。
短いフレーズの中に彼の歩んできた道程、哲学が含まれている。

そして私たちの練りに練ったプランは社長のお墨付きをもらい、
いよいよアグレッシブになっていく。
例外なく成功し、結果ホテルのビジネスに大いに貢献する事ができた。

今でも私はこの、つべこべ言わず"(Just) Do It"の大切さを
忘れていない。その精神を叩きこんでくれた彼に感謝している。
またハートマン社長と対峙する時のあの緊張感、大きな目でギロリと
睨まれる時、背中に伝わる冷や汗の感覚も今でも忘れられない。

c0094556_8475613.jpg


暑い毎日、定時ぎりぎりに出勤し、何の為やら毎晩遅くまで会社に
拘禁されている皆さん。
早朝を有効活用すると、暑さも吹っ飛ぶ、但し冷や冷やする
エキサイティングな一日をおくることができますよ。


写真は上からシンガポールのブギス・ジャンクション・ショッピング・
センター。左手に見えるのがかつてのSpinelli。

ハートマン氏。

同僚のアリス。ハートマン社長に直接意見を聞いてみたら、との
大胆な提言をしてくれたのが彼女。

シンガポールの朝。
[PR]
by Mikio_Motegi | 2010-08-07 23:11 | 人材・ホテル