カシオのCMに物申す
2009年 09月 06日
営業妨害にはならないと思うのでエントリーする。
あくまでもCMに対する個人的感想であり、商品やカシオ社に対し
ネガティブな印象を与えるつもりは全くない事を、先に記しておく。
私は以前からカシオ製品のファンで、先般もデジカメ「ハイスピード・
エクシリム」を購入した。主にビデオ撮影に重宝しているが大変素晴ら
しい性能で、不満はひとかけらも無い。
だがこの商品のテレビCM「サッカー編」は見ていて腹が立つ。

CMでは、主人公の選手が相手バックスにヘディングで競り勝ち、
見事ゴールを決めるシーンから始まる。歓喜の瞬間。
だが次のシーンで審判が「ノーゴール」を告げる。判定に驚き
審判に詰め寄る選手達。幻のゴールを決めた選手も含まれている。
次に「ハイスピード・エクシリム」で撮影されたゴールシーンが
再生される。
見ると、主人公の選手は空中のボールを相手選手と競り合う際、
ヘッドではなく手の拳でボールに触り、ゴールに押し込んで
いるのだ。これは明らかな反則行為だ。
意外な事実を知りがっかりする選手達。
CMは、いかにエクシリムの画像がスピーディなシーンでもクリアに
再生できるかを謳っているのだ。
私がこのCMで腹が立つのは、拳でゴールを決めた選手が
堂々と中心になって審判に詰め寄り、ノーゴールの判定に文句を
言っている点。
つまり彼は自分の反則行為を頬被りし、それどころか破廉恥にも
審判の判定ミスだと言わんばかりの態度を取っている。

現実のサッカーでは「シミュレーション」という、ファウルを自ら
もらいに行く行為が横行している。
つまりファウルでもないのに倒れこみ、あたかもファウルされたかの
ように振る舞い、有利なフリーキックを得ようとする行為。
これはスピーディーなプレイを阻むだけでなく、サッカーの興そのものを
著しく損なう嘆かわしい効果をもたらしているのだ。
このCM主人公の行為はシミュレーションではないが、明らかな
反則行為。
たかがCMと言うなかれ。こんなネガティブなシーンを見せられて、
サッカー愛好家、特に若い世代に間違った認識が刷り込まれてしまう
ことを私は恐れる。
我々は何故サッカーを愛するのか?地球人口の実に85%が
サッカーファンであると言われている理由は何故なのか?
「勝つことが全て」で、「汚いプレー、反則行為も結果勝てばよい」
と心底思っているサッカー選手、サッカーファンは一体何人いるの
だろうか?
世界最高峰の実力と人気を誇るイングランド・プレミアリーグの
強豪である「チェルシー」でのエピソードだが、ある試合で
エースであるディディエ・ドログバが明らかなシミュレーションで
倒れこみ、フリーキックを得た。
試合後、素知らぬ顔でロッカーに戻るドログバに、チェルシーの
キャプテンであるジョン・テリーと中心選手のフランク・ランパートが
詰め寄り、「2度とあんなプレイをするな。今度やったら、お前は
俺達の仲間と認めない」ときつく釘をさしたという。
テリーもランパートもイングランド代表で、プレイだけでなく
チームの精神的主柱になっている存在だ。
この二人はサッカーの持つ素晴らしさを知っているだけでなく、体現
している。
どんなプレイが正しく、或いは邪悪か。どんなプレイが美しく、
或いは醜いか。
何故サッカーをやっているのか、そんな彼らにサッカーファンは何を
求めているのか。
サッカーの神に対し、いかに日頃から敬虔に接しているか。

カシオの宣伝責任者に問いたい。あなたは何故サッカーを
エクシリムのCMの題材に選んだのか?
あなたはサッカーが嫌いな、或いはサッカーを憎んでいる人なのか?
臨場感溢れるゴールシーンを捉えるのに、エクシリムは最適の
カメラだ。
なのにあなたは何故、わざわざサッカーそのものを冒涜し貶める
シーンを演出し、茶の間に流すのだ?
写真は上、中がカシオのTVコマーシャル。
カシオハイスピードエクシリム サッカー編。
下がチェルシーのフランク・ランパート(右)とジョン・テリー。
http://img.photobucket.com/albums/v63/umaranjum/isportspix/4.jpg
チェルシーのエピソードは、「サッカー・マガジン」本年9月15日号
北條聡編集長のコラム「サカマガイズム」より。

