中川昭一と宋文州
2009年 10月 10日
「どうした、日本-中川昭一と宋文州の不愉快な対話」を再読してみた。
(ダイヤモンド社刊 2008年4月第1刷 1429円)

宋文州氏は1963年中国生まれ。大学卒業後日本に国費留学、北海道大学
大学院卒業するも、天安門事件で帰国を断念。
その後PCソフト販売のソフトブレーン(株)を創業。
現在は経済界の若手論客・外国人経営者として執筆や講演にひっぱりだこの
人物。
同書はこの宋氏と交流のあった中川氏が、日本の抱える様々な問題について
語り合ったもの。「格差」、「外資への偏見」、「少子化」、「教育」、「日米関係と
日中関係」など話題は多岐にわたる。
印象に残った言葉をいくつかピックアップしてみる:
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「差の無い世界は自然界に存在しない。逆に言うと差の無い世界は
死後の世界」
「田園生活を満喫している人たちの年収が都市生活者より低いからといって、
人間としての価値が低いわけではない。その違いは『格差』で括るべきでは
なく、『選択』としてとらえるべき」
「日本で言うところの格差は、中国で言う『所得差』のこと。それを明確に」
「その国の国民が物事を前向きに捉えているか、後ろ向きに捉えているかが、
経済の実態より重要の筈。日本に外国資本が参入しづらい理由の一つは、
国民の後ろ向きの姿勢にある」
「これまでは考えられなかった抜本的な改革を2-3断行するだけで、
人々の気持ちが変わる」
「僕は今、『死』について意識しはじめています」
「少子化を恐れるな。70才までは老人ではないと設定し、企業の雇用制度を
改革し年功序列意識も変える。部下に先輩がいたり、上司に女性が
いたりすることに抵抗感を持たない。女性の社会進出をもっと促進する
環境整備をすべき」
*****
私はこの本が出版される直前の2008年1月に、帝国ホテルで催された
ACCJ(在日米国商工会議所)の新年パーティーで中川氏にお目に
かかっている。
氏は早々とワイングラスを傾けて、他の出席者の挨拶を受けながらも
名刺交換をするわけでもなく、静かに飄々と人々の間をかき分けていた。
確か議員バッジも外していたと思う。
「代議士」というととにかく目だちたがり、お山の大将的な人ばかりだという
印象があるが、彼の佇まいは明らかにこうした他の代議士達と違っていた。

この本で宋氏が「中川さんはどんな相手であっても話を聞く姿勢がとても
真摯です。
しかも人の話を聞いて心から納得すると、本当に意見が変わることがある」
と指摘している。
また上記にも挙げたが「僕は今、『死』について意識しはじめています」 と、
およそ政治家らしくないことを平気で言う。
保守派の論客・経済通として馴らし、非業の死を遂げた亡父中川一郎の意思を
継いで次期総理大臣を目指すと期待されていた人だった。
周囲の期待に押しつぶされての死でなければよいのだが。
写真下は故中川一郎。久恒啓一氏のブログより拝借。

