シャングリ・ラ・ホテル東京
2009年 11月 07日
シャングリ・ラ東京を訪れる機会があった。
かつて私自身が勤めた経験のあるホテルの日本第1号ということで、
訪れる前から大いに期待が膨らんでいたのは言うまでも無い。

ここはシャングリ・ラとして世界で初めて採用する「ビル・イン」タイプの
ホテルだ。
つまりオフィスビル内に賃借し、上層階をホテルとして利用するという最近
流行のモデル。
外資系ホテルの主流であるマネージメント・コントラクトではない、ビルの
オーナーとホテル・オペレーターがリスクを折半するという思想によるもの。
同じビジネスモデルに東京のマンダリン、リッツ、ペニンシュラ等々の
5スターホテルが挙げられる。
2007年7月のこのブログに香港のカオルーン・シャングリ・ラについて
エントリーしたが、シャングリ・ラのイメージは「広く、華やかで雑多なホテル」
である。
カオルーン、上海、シンガポール、クアラルンプール、ジャカルタ、マニラ等に
代表されるが、広々としたロビー、高い天井にジャズの生演奏が流れ、
ブラック・タイやカクテルドレスで着飾った人々の賑やかなお喋りとさんざめきが
こだまする。
民族衣装を着込んだドアマンに導かれエントランスを通ると、3階までの
吹き抜けの天井、ふんだんに利用する豪奢な大理石、シャンデリア、壁面一杯
の絵画やタペストリー、大ガラスの向こうの広々とした庭園。
その景色を臨むロビー・ラウンジでは、選り抜きの女性スタッフが腰まで届く
スリットの入ったエキゾチックなコスチュームを身をまとい、エレガントな
笑顔を振りまく。
そして忘れてはならない演出効果として、アジアの喧騒がある。
空港を出てからホテルに到着するまでに、人々が目にするの大渋滞の道路、
けたたましく鳴り響くクラクション、縦横無人に走るタクシー、超満員の
路線バス、横断歩道なんか無い幹線道路を平気で横切る人々。
物乞いが車の窓を叩く場合もある。
そういった喧騒、アジアの「カオス」の洗礼から逃れ、へとへとになったゲストが
辿り着いたところが桃源郷=シャングリ・ラなのだ。
要するにホテル馴れしていない田舎者や出張ビジネスマンをファースト・
サイトで圧倒し度肝を抜き、ポーッとしている所で高い料金をふんだくる。
これがシャングリ・ラ流のビジネスと言える・・・かつて勤務した私が言うのも
何だけど。

ところがここ東京のシャングリ・ラはだいぶ趣が違う・・・。ここはあまりにも
洗練されていて、クールだ。レストランも2軒だけ、宴会場は小さい・・・ま、
無いものねだりをしてもしょうがない。
シャングリ・ラが新しいタイプのホテル開発に乗り出した、ということで。
ブッフェの内容だが、「おや?」と思うような斬新な料理が目立った。
どこにでもあるローストビーフが無く、代わりに厚切り東皮肉(トンポーロー)、
ローストポーク、時節柄かターキーのワゴンサービスが並ぶ。
表面がカリッとクリスピー、中身はしっとり。ソースも美味い。
シーザーズサラダのシェフサービスもあり目を引いたが、一番驚いたのが
カレーライスがあったこと。
私はブッフェパーティーでカレーライスにお目にかかったのは寡聞にして
はじめて。
もちろん野菜や上質なビーフがたっぷりの高級カレーだが。

ハウスワインは白、赤共に上等。
面白いのはサントリーが協賛しバーカウンターを出しており、そこで
「マッカラム」の12年、18年というシングル・モルトを試飲させていたこと。
ゲストの注目を集め、且つホテルの売上げには繋がらないがコストを
削減できる、興味深い試みだと思った。

ロビーを訪れたゲストをファースト・サイトで圧倒するというシャングリ・ラ
流のグランド・ホテル・モデルから脱却し、いわば宿泊特化型の
ホスピタリティで勝負するという姿勢は注目すべき。
パーティーの後に客室も見せて頂いたが、最低50㎡の広さを確保して
いるのはさすが。
「欧米流のホテル運営+アジア流のおもてなし」を標榜するホテルらしく、
随所にアジアン・テイストを意識したデザインを配している。
同じアジアに本拠地を置くペニンシュラやマンダリンがヨーロッパ風の
テイストを意識し、シャングリ・ラがよりアジアを意識している対比が
面白い。
今後どちらがビジネスとして成功するか?興味は尽きない。
写真は上がシャングリ・ラ東京と「丸の内トラストタワー」全容。
森トラストのHPより。
中がシャングリ・ラ・ジャカルタのロビー風景。
下2枚が東京の宴会場。

