ショートパスタ礼賛
2009年 12月 23日
と決めている。サルサ(ソース)は何でも良いが、パスタ(麺)の種類に
こだわっているのだ。

元々自分でも好んでを料理をするほどショートパスタが好きだったが、
いっそう拍車がかかったのは昨年のニューヨーク旅行。
ミュージカルに行く直前の時間の無い時や、空港でのトランジットで
「早くできるものを」とオーダーすると、決まってパスタが、それも
ファルファッレやペンネ、リガトーニといったショートパスタの料理が
出てきた。
どれも抜群に美味く、おしゃれでそしてびっくりするほどポーションが大きい。
サルサはこれも決まってペスカトーレ。東海岸ならではの新鮮な魚介類
とあいまって、まさに目から鱗が落ちる体験だった。
あれから京都や大阪、東京のあちこちでショートパスタを試しているが、
未だにあの時の水準を越える皿に出会ったためしがない。
だいたい日本ではショートパスタはマイナーな存在で、それ自体用意
していない店が殆どだ。
何人かのレストランオーナーやシェフに聞いてみたが、その理由として
異口同音に「日本人はロングパスタ(いわゆるスパゲッティ)でないと
満足しない。食べた気がしないから」という。
確かに麺類好きの私の家内も同じ事を言っている。
だからといって、ショートパスタの様々に工夫された意匠、可憐な色彩、
食感を軽視していい筈がない。
実用的な面として、数人で皿をシェアする際のショートパスタの取り分け
の容易さは、どんなロングパスタも及ばない。

ショートパスタがあってもレストランの融通の無さにがっかりすることもある。
都内某5スターホテルのコーヒーショップで、ランチタイムにロングパスタ
料理数種類とペンネのアラビアータ(何という凡庸な!)というメニューが
あった。
店内はやや込んでいたが、ピーク時を外して来店したので大丈夫だろう
と思い、ロングパスタメニューのサルサ(確かボロネーゼ)に、パスタを
ペンネに替えて、とウエイトレスにオーダーした所、彼女は上司や厨房に
可否を尋ねるまでも無く「ランチタイムで忙しいのでできません」と
いけしゃあしゃあと答えやがった。
理由を質そうとマネージャーを呼ぶと、何故か厨房からシェフが
出て来て平謝りに謝っていたが。
まさにホスピタリティ以前の問題だが、まだこんな対応をしても生き残って
いられるホテルがあるのかと思うと、逆に感心してしまう。

シンガポールに住んでいた際、頻繁に通った"Sketches"という
パスタ&ワイン・バーは、6種類のイラスト説明付きのパスタと、
10種類ほどのサルサの中から自由に選び組み合わせ、ポーション、
トッピング、茹で加減の好みをオーダーシートに自分で記入して手渡す、
というお洒落なシステムの店だ。
"Desigh a Pasta" というフレーズで当時は大人気だった。

そこのオーナーに依頼され、日本人にも分かりやすいようにシートを
和訳し、オーダー方法の日本語マニュアルを作ったのは私の家内だ。
実はここは私のシンガポール生活において忘れられない重要な役割を
果たす店なのだが、その詳細は別の機会に。

・・・今日はクリスマス・イブ。夕食には好物の「ファルファッレの
トマトグラタン」をリクエストしているが、さてかなえられるだろうか。
写真は1-3枚がショートパスタのイメージ。
4枚目がシンガポールのRobertson WalkにあるSketches
のオーダーシート。
5枚目がSketchesの外観。
ゴッホの「夜のカフェ・テラス」のような、黄色、黒、白を貴重にした
インテリアの店だ。
この他にインターコンチ横のBugis Junctionにもお店があった。

