「バーレスク」にみるアメリカン・ドリーム
2011年 02月 12日
"Christina Aguilera"が初めて出演した映画「バーレスク」"Burlesque"
を観てきた。

田舎出の女の子がロスアンジェルスという大都会で苦闘し、栄光を
掴み取るという典型的な「アメリカン・ドリーム」物語だ。
まさにアメリカのパワーの源泉を見せつけられるようなストーリー。
かつてヒットした「フラッシュ・ダンス」や「コヨーテ・アグリー」と同じ
系譜の作品だ。
日本映画にこの手のサクセス・ストーリー的な主題の作品があまり見当たら
ないのは何故だろう?
市井の人々の日常を丹念に描く、或いは人間の意外性を描く(多分)芸術的な
佳作は多いのだが、欲望丸出しのダイナミックな、観る者を圧倒するような
作品が少ないような気がする。
この現象だけで「日本は矮小化している、アメリカは相変わらず元気が良い」
とステレオタイプ的な分析をするつもりはない。
ただ立身出世物語がエンタメ業界で日本人に好まれない主題になっている、
とは言えるだろう。
今のエンタメ業界は、揚げ足取り、或いはどうでもいい小市民の話題
ばかりだ。
大相撲の八百長など毎日取り上げる話題か?下っ端力士の貸し借りなんぞ、
どうでもいい。マスコミなら元横綱や親方衆の腐敗の深部に切れ込め。
22才の大人のアスリートに向けて「・・・ちゃん」付けで熱狂するメディア
は、幼児体質そのものだ。
便所掃除をする自分の婆さんの歌がそんなにすごいか?
あんなのは公共放送でなく、コミュニティ放送で流せばいい。それを
長々と8分間も聞かされて、よく視聴者は怒らないものだ。
私はテレビであのメロディが流れたら即番組を変える。あの私小説的な
小市民性が大嫌いなのだ。

・・・すみません、つい興奮して話題がそれた。「バーレスク」である。
アイオワの田舎から出てきた娘が、抜群の歌唱力とダンスで「バーレスク」
というエロチックなショーを売り物にするクラブで認められ、爆発的な
人気を博すという物語。
ストーリーは確かにB級だが、クリスチーナ・アギレラの圧倒的な歌唱力、
存在感に目を見張る。彼女が演じる「アリ」がチャンスをつかみ、はじめて
ステージでソロを歌う場面では、私は鳥肌が立った。
あの小さな身体の何処からあのパワーが生まれるのか?

私は彼女が2008年のローリング・ストーンズのライブ映画"Shine a light"
でミック・ジャガーと"Live with me"を熱唱した時から注目していたが、
最近では声と美しさに円熟味が増した。
今や押しも押されぬ世界の「ディーバ」になったと言えるだろう。

共演のシェール"Cher"も怪演。バラード調のタイトル曲をシンプルに歌い
上げたが、さすがの貫録だった。またStanley Tucci(Shall we dance?
で竹中直人の役をやった人)もいい味を出している。
ストーリーが単純なので、映画評論家や玄人の評価は多分高くないだろう。
ただ私のように音楽が好きで、ミュージカルを観るようにクリスチーナや
シェールの歌、バックバンドの素晴らしい演奏やコーラスを楽しめた人々に
とっては最高に評価される映画だったのではないか?

封切り後1カ月以上たつのに映画館は満員。男を楽しませる女たちという
古臭くエロチックなコンセプトにもかかわらず、観客の80%が若い女性
なのも印象的だった。
自分の才能を信じ、努力を続ければ「アメリカン・ドリーム」は実現する。
そんな単純なストーリーに夢を馳せる女性は、案外日本にも多くいるの
かもしれない。
ただ私のような立場の人間から言わせてもらえば、アリは常に
「自分を売り込む」事を忘れなかった。そしてそれが功を奏したのである。
日本の女性達もこの映画を観て「自己主張をする勇気」に気がついて
くれればいいと切に願う。

クリスティーナ・アギレラにはこれからも注目していこうと思う。
もっともそんな彼女も、先日の「スーパーボウル」のオープニングの
アメリカ国歌斉唱で、緊張のあまり歌詞を間違えるという失態を演じた。
その時は即座に自分ブログで失敗を認め非を詫びた為、その潔い姿勢が
かえって評価されたという。

