鯨肉を食べよう
2011年 02月 20日
一つだった。
子供たちの学校給食にも時々「竜田揚げ」や「鯨カツ」が登場する
くらいだから、人々は何の違和感無く食している。
牛・豚・鶏肉ほどの頻度ではで無いにしろ、かつては1年に数度は
食卓を飾っていた。
今冬の南氷洋での日本の調査捕鯨が、目標捕獲頭数を大きく下回ったまま
終了した。
農林水産省の発表によると、理由は「シー・シェパード」による執拗な
操業妨害に堪えきれなくなったため。
シー・シェパードのついては今更改めて言及する事もないだろう。
自分達の狭量な信条・価値観を他人に押し付け、強要する為には手段を
選ばず暴力行為も辞さないという連中で、その辺りのならず者と全く一緒。
スマトラ沖やイエメン近海の海賊と同類だ。
問題は、暫定的ではあるがIWC(国際捕鯨委員会)という国際機関でも
認定されている調査捕鯨を、海賊の妨害を理由に打ち切ってしまう
日本政府にある。
もちろん直接の脅威にさらされている調査捕鯨団の船員に責任は無い。
彼らを守れない責任は、非が相手にあるのにも拘わらず相応の対抗手段を
執れない日本政府にある。
学生時代からスクーバ・ダイビングにのめりこんでいた私は、かつて
小笠原に約3週間滞在した際、ザトウクジラやイルカ達に日常的に接した。
日に2回のダイビング・スポットへの行き帰りに出会うザトウクジラの
ブリーチングと呼ばれる全身ジャンプ、目の前に浮上した際に漂う
彼らの生々しい体臭、水中で聴く彼らの歌声、海中で私の足の下を
すりぬけて行ったイルカ達が巻き起こす水の衝撃。
小笠原の大自然と共に、単純に大きく速く力強いもの、神秘的な存在
への畏怖を感じ、その後の私にある指針をもたらしてくれたものだ。
日本の捕鯨は欧米のそれと違い、捕獲した鯨の殆どの部分を有効に使う。
大腸だけはどうにもならないので海に捨ててしまうが。
かつての欧米の場合、捕獲した鯨を船上で解体し、貴重な鯨油のみを
絞りとり後の鯨肉の部分は全て捨ててしまう。まさに海のギャングだ。
どちらが資源を有効活用しているかは明白だ。
日本の沿岸捕鯨の基地である千葉県の和田浦、和歌山県の太地等に
行けば、必ずそこには鯨の霊を祀る神社がある。
かように我々は鯨という自然の恵みに感謝し、恐れと慈悲を持って
扱ってきた歴史がある。
そうした文化は、暫定的な処置ではあるが、IWCという国際機関から
認定された調査捕鯨という形で存続されてきた。
その貴重な文化遺産を、シー・シェパードというならず者の暴挙により
止めてしまっていいわけがない。
これでは尖閣諸島問題と同じで、日本はほんのちょっと暴力的な威嚇を
すれば何でも言う事を聞く、領土も文化も棄ててしまう国家という
イメージを、ますます強く他国に与えてしまう。
断っておくが、私は日本の捕鯨に反対する意見を全て否定するつもりは
ない。文化遺産としてだけでなく生態系の維持、資源枯渇の危惧、
動物愛護といった様々な面で捕鯨について議論をしていくべきだと思う。
ここではあくまでもシー・シェパードの蛮行と日本政府の姿勢に対し意見を
述べているだけだ。
調査捕鯨が中止されて、すぐに鯨肉の流通が凍結してしまうわけではない
という。むしろ問題は、日本人の生活に関わってきた鯨肉を、我々が
あまり食べなくなってしまった事にもあると思う。
鯨肉を食さなくなれば、鯨への愛着も捕鯨の意義も実感として湧いて
来ないのは当然だろう。
お勧めは「ひげ鯨類」に属するミンククジラ。
お腹の脂肪分を抜いた後の皮の部分である「コロ」や舌の部分の
「サエズリ」は、おでんにすると美味しい。
鯨肉と水菜だけで頂く「はりはり鍋」も冬の味覚に欠かせない。
赤身の刺身は、上質の馬肉の味わいだ。
貴重な食文化である鯨肉を、是非一度試してみて欲しい。
こうしたメニューは関西以西の居酒屋では普通に見られる。
写真は上から 鯨肉の部位 http://love123.blog.so-net.ne.jp
シー・シェパードのよる調査船への妨害活動
ザトウクジラのブリーチング。トラベルプロ・ブルーダイバーズHPより
(私は小笠原でこのようなジャンプに日に数回遭遇した。尾の先端が
完全に水面上に上がるほどのものも数度見たものだ)
千葉県勝山市にある鯨塚。「東京湾内外の鯨塚」
www.geocities.co.jp/NatureLand-Sky/3011/haka-toukyou.html
2008年のIWC総会
美しく盛られた鯨肉 「平戸くじらワールド」のHPより