人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

ジョージ・ハリスンのバングラデシュのコンサート

欧米では大災害や貧困から被害者を救う為に、ロック・ミュージシャンが
イニシアティブをとってチャリティ・コンサートを主催するという伝統
がある。

ジョージ・ハリスンのバングラデシュのコンサート_c0094556_23155854.jpg


1984年の、イギリスの"ブームタウン・ラッツ"のリーダー、ボブ・ゲルドフ
がアフリカ難民を救う為に提唱した"Band Aid"。
翌年、ボブに触発されマイケル・ジャクソン、ライオネル・リッチー等が
中心となってアメリカで開催した"Live Aid"等があげられる。

多数の超一流スター達が一堂に会し、"Do they know its Christmas
time at all?" や"We are the World"を歌いあげた場面を記憶している
人も多い筈だ。
昨年のハイチ大地震の後も、"We are the World 25 years in Haiti"
として再度パフォーマンスが披露されるなど、欧米のロック・ポップス界
では大災害、大飢饉の際にはチャリティ・コンサートを開催して救済の
一助とする習慣が完全に根付いている。

もっともイスラム教徒が大半を占める彼らに向かい、「今がクリスマス
だって知っていたかい?」と問いかける歌のタイトルも、迂闊とも傲慢とも
批判されそうなものだが・・・。

ジョージ・ハリスンのバングラデシュのコンサート_c0094556_23162193.jpg


こうしたロック歌手によるチャリティは、ビートルズ解散後の1971年
にジョージ・ハリスンが提唱した"The Concert for Bangladesh"
(バングラデシュのコンサート)が嚆矢だ。

ジョージは当時心酔していたシタール奏者のラビ・シャンカールから、
パキスタンから分離独立後のバングラデシュの窮乏を聞かされ、彼らを
救う為のチャリティ・コンサート開催を決意。
強力なリーダーシップを発揮し、それまでチャリティに縁も関心も
無かった友人のミュージシャン達を引っ張り出し、ニューヨークの
マジソン・スクエアガーデンに於いて、歴史上初めてロック歌手による
ギャラを伴わない慈善コンサートを開催した。

参加ミュージシャンはジョージの他、リンゴ・スター、ボブ・ディラン、
レオン・ラッセル、ラビ・シャンカール等。
そして麻薬中毒のどん底、且つジョージの奥さんのパティとの不倫騒動で
心身ともにずたずたの状態から更生途中の、あのエリック・クラプトンも
名を連ねた。

ジョージ・ハリスンのバングラデシュのコンサート_c0094556_23165355.jpg


ビートルズ時代はジョン、ポールに続く「第3のビートル」的存在で、
目立たずひたすらギターを弾きまくっていた「静かなるギター・マン」の
ジョージ。
何が彼をしてこのようなコンサートを開催させる原動力になったのかは
わからない。

コンサートはもちろん大成功。収益金は25万ドル(当時の換算で約1億円)
にのぼった。
だがこの金額もさることながら、ドラッグや暴力、フリー・セックスと
いった荒れた時代の風俗を代表するロック・ミュージシャン達が立ちあがり、
困窮する人々の為にアクションを起こしたこと、一般人ではできない
パワーを示せたインパクトは強烈だった。

ジョージ・ハリスンのバングラデシュのコンサート_c0094556_23171348.jpg


コンサートの模様は1975年に映画化された。
当時高校生1年生でビートルズに夢中だった私は、近所の映画館で上映
されたこの作品を観る為、高校の映画部にもぐりで入部し無料チケット
を入手、同時上映されていた"ザ・フー"のロジャー・ダルトリー主演の
「トミー」と併せて毎週末に通いつめて耽溺したのである。


未曾有の大災害に見舞われた日本。
復興するには、通常以上の経済活動を展開しGDPを押し上げなければ
ならない。
多分日本のロック・ミュージシャンも、ジョージやボブに倣ってチャリティ
コンサートを企画してしている事だろう。

こういったアクションは早ければ早いほど、大きければ大きいほど良い。
アクションを!
by Mikio_Motegi | 2011-03-27 21:29 | Japan Revitalization