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ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

アメリカ人の見た「Fukushima」

4月6日の水曜日、ACCJ(American Chamber & Commerce Japan)
主催のランチョンセミナー"Radiation and Risk"に参加してきた。
場所は新装なった麻布狸穴の東京アメリカンクラブ。

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パネリストは以下の4名。(難解なので和訳不可能。でも何となく
どういう人たちかわかるでしょう?)

Speakers:
- Dr. C. Norman Coleman, Associate Director,
Radiation Research Program, Division of Cancer Treatment
and Diagnosis, National Cancer Institute,
U.S. National Institutes of Health

- Jana Telfer, Associate Director for Communication Science,
National Center for Environmental Health/Agency for
Toxic Substances and Disease Registry, Centers for
Disease Control and Prevention.

- Steve Simon, Ph.D, Division of Cancer Epidemiology and
Genetics, National Cancer Institute

- Michael Noska, Ph.D. Environment, Safety and Strategic
Initiatives, FDA (U.S.Food & Drug Administation)

12時からの昼食の後、12時半頃からはじまったプレゼンテーション。
Q&Aセッションでは14時までの予定を15分延長するなど、熱心な討議が
続いた。

参加者は250名。通常のACCJのランチョン・セミナーではせいぜい
80-100名程度しか出席が無いので、今回は異例だ。
また見渡したところ、日本人は20-30名程度、後は全て欧米人だ。
彼らの関心の高さが伺える。

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セミナーでは"ALARA"という言葉が新鮮だった。ALARAとは
As Low As Reasonably Achievable の頭文字で、直訳すると
「合理的に出来る限り低く達成できる」被爆数値という意味だ。

すべての被爆は社会的、経済的要因を考慮に入れながら合理的に達成可能
な限り低く抑えるべきである」という基本精神に則り、被爆線量を
制限することを意味している。
(原子力安全委員会/www.nisa.go.jp/word/42/1029.html)

またリスクに関しては、Risk=Hazard + Outrageであり、
物事には常に危険因子があるが、そのままではリスクではない。
それはHazardだ。
例えば車の運転、山登り、食品に含まれる微量の細菌等はHazard。

ところがそれがOutrage(侵される、点火される)されると、交通事故、
遭難、食中毒等の事故が起きる。
原発についても、HazardではあるがOutrage(今回の場合は地震と津波)
が無ければ安全だった。よって原発は全てリスキーだ、という考え方は
あたらない、とする物だった。

また世界史上唯一の被爆国である日本の放射線研究は世界で最も信頼度の
高いものなので、風評に惑わされることなく落ち着いて対処して欲しいとも
語っていた。Atomic Bomb(原子爆弾)をそのまま言わず" A-Bomb"と
いう言い回しにしていたのが印象的だった。

アメリカ・オバマ政権の唱える原発開発促進を否定しかねない発言は
無かった。パネリスト4名とも、「日本政府と関係機関は未曾有の惨事の
中で良くやっている。当面は安心して見守ろう」という姿勢だ。

ま、ACCJの立脚点からいえば、反原発は絶対に表明しないだろうし、そんな
人物をパネリストとして呼びやしまい。

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セミナーは淡々と進み、興奮する人も激昂する人もおらず、時々ジョークが
交るいつもの雰囲気。
察するに、東京に踏みとどまっている欧米人は、踏みとどまれる理由を
必死に探している、という感がした。

今回同じテーブルに同席した元ヨコハマインターコンチ勤務のMarthinは
オーストラリア人で現在欧米のロジスティック会社の日本代表。
左隣の人物は米系ソフトウェア会社の社長で滞日14年。
彼らは共に日本が大好きで、奥さんは日本人。子供もいる。
そんな彼らに奥さんの親戚を残して自分達だけ本国に帰国するという
選択肢は、無い。

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世界中が固唾をのんで見守っている福島第一原発の趨勢。
欧米各国は、福島と東京との距離、位置関係など念頭にない。
日本全土が放射線で被曝し、キノコ雲の覆われていると本気で信じ込んでいる
人々があまりにも多い。

そんな本国からの「大丈夫か?メール」「帰れ!コール」にめげず、大好きな
日本に踏みとどまっている彼ら。

そんな彼らの為にも、頑張れニッポン!と改めて声を大にしてエールを
送りたい。

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写真は上から東京アメリカンクラブの入り口。
ランチはミネストローネ、サーモンのグリル、デザート・コーヒーだったが、
どれもめちゃくちゃ美味しかった。

会場風景。

リスクマネージメントのイメージ。(本文とは関係ありません)

それぞれイメージ。
by Mikio_Motegi | 2011-04-10 22:25 | Japan Revitalization