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ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

ジャクソン・ポロック 変革の夢と挫折

竹橋の東京国立近代美術館で、アメリカの現代美術作家
ジャクソン・ポロックの生誕100年を記念する「ジャクソン・ポロック展」
が開催されている。

ポロックは20世紀のアメリカを代表する抽象表現主義の画家と
讃えられている。
競売で落札された絵画としては史上最高額の136億円を記録し、
「ピカソを超えた存在」と称賛される文字通り現代美術の至宝である。

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1912年にワイオミングで生まれた彼は、ネイティブ・アメリカンである
ナバホ族の砂絵の技法の影響を受け、キャンバスに直接筆を立てて描く
従来の手法から、キャンバスを床に置き、上から絵具を滴らせたり、
スナップを利かせて絵具を撥ねつける技法「アクション・ペインティング」を
確立した。

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また「オール・オーバー」と呼ばれる、画面を同じようなパターンで
均質的に覆い全体と部分が似通っている規則性(フラクタル)で描かれた
その絵画は、作品というよりも、新しい作画行為の軌跡そのものが高く
評価されている。

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ところがその絶頂期を迎えた直後、アルコール依存症の発症や、新しい
技法に挑戦するも確立できない焦りから、ポロックの混迷がはじまる。
黒エナメル一色の作品を描いたり、具象画を描いたりして評論家から
酷評され、また作品そのものも描けなくなってしまっている。

そして1956年、自殺行為とも言える無謀な自動車運転による事故で
44才という若さで死亡してしまう。

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至宝と称された「アクション・ペインティング」技法で作品を描き続けて
いればいいのに、彼は何故それを棄て、新しい技法に挑んだのか?
何を目指して?
その技法が確立する前にポロックは死亡してしまった為、答えは誰にも
わからず、彼の作品は何も語ってくれない。

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彼が目指したものなど私には理解できようもない。ただ、確立した技法も
名声も全て棄て、自己変革を求めてもがき苦しむ姿に、私は限りない
憧憬を憶える。どんなに成功を成し遂げてもひと時も同じ場所にいない、
変化し、とにかく進み続ける姿に。

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写真は上から、彼の代表作 「インディアンレッドの地の壁画」
(テヘラン現代美術館所蔵)

アクション・ペインティングの光景

「カット・アウト」(大原美術館所蔵)

「黒い流れ」 (国立西洋美術館蔵)

「秋のリズム」(メトロポリタン美術館所蔵)

長谷川等伯「松林図屏風(右隻)」

・・・ここで何故等伯の「松林図」を載せたかというと、日本の墨絵の特徴
である余白の使い方が、ポロックの「黒い流れ」や「秋のリズム」等に
影響を与えているのでは?とふと感じたから。
そして私が最も好きなポロックの作品も、余白が何かを語る「秋のリズム」
なのである。

現代美術は良く分からんという人は多いと思う。私もよく分からない。
では私が何故抽象画、現代美術を好むかというと、その時の私の気分で
解釈を変えられるからだ。
疲れている時は癒され、元気が欲しい時はパワーをもらえる。
そんな自分の都合に合わせた鑑賞が出来るのが抽象美術、現代美術では
ないだろうか?
もっともこの解釈も以前出逢ったある女性からの受け売りだが・・・。
by mikio_motegi | 2012-04-07 13:04 | ブレイク