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ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

地球温暖化とホテリエのできること

3年前に帰国してからずっと気になっているのだが、京都の紅葉が美しくない。銀杏などの黄色い葉はまだしも、モミジに代表される赤い葉がさっぱりなのだ。
誰もが言うように、朝晩の冷え込みが緩いから赤が色づかない、というのが理由のようだ。地球温暖化現象の影響、という奴である。だからCO2(二酸化炭素)排出を抑えるため、エネルギー排出の総量を規制する国際条約「京都議定書」批准の地である京都でも、最近ゴミの分別がやかましくなった。

確かにこの温暖化の主因がCO2だとする学説に異論がある。温暖化という現象自体、数百年のサイクルでやってくる地球の営みの一つなのだ、という意見も強い。だが我々ホテリエは、科学的な原因究明は学者の皆さんでやってもらい、とりあえず「環境に優しい」という風潮に乗ったほうが商売が楽になる、と考えるべきだ。つまり温暖化を商売のネタにしてしまおう、ということだ。

ニューオータニは10年以上前からコージェネレーションに取り組んできたし、その効果を上手にPRしている。私の勤めていたマレーシアのシャングリ・ラ ラササヤンリゾートは、マレーシアで最初に環境基準ISO14001をクリアしたホテル、ということが売り物だった。軽井沢の星野リゾートも地熱を利用した暖房システムを構築しているし、星野社長も「環境問題をホテルにどう生かすか、を考えること自体が経営者としての楽しみである」とまで言い切った。
先日発表になったスターウッドの新カテゴリー「One(ワン)」は更に進化して、ホテルを建設する際に建材からインテリア、FFE(家具や備品)に至るまで全て再利用できるものを使用する、という気合のいれようだ。温暖化対策はビジネスになるのである。

ところが、「少しは星野リゾートやスターウッドの爪の垢でも煎じて飲め」といいたくなるホテルも相変わらず多い。私が泊まり歩いた国内のホテルでも、清掃作業を眺めているとツインのシングルユース、しかも連泊部屋なのにリネン類は総取替えしているところを散見する。勿論タオル類の分別表示も未だに無い。大体こういうところは、ホテルをビジネスとして捉えておらず、親会社の節税対策や天下り先の確保、単なる見え、といった不順な理由で所有している所、と言っても過言ではない。要するに経営努力が足りないのだ。

繰り返すが、温暖化現象とそれに伴うトレンドの尻馬(しりうま)に乗ることの是非を言っているのではない。私が言いたいのは、ホテリエであれば世の中の趨勢(すうせい)にもっと気を配れ、という点のみである。

写真は大徳寺から今宮神社を結ぶ参道の銀杏。青空とのコントラストの美しさに、思わず運転していた車を降りて撮影してしまった。

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by Mikio_Motegi | 2006-12-06 23:36 | 人材・ホテル