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ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

ポインセティアに想う事

昨夜、京都府立植物園でクリスマスシーズンのライトアップを見てきた。
神戸のルミナリエとは比べようも無いが、お役所仕事にしては珍しく、入園者をうきうきさせる洒落たライトアップが施されている。温室内のポインセティアのコーナーは、クリスマスを飾る花としても有名なせいか、記念写真を撮る人々が行列を成すほどだ。


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ポインセティアはメキシコの原産で、19世紀に駐メキシコのアメリカ大使ポインセットが本国に持ち帰り、人気が広まったもの、というのが通説だ。誰がつけたのか知らないが、この花はアメリカ人の名を冠しているのだ。

16世紀、スペインのコルテスやピサロが当時のアステカ・インカ帝国を征服し、黄金や香辛料に代表されるこの地の富を収奪、ヨーロッパ文明の配下に収めた。ヨーロッパやアメリカが繁栄したのは、南米やアジア、アフリカの諸国から吸い上げた富が源泉になっている、という説の端緒となるエピソードである。幸い日本はその時代はヨーロッパに征服されずに済んでいたのだが。

クリスマスというヨーロッパ文明の象徴的な祭事を彩る花が、ヨーロッパに征服された地からもたらされたもの、というのは何とも皮肉な話である。この花が、嘗てスペイン語で”Buena Noche”(ブエナ・ノーチェ。美しい夜、という意味) と呼ばれていたことを知る人は少ない。
征服者の名と、美しい夜。私は可憐なこの花を手にとって見ても、どうしても「ポインセティア」と呼ぶ気になれないのである。

写真はライトアップ風景。

ポインセティアに想う事_c0094556_17184532.jpg

by Mikio_Motegi | 2006-12-23 17:18 | ブレイク