ホワイトカラー・エグゼンプションとホテル業
2007年 01月 19日
ホテルで働いていて、まともに残業代を支払われている人ってどれくらいいるのだろう?というところからまず疑問を感じた。少なくとも私はベルボーイ、フロントの時に数回支払われただけである。
ホテル現場の勤務体型は不定形のシフト制であり、残業をしても次回勤務で時間調整が可能だ。サービス残業を美化する傾向も強い。また現在の私の顧客の99%が外資系企業で、且つ成果主義の年棒制を導入している。扱う人材も残業代支給の対象にならないエグゼクティブが多い。WEとは何か、と考えても正直言って「ピンとこない」のが実感だった。
実はWE導入の一番の問題は、国民の殆どが「ピンとこない」ことにある。成果主義で働いている人々に対し、超過勤務時間あたりいくらで支払われる残業代云々を導入すること自体に論理矛盾があるのだ。
また唐突感も否めない。WEがアメリカ政府の「年次改革要望書」(これについては別の機会に触れる)で記載されており、充分な議論・検討をしないまま導入を図ろうとした政府の態度がおかしい。
1991年に横浜のインターコンチがオープンしてから半年以上、私と仲間達の残業時間は月120時間を超えていたと思う。一方で1998年にシンガポールのインターコンチにいた時、「早く仕事を終わらせない奴は能力が低い証拠だ」とイギリス人上司はハッキリと宣言し、部員の超過勤務をいさめた。午後6時が定時のところ午後7時半までオフィスにいた女性スタッフについて、の言及であった。こういった基本的な労働環境・労働感のギャップを埋める所から、WE導入についての議論をすすめていくべきだろう。

