夏目漱石「それから」を読んで
2007年 02月 09日
ニートとは Not in Education, Employment or Training, つまり学生ではなく、職を持たず且つ就労に向けた具体的な活動をしているわけでもない若者のことをさす。
ここ数年の社会現象になっている言葉であり、私の商売柄こういう若者が増えるのは困ったことである。だからニートを少し研究してやろうと思い、書店で買い求めたのである。

時代は明治後期、主人公の長井代助は実業家の父親から生活費の援助を受け一軒家を構え、身の回りの世話をしてくれる書生と婆やと暮らしている。毎日読書、骨董や絵画、音楽を鑑賞し、観劇にでかける「高等遊民」三昧の生活だ。そこへ大学時代からの親友平岡が妻の三千代と東京に帰ってくる。平岡は地方の勤め先で失敗し、東京で職探しに奔走している。三千代は嘗て代助と愛し合ったが、平岡の為に譲った、という経緯がある。この二人がやがて再び愛し合うようになり・・・というあらすじだ。
あまりの文章の美しさにニートの研究のことなどすっかり忘れて読み耽(ふけ)ってしまった。
が、読んでいるうち、代助の生活は現代のニートの概念からかけはなれたものであることがわかった。つまり優雅なのである。それに比べ現代のニート達の生活はあまりにも淋しい。
物語の終わり、父親から放逐され収入の当てがなくなった代助が街に飛び出し、精神に異常をきたす。
極端なことを言うようだが、現代のニートを抱える親も悪いと思う。
現代のさして裕福でない親元に寄生しているニートたちは、いつか親に勘当され追いだされることはあるのだろうか。ニートの問題には親達の意識改革が欠かせないと思うのである。
ニートについては、その定義も含めまた後で触れることとする。

