ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

空間を売る商売:ユニクロ、バーニーズ・ニューヨーク買収へ

ユニクロがアメリカのバーニーズ・ニューヨークを買収しようとしているようだ。

バーニースには私は個人的な思い入れがある。
1989年、ヨコハマ・グランド・インターコンチネンタルホテルの開業を2年後に
控え、私は発足したばかりの開業準備室でマーケティング担当として勤務
していた。
その時に西武百貨店秘書室の紹介で、「セブン・シーズ・クラブ」
という富裕層を対象にした月刊誌とセゾングループ広報室のコラボレーションで
主催した都内のブランド・マーケティング担当者を招待した食事会に参加させて
頂いた。
場所は晴海にあった「メイキッス」で、そこで当時バーニーズ・ジャパンの
広報室長だった高橋みどりさんと出会ったのである。

c0094556_2234530.jpg


どういうわけか「ウマ」が合い、私はみどりさんとその後も公私共にお付き合い
を頂いたのだが、その縁もありバーニーズのスーツやネクタイを買い求める
ようになった。
ちなみに私の結婚式の引き出物もバーニーズの商品である。
家内と新婚旅行でNYに行った際にも、当然のようにセントラル・パーク近くの
バーニーズ本店を覗きに行った。

「空間を売る商売」とは何か、私ははじめてそこで実感することができた。
バーニーズの店内は夢のような、楽しくわくわくするデザインの商品ディスプレイ
で溢れていた。それらは相互に関係し、距離を保ち、コントラストを醸し、
買い手に訴えかけていた。おもちゃ箱をひっくり返したような、しかし
綿密に計算されたディスプレイは、ちょっとでも立ち位置を間違えたら全体が
破綻してしまいそうな緊張感を持っていた。

「モノ」を売る商売であるバーニーズは、そこで「空間」を売っているのである。
お客はバーニーズという空間に魅かれ、スーパーマーケットだったら3000円で
買える手袋でも、バーニーズに陳列されていれば15000円でも買う。
「良いものを安く」ではなく「高く」売る資本主義経済の王道を歩むバーニーズの
商法だ。

翻って、安売り競争に走っている当時の日本のホテル業界はどうだろう?
70000円で売れる部屋を30000円で売り、「付加価値」と称して様々な特典
をつけている。ホテルという素晴らしい舞台空間があるのに、やっていることは
スーパーの安売りと同じ。景観が売りのロビーに無粋な御土産物屋を
出店させ、小銭を稼いでいる。
長引く景気の低迷もあったが、こんなのは5スターホテルのやることではない、
と強く思ったのは事実。
私がホテルという空間を売るべく東南アジアの5スターホテルに転職したのは、
その翌年のことである。

ユニクロは商品は安いが独特のPRや店内ディスプレイを施している。
国際化、マルチブランド戦略も進んでいるようだ。
この合弁がうまく行き、双方に相乗効果をもたらすことを願ってやまない。

上はNYのバーニーズ本店。www.shopping.belolog.com
下は2003年のショーウィンドウ・ディスプレイ。www.pamelahnelson.com

c0094556_22343956.jpg

[PR]
by Mikio_Motegi | 2007-07-06 22:34