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ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

レディの視線

三菱自動車のデリカD5のCMが気になる。
どこかのホテルのエントランスで、デリカD5から降りたつ母親と娘。
見とれるドアマン。母親はドアマンにデリカのキーを渡し、レストランで
待つ夫と息子の許へ・・・という設定だ。今年の5月くらいから放映
されているので、ご覧になった方も多いのでは?

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私が気にしているのは、デリカでもなければ若い母親役のモデルの
笑顔でもない。彼女の視線である。
高級車のCMモデルになるくらいだからもちろん美しい女性なのだが、
彼女がキーをドアマン(ショーファー)に渡すとき、彼に一瞥もくれていない
ところが気になってしょうがない。

この場合私がディレクターなら、彼女は若いハンサムなドアマンに艶然と
微笑むか、或いは一瞬だけ視線を走らせ、そして実に優雅に無視、という
演出をする。現実のドアマンならそれでも充分に満足する筈だ。
特に発展途上国では高級車のキーを預けるということは、財産や安全を
託すという意味もある。
安月給のドアマンが尊大なお客から高級車のキーを預かったら、
意趣返しに知り合いのディーラーにさっさと売り飛ばして本人はとんずら、
と言う事だって充分あり得るのだ。

いくら高いお金を払ってホテルを利用しても、「相手を尊敬する」という
最低限のマナーやエチケットが守れないようなお客は、結局はホテリエ
から馬鹿にされてしまう、或いは手痛いしっぺ返しを喰うという事実を、
このブログの読者諸兄には知っておいてもらいたい。

身内の自慢で恐縮だが、私の大正生まれの両親がシンガポールに旅行に
来て私の勤務先であるインターコンチネンタルに宿泊した際、彼らは
エントランスでドアを開けてくれたドアマンに"Thank you"と言って深々と
お辞儀をした。
そのドアマンは彼らが私の両親だとは知らなかったのだが、日頃挨拶も
ろくにしない日本人客に馴れているドアマンは両親の態度に感激してくれて、
結果私の評価も大いに上がった、というエピソードがある。

もっともこの時はいつもホテルでおちゃらけている私と、私の両親の態度
があまりに不釣合いなので、私たちが本当の親子かどうか暫く信じて
もらえなかった、という事実があったことも付け加えなければ
ならないだろう。

写真は上下とも三菱自動車のホームページより。

レディの視線_c0094556_19484083.jpg

by Mikio_Motegi | 2007-07-22 18:43 | 人材・ホテル