香港の旅(2) 何故、今香港か
2007年 08月 01日
かように素晴らしいカオルーン・シャングリ・ラの施設だが、このホテルの
もう一つの特筆すべき点は、スタッフの卓越したホスピタリティ・マインドで
ある。
家族で一つのホテルに3泊4日も滞在すれば、どんなホテルでもどこかに
破綻が見られるのものだ。特に私も家内もホテル評価に厳しい。
破綻とは多くの場合、コンシェルジュ、ビジネスセンター、ハウスキーピング
周辺に多く見られる。つまりゲストから、その部署だけで解決・完結できない
類のリクエストを受けるポジションだ。
ところが私の滞在中、エアラインの座席リクエスト、ホテル内忘れ物対応、
PCの設定、子供用アメニティのセット等、どれ一つミスが無かった。
これは稀有な事である。

また食事だが、ビュッフェの「クール」、チャイニーズの「シャン・パレス」、
イタリアンの「アンジェリーニ」、和食の「なだ万鮨カウンター」、全てが
完璧だった。
特にイタリアンはメートルドテル一人一人が自分の仕事に誇りを持ち、
自分達の料理やワインをゲストにサーブする喜びに満ちている様子が手に
取るようにわかる。
「是非これを食べてみろ」「これは絶対外すな。当店のスペシャリティだ」
と自信を持って勧めてくる。またこれが全て美味い。パスタは正確にアル・
デンテであり、仔羊のソテーの岩塩はぎりぎりのところで踏みとどまっている。
ホスピタリティ・レベルの高さは、ホテルだけでなく街中でも感じた。
地元デパートの中国茶コーナー、リパルス・ベイのパブ・レストラン、スタンリー
の画商。どこもコミュニケーションが非常に取りやすかった。シンガポール
ではまず見られない現象であると言える。
シンガポールの多数派を占める福建人より、香港人の方がホスピタリティは
高いのだろう。
香港駐在の日本人ビジネスマン数人と話す機会があったが、彼らが一様に
言うのは基礎学力、パンクチュアリティ(時間厳守)、そして係数能力の高さだ。
香港は世界レベルの金融システムと会計基準、法制度を持ち、非欧米圏では
希な契約、コンプライアンス尊重の文化が根付いてる。
ロジスティック業界でも、エアライン・海上輸送共にハブ機能を持つ。
また東京より世界的ホテルチェーンが多く進出している。
こういったアドバンテージは香港人の高いホスピタリティ・マインドがあって
こそ、といえるのではないだろうか。
ところが皮肉なことに、労働環境、インフラの高さが香港の不動産相場の高騰
を呼び込み、深刻化しているというのだ。 (この項続く)
写真は上が客室からの眺め、下は地元デパートの中国茶コーナーで購入した
ジャスミン茶。


