NOVAの功罪
2007年 11月 02日
NOVAのニュースに接するたび、私は今まで苦労して付き合ってきた英語に
ついて思いを馳せてしまう。
私の経験上、英語を学ぶ上で効果的な方法の一つは、できるだけ魅力的な
教師について学ぶ、ということ。
英語を学ぶということは、すなわち異文化とのコミュニケーションを計る
ことなので、どうせなら魅力的な異文化経験でないとモチベーションが
上がらないのが人情だ。
・・・何を持って「魅力的」と捉えるかは、人によってそれぞれ違うと思うので
詳しく言及はしないが。
実は私もNOVAの横浜校の門を叩いたことがある。
1994年頃だったか、当時海外転職を目指していた私は、英語の会話力は
充分あったものの弱点だと認識していた英文コレスポンデンスを学習したいと、
当時横浜にあった数少ない英会話学校であるNOVAにオリエンテーションを
受けに行ってしまった。
これがとんでもないお門違いで、コレスポンデンスの講座など存在しない
ばかりか、英会話のレベルさえ私以下の日本人講師が強引で執拗な入校の
勧誘を続ける。
いくら私が「会話は充分だから、コレポンの勉強ができる学校を探している」
と言っても全く聞く耳持たず。帰宅してからも数週間は勤務先宛に勧誘の
電話が続いた。結局断わったがしつこさに辟易したものだ。
ところがそのNOVAが安価な手数料と強力な?営業力もあり躍進を続け、
2006年度は全国で1000店舗近く教室を増やしたという。
財団法人国際情報化協力センター www.cicc.or.jp によると、2003年度
アジア15カ国のTOEFLポイント調査で、日本人のポイントは190点で最下位
だった。
ちなみにトップはシンガポールで252点、6位インドネシアが214点、
同点8位は韓国と中国で213点、14位モンゴルは192点である。
日本人の英語力の低迷はこんな数字に如実に表れており、国際化の時代に
全く逆行しているとしか思えない。
英語教育については小学校のどの時点から義務教育化すべきか未だに
議論が続いていて、学校の現場は右往左往している。
少なくとも中学・高校と6年間勉強してもTOEFLのポイントアップに
結びついていないことは事実だ。
そんな文教行政の無策の一方で、生きた英語教育を実践する為、NOVAの
各教室には数人のネイティブが教師として配置されている。
彼らと接することが生徒の異文化コミュニケーション力アップに寄与したのは
事実だ。
問題を多く抱えた経営陣の乱脈ぶりは断罪すべきだが、NOVAの「功」の
部分は正当に評価すべきだ、というのが私の意見である。
下の写真はシャッターの閉ざされたNOVA京都駅校に掲示された、
有志生徒10数名からNOVAのスタッフ達へ向けた署名入りメッセージ。
以下、要約する。
「京都駅校でお世話になった有志(より)
長い間本当にありがとうございました。あなた方の一生懸命な姿を私たちは
忘れません。・・・おかげで毎日楽しくレッスンを受けることができました。
・・・ここ京都駅校の生徒でよかった。近い将来に、皆がここで再会できたら
いいね」 (余白に10数名の署名)
彼らとNOVAのスタッフの間でどのようなコミュニケーションが成立していたか
は知る由も無いが、スタッフに何らかの魅力があったであろうことは、これら
生徒10数名の自筆サインが物語っていると思う。