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ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

リブランドの功罪

"You can paint a pig gold, but it's still pig"

これはシンガポールに住む私の華僑の友人が、先日東京のとある全国展開
をしているホテルに泊まった際の言葉。
「黄金を塗りたくっても、ブタは所詮ブタのまま」とでも訳せようか。

彼が泊まったそのホテルは近年ホテル名(ブランド)を変えたばかりだが、
サービス内容は昔のまま。料金は逆に安くなっている。
確かに内装はモダンになったがロビー廻りに手をつけただけ。
年寄りのスタッフは相変わらず寝ぼけたような顔をして立っていて、朝食には
ベジタリアン対応メニューがない。
彼の指摘を待つまでも無く、最近の日本のホテル業界はリブランド流行だが、
このように何の為にリブランドしたのかわからない例も見られる。

ブランドを変えるという事は、当然ロゴマーク、ユニフォーム、サインボード、
客室のステーショナリーといった目に見えるものにはじまり、エージェントや
保険所、労働局との契約書類・届出書類等も変えなければならない、膨大な
作業をこなさなくてはならない。
ではホテルは何故ブランドを変えるのか?
以下のような様々な理由が考えられる:

1.買収等の理由で経営者が変わった
2.新鮮な視点が必要になった
3.名称が事実を反映しなくなった
4.外国人客の急増等で、より親しみやすい名前をつける必要が生じた

一つ間違いなく言えることは、もまともな経営者は、どんな場合にもホテル
の収益を伸ばすことを目的にしてリブランドしている、ということ。
当たり前のことだが。リブランドには膨大なコストが生じるのであり、それを
回収すべくホテルは営業努力をつづけなくてはならない。

最近リブランドで成功した一例が、ANAインターコンチネンタル東京だ。
ADR(客室平均単価)は東京全日空ホテル時代より約4000円アップした。
それまでインターコンチといえば東京には竹芝の東京ベイしかなかったの
だが、アークヒルズという都心の一等地、しかも隣はアメリカ大使館。
アメリカのインターコンチ会員からの予約が飛躍的に増えた。

それに伴いマーケティング戦略も、それまでの国内エージェント重視から、
より料金の高い外資のコーポレート、MICE、或いは"Holidex"という
世界最大のホテル予約システムから来た予約にシフトした。

マーケティング戦略だけではない。それに応えるべく接遇マニュアル構築、
英語教育、より効率の良いオペレーションの構築、PR戦略、
メニューの変更・充実等という努力を重ねることで、よりグローバル・
スタンダートに近いホテルエが育つ土壌になってる。

ロビーに行ってみれば気がつくだろうが、ANAインターコンチは今最も
都内で国際色豊かで華やかなホテルの一つになっている。
Zennikku(全日空)という国内ステータスの高いローカル・ブランドを捨て、
外国人に通用するグローバル・ブランドに変えた効果は明らかだ。

リブランドの功罪_c0094556_1515711.jpg


さてかくいう私も全日空のリブランドの影響をまともに受けた利用客である。
全日空がインターコンチになって宿泊料金が跳ね上がり、私の懐事情では
なかなか泊まれなくなってしまった。
かくして甘美な体験を重ねた宿泊客のみ利用可能な夏場の屋外プールに
行けなくなり、私の東京でのアクティビティーが極端に制限されてしまった。
来夏はどこかリブランドしていないホテルのプールを探さなくちゃ。

写真上はアークヒルズ・カラヤン広場より(同ホテルホームページ)
下は20階の客室より国会議事堂方面の眺め。

リブランドの功罪_c0094556_10203938.jpg

by Mikio_Motegi | 2007-12-09 22:14 | 人材・ホテル