ホテル、レストランなどホスピタリティ・インダストリに特化したヘッドハンター茂木幹夫(もてぎ みきお/ www.kyotoconsultant.net)の「非首狩族的な」日々。


by Mikio_Motegi

良いお客、悪いお客

最近私の上京時の定宿になっているグランドプリンス高輪が騒がしい。
ホテル付帯の宴会場施設では日本最大級の規模を有する同ホテルが、
あの「日教組」の年次大会をKick Outしてしまったからだ。

私が見る限りマスコミの論調は「プリンスが悪い」と一方的に断じている。
確かに司法の裁断を無視してまでお客を、しかもデポジットを払い込んで
いるお客を追い出してしまったのだから、何をか言わんや、である。

ただ私には今回の騒動でどうしても腑に落ちない点が2つある。
1つめはクライアント(日教組)とホテルの間に入って予約や手配業務を
やっていた代理店の存在とその責任。
ホテルのグループ受付業務を経験した者なら誰でも知っていることだが、
クライアントが代理店に諸業務を任じた場合、対ホテルの窓口になるのは
その代理店である。もちろん契約もホテルと代理店の間で執り行われるので
ある。代理店の名前があまりマスコミに登場しないのは何故なのか?

2つめは、高輪プリンスともあろうホテルが何故このような初歩的な失態
を犯したか?
今回の件で私が鮮明に思い出すのは、私が勤務していたヨコハマ・グランド
インターコンチネンタルホテルとその建物の所有者であるパシフィコ横浜
でのある事件。
詳細の説明は省くが、1992年に、とある団体がパシフィコでの会場使用を
求め予約を入れたところ、その期日は既に満室ということで断られた。
ところがその団体が数日後、違う団体名を偽って予約を問い合わせた所、
パシフィコはすんなり受け付けてしまった。
そこでその団体はパシフィコに猛烈に抗議し、パシフィコは全面的に非を
認めた、といういきさつがある。

その時ホテルの営業部にいてパシフィコの状況を知った我々は、その轍を
踏まない為に「どういうお客の予約を受け付けてはいけないか」について
かなり真剣にディスカッションをした。
結論はたった二つ。
「お金を払ってくれないお客」と「法定伝染病に罹患しているお客」
これだけである。
つまりこの二つさえクリアしていれば、どんなお客の予約をも断わる理由は
無い、ということになったのである。
ちなみにこの2大原則は外国でも受け入れられていて、事実私がその後
勤務したシャングリ・ラ ジャカルタとインターコンチネンタル・シンガポール
にもしっかり根付いているのである。

本題から逸れるのでこの原則についはこれ以上記さないが、この
ディスカッションをリードした当時の営業部長はプリンスホテルの出身者
だった。
つまりプリンスホテルには、「どういう団体なら受け付けるべきか」のノウハウ
が確立している筈なのである。

それなのに何故、今になってプリンスはこのような事態を引き起こしたのか?
司法の判断に逆らってまでクライアントを一歩的に追い出さなくては
ならなかった本当の事情とは?
これらが解明されないうちは、今回の事件の責任を軽々に断ずることは
出来ないと思うのだが。

一昨日も高輪プリンスのシガーバーで飲んだのだが、そこのスタッフも
今回の件で本当に心を痛めているのがわかった。
以前も記したが、プリンスホテルの若手には優秀な人材が多い。
私としては彼らをサポートする為にも、これからもせっせと通い、
一番お手軽価格のお酒を飲んで彼らの話を聞いてあげようと思う。

「お金を払わないお客はお断り」と言われないように気をつけながら。
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by Mikio_Motegi | 2008-02-07 22:58 | 人材・ホテル