竹中平蔵氏講演会 ACCJ 2007 Person of the Year
2008年 02月 24日
講演会&昼食会に参加するため、マンダリン・オリエンタルに行って来た。
竹中氏は小泉内閣で経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化
担当大臣、そして総務大臣を歴任。文字通り「小泉構造改革」の重責を
担った人である。
当日、250席ほどの昼食会場は満席。私は昨年暮れにこのイベントが
発表になって即座に申し込んだので席を確保できたが、登録が遅れて
参加できなかった人もかなりの数に上ったとの由。
竹中氏の講演内容は主には小泉内閣時代を振り返るものだったが、
30分間の講演及びそれに続く30分間の質疑応答は全て英語。
氏の発音は私を含む一般的日本人のそれと同じく、いかにも「大人に
なってから勉強しました」というレベルだったが、内容は秀逸。
氏自身が冒頭で「大臣を辞めたので好きなことが言える」と述べ会場を
笑わせたが、肩の凝らない終始リラックスしたものだった。
現在の国会の状況については、「参院では野党が多数を占めているため
法案を野党の合意なしには通せない為、近い将来での政界再編が必要」
と指摘。
面白いことに、解散・総選挙及び自民党と野党の一部が合従連衡する
政界再編が「今年の夏ぐらいに行われるだろう」とまで予測して見せた。
小泉政権の中枢にいた人の発言だけに、このくだりには参加者全員が
固唾を呑んで聞き入ったものだった。

また "privatization"(民営化)という言葉に何度も触れ、自身が主導した
郵政事業民営化の意義と展望、また「日本には民営化しなければならない
事業が多すぎる。次にターゲットとすべきは東京大学だ」と言及、会場を
大いに沸かせた。
その理由として「世界の大学ランキングで東大は17位。GDPが世界2位の
我が国のトップの大学がこのレベルでは情けない。
最上位にランクされるハーバードやMIT,オクスフォードやケンブリッジ等は
全て私学であり、その意味でも東大の民営化には意義がある」と述べた。
この時は会場で大喝采がおき拍手や口笛が鳴り止まず、竹中氏は大いに
満足していた。
最近マスコミ誌上で氏は東大民営化論を積極的に発言しているが、この時
のACCJでの反応の良さに自信を得ての事に違いない、と私は見ている。
ただ福田内閣では構造改革のスピードが鈍化したとの見方に触れ、
経済学者ロバート・フェルドマンが発見した"CRIC"
[Crisis, Response, Improvement, Complacency]サイクルの
最終段階「Complacency = 満足感」に日本がひたってしまい、
「我々は構造改革をやり遂げた。ここらでちょっと一休みしよう」という
マインドになっていると警告し、講演を締めくくった。
メディアを通しては窺い知れない竹中氏のユーモアのセンス、迫力、
そして私とレベルの変わらない英語の発音に触れることができ、今回の
ACCJセミナーは大満足。今後の氏の活躍をますます見逃せなくなった。
写真はACCJ会報の表紙を飾った竹中氏の肖像画。このセミナーの後、
この絵のオリジナルが記念品として竹中氏に寄贈された。

