鯖街道・小浜の旅
2008年 05月 01日
は縁遠い存在だった。特に福井県や滋賀県、京都府日本海側の
地勢的な知識が薄かった。
京都に移り住んで5年、今は折を見てこれらの地方を訪れるように
している。

「鯖街道(さばかいどう)」とは、中世の時代からモータリゼーションが
発達したつい数十年前まで栄えた、福井県若狭湾で獲れた鯖を
一大消費地である京都に運ぶ際のルートのこと。
鯖は青魚(あおざかな)で直ぐに腐ってしまう。よって鯖商人達は
約76キロの距離を一晩で走り抜け京都に新鮮な鯖を届けたという。
近年は「鯖街道ウルトラマラソン」なるレースが行われる。
高低差が激しく、寒冷期は凍てつく寒さになり、夜は街灯もまばらな
厳しいコースだ。
「小浜(おばま)市」とはその若狭湾に面する人口約3万人強の小都市。
鯖街道の起点となる都市である。
今年3月までのNHK朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」の舞台に
なった。
もっともこの番組は関西的なアクの強さが関東では受け入れられず、
視聴率は低迷したらしいが。
また次期アメリカ大統領の民主党の有力候補であるバラク・オバマ
上院議員と同じ名前なので、小浜市民が勝手にオバマ氏を応援する
運動をしていて話題になっている。

あくまでも関東との比較になるが、これらの地方の特徴は気候が
峻烈であること。
冬寒く夏暑い。よって農作物の安定した収穫が期待できない。
また地政的に昔から戦場になることが多く、田畑は荒れて必然的に
人々も貧しかった。
よって一向宗(いっこうしゅう)や浄土宗といった農民信仰の仏教が栄え、
神社仏閣の名刹が多い。
しかし中世の海上貿易は日本海側で盛んだった。
北海道の小樽、ここ小浜、博多そして瀬戸内海を通って大阪を結ぶ交易
ルート北前船(きたまえぶね)が栄え、李氏朝鮮や明、清などの外国貿易
の拠点にもなっていたのである。
ちなみに当時の太平洋側の海上ルートは運ぶ物資も少なく、開発が
遅れていたそうだ。
現在のこの地方は人口密度が低く工業地帯も無い為、土地が余っていて
なんだか広々・寒々とていて「田舎に来た」と実感する。
「現在の過疎地帯は過去に繁栄した歴史がある」というセオリーが
当てはまる土地だが、それだけに名所・旧跡が多い。

いつかはこの地方をゆっくりと訪ねてみたいが、その前に鯖街道マラソン
に挑戦したくなったらどうしようと、自分で自分が不安になっている。
写真は上から鯖街道イラストマップ(日本レンタカーのURLより)。
小浜市内の「勝手にオバマ氏を応援する会」ののぼり。
小浜の名物料理焼き鯖。

