ニューヨークの旅 4 NYC ホスピタリティ事情
2008年 08月 16日
ニューヨークで"Megu"といえばモダン・ジャパニーズのトップ・レフトを
行くレストランのひとつ。
我が家の子供達には、私達が普段食べている日本食が世界では
どのように受け入れられ、modifyされているのかを認識させようと、
少々奮発したのだ。

値段、内装だけでなく、常連客もゴージャスな雰囲気。
ついでに私たちをエスコートしてくれたホステスさんも、黒のロングドレス
に金髪、日焼けした肌が際立つ凄い美人。おまけにノーブラ。
ニューヨークではまっ昼間からホステスがこんなかっこで客を案内
するのか、と妙に感心する。
味とサービスは・・・ひと言で表すと、外国人が期待している「和食」の
イメージを最適化したもの。
醤油皿には醤油をなみなみと注ぎ、てんこ盛りのわさびを盛ってくれる。
京都では醤油にわさびを溶かし込むのは「いなかっぺー」の食べ方、
という常識は外国では通用しない。
「だし」の効いていない、お湯に味噌を合わせただけの味噌汁。
これも正しく外国風。だいたい昆布や煮干などは魚臭くて、外国では
好まれないのだ。
店内はオーナー企業家風、華僑の金融マン風、往年のハリウッドスター風
のお客で満席。
皆一応にせっせと箸で練りわさびを醤油に溶かし込んでいる。
予想通り娘達は大ブーイング。「美味しくない」「飾りがキモい」「暗い」
と、批判のオンパレード。
加えて娘達がオーダーした鮨の盛り合わせに、しっかり「さび」が効いて
いた。
マネージャにそれを指摘すると、彼は素早く鮨を「さび」抜きに
取り替えてくれ、且つ店からのお詫びと言って抹茶のアイス・ミルフィーユ
仕立てを サービスしてくれた。
彼の素晴らしいホスピタリティのおかげで、娘達の"Megu"への評価が
この時点で180°好転したのは言うまでも無い。
"Megu"が2004年にニューヨークにオープンする直前、経営者である
日本の(株)フードスコープの常務さんより突然メールを頂き、大阪で
お会いしたことがある。
丁度私が「京都コンサルタント」を起業したばかりのときで、彼は私が
国内のホテルやレストラン業界に片っ端から送ったセールス・メールを
読んで関心を示してくれたのだ。
その直後にフードスコープは今話題のグッドウイル傘下に入り、結局
私とのビジネスは成立しなかった。が、彼は創業当時の私にとって大変
励みになる、力強い言葉を掛けてくれた。
「いつかは"Megu"の世界戦略を茂木さんにも手伝って欲しい」と。
さて私たちが宿泊したのは15年前の新婚旅行の時と同じく
インターコンチネンタル・(バークレイ)・ニューヨーク。
48丁目、パークアベニューというハイエンドなロケーション。
小泉元首相、安部前首相をはじめ、日本の歴代の首相や閣僚が定宿に
している5スターホテルだ。
ロビー天井のステンドグラスはティファニー製。
明るい黄色をモチーフにした内装は、ニューヨークの他の5スターの
多くが採用しているイギリス・ビクトリア調のそれに比べ(要するに大阪の
リッツ・カールトンみたい)どこよりも明るく素晴らしい、と思う。

このホテルは1925年創立、当時はホテル・バークレイと呼ばれていた。
1980年にインターコンチネンタル・チェーン傘下に。
そして1988年に日本のセゾングループがチェーンごと買収。
当時のオーナー堤清二が、「良いホテルチェーンを買えました」と周囲に
漏らしたのは、このホテルのロビーに立ったときの逸話である。

アメリカは今、3つの理由で経済が停滞している。
1つは原油の高騰。2つ目はサブプライムに起因する金融危機。
3つ目は11月の大統領選挙を控え、新規投資に誰もが慎重になって
いるから。
ニューヨークの5ダイヤモンドスターに輝く最高級のホテル群もこの
影響で、稼働率とADRが下がって苦境に立たされている。
が、ここインターコンチネンタルはそこまで高級ホテルではないので
ツーリストを積極的に勧誘してきた。それが功を奏し、連日満室の
大盛況であるという。
今回の旅行では嬉しい再会があった。元インターコンチで、現在は
ペニンシュラ・ニューヨークのディレクター・オブ・セールスを勤める
アレックス・ゴメスと15年ぶりに会えたのだ。
アレックスは大の日本びいきで、来日経験は数知れず。
日本で最初のインターコンチ・ブランドであるヨコハマの開業準備室
にいた私は、彼の来日時にはエスコートと称してよく夜の東京を飲み歩き、
歌いまくり、ナンOしまくったものだ。
また15年前の私たちの新婚旅行でも彼には大変世話になった。
今回は私がリクエストし、トライベッカ周辺を案内してもらう。

嬉しいことに、彼の連絡先が分かって当時彼と付き合いのあった
ヨコハマの他の連中とも交流が再会したことだ。
彼がペニンシュラのショーケースで来日することがあったら、当時の
仲間に声を掛けて盛大に歓迎会を催したい、と思う。
今回の旅行で残念だったのは、膝が少々痛むのでセントラル・パークで
ジョギングができなかったこと。
そして時間が無くて美術館をゆっくり見られなかったこと。
唯一行けたのがグッゲンハイムだったが、特別展"Louise Bourgeois"
はつまらなかった。

5泊7日、ニューヨーク滞在は正味4日間の慌しい旅行だったが、
最後にとんでもないハプニングが。
朝3時に起きて、7時発SF経由関空行きのユナイテッドに乗るべくJ・F・
ケネディ空港に向かったのだが、なんとフライトがキャンセルになっていた。
係りに問うと「次のフライトは、えーと、明日朝11時ね」とのんびり構えて
いる。
明日は京都で大事なアポイントがある私は当然彼女に詰め寄ると、
エージェントと相談してくれ、と先のカウンターを指差す。
そのエージェントと私がすったもんだを繰り返している間、家内と娘達は
「どうにかなるやろ」とスーツケースにもたれてリラックス・モード。
我が家族ながら神経の図太さに感心する。
結局、エージェントが必死で席を探してくれ、ユナイテッドではなく
アライアンスを組んでいるエア・カナダのバンクーバー経由にて帰国する
ことに。
ユナイテッドの機材と客室乗務員はともかく、地上職員は優秀だということが
わかった。
「カナダ」と聞いて当然のように湧き上がる「バンクーバーで1泊して観光
しようさ」という女どもの声を無視し、関空へと飛び立つ。
そんなわけで時間が無くなりJ・F・ケネディ空港で家族や親戚向けのお土産
が買えず、バンクーバーで購入することに。
京都に帰り、家族にニューヨークに行った筈なのにお土産が全てメイド・イン・
カナダになってしまった理由を説明するのにまた一苦労したことを加え、
今回のレポートを終わりにしたい。

写真は上から"Megu"トライベッカ店の内装で、シンボルでもある氷の仏像。
私たちの訪れたミッドタウン店は適当な写真が見つからなかった。
インターコンチのロビー及びエントランス。
トライベッカにてアレックスと。
グッゲンハイムの入り口に鎮座する"Spider Woman"と名づけられた
インスタレーション。背後に名物のらせん階段。
グッゲンハイムは近年全米各地やスペインに分館を建設していて、良い
作品が分散してしまっている、とはグッゲンハイムでPRマネージャを務めた
こともあるアレックスの評。
バンクーバー空港から見たエア・カナダの機材。背後にロッキー山脈が見える。

